原題 | Assassin’s Creed Unity |
機種 | PC,PS4,Xbox One |
プレイ/クリア時間 | 15時間~ |
👍Good
- 選択肢の多い暗殺
- ステルス重視のアサクリ
👎Bad
- 全体的に粗粗しい
パルクール系オープンワールドゲーム。
剣戟と【パルクール(人間の身体能力を活用するスポーツ)】を取り組んだ作品になっており、プレイヤーは建物を登り、飛び回り、そして敵と戦っていく。
なお、シリーズとしてはメインシリーズの八作目。
上記事ではこのシリーズのストーリーを詳しく解説している。
評価
これまででもっとも面白い暗殺
今作は、このシリーズの原点に立ち返ったアサシンクリードと言える。
前作『アサシンクリード IV ブラックフラッグ』までは、シリーズを重ねる度に新しいコンテンツが追加されてゆき、それはいちプレイヤーとしては嬉しい反面、「暗殺」というテーマを脇へと追いやっていた。
その点、今作では前作までに登場したコンテンツの多くをリストラする一方で、一作目『アサシンクリード』のように、暗殺の面白さを貪欲に追求している。
暗殺ゲームとしては、これまででもっとも面白い。
具体的には、今作では、他のゲームで言えば「ヒットマン」のようなオープンな暗殺が導入されており、そのまま乗り込んでターゲットを暗殺することもできるし、いくつかのタスクを達成してもっとスマートに暗殺することもできるようになっている。
例えば、下水道に潜むターゲットを暗殺するミッションでは、事前に地上の通気口を塞いでおけば、下水道に煙が充満し、敵がこちらを発見しにくくなる。
要するに、今作の暗殺は様々な選択肢を用意し、それをプレイヤーに選ばせるという作りになっており、プレイヤーはターゲットを暗殺する方法を自分で考えて、実行する。
これまでは「あとはボタンを押すだけ」というところまでお膳立てされた暗殺だったけれど、今回はターゲットの選定以外は自力でやり遂げなければならず、やや難しくなった一方で、暗殺ゲームとしてははるかに面白くなっている。
また、メインミッション自体も「暗殺」を中心に構成されており、次の暗殺ミッションまでの間に何個もミッションが用意されていることはなく、すぐに次の暗殺ミッションに挑戦できる。
全体的に、今作の暗殺は一作目の”箱庭型で、プレイヤーに主導権がある”暗殺を発展させたようなものであり、粗削りながらも、これまででもっとも奥深く、楽しい暗殺になっている。
ステルス特化のアサシンクリード
いつもの調子で遊ぶと瞬殺される。
これまではアクションゲームにステルス要素が加わったような作風だったけれど、今作の方はステルスゲームにアクション要素が加わったような作風になっており、ステルスを中心としたゲームに一新されている。
今作の新しく作り直された戦闘は、相手が3人以上になるとこちらが劣勢に追い込まれる上に、場合によっては”逃げるが勝ち”になることもあるくらい、難しい。
また、敵の執拗な銃撃もあり、剣と銃の両方でプレイヤーを”殺しにくる”。
結果的に、プレイヤーは「アサシンの信条」にある”風景に紛れろ”を守って遊ぶことになり、人々の注目を集めるのではなく、ひと目を避けて行動しないといけない。
フリーランで敵の頭上を飛び回り、地上を移動する際は大群衆に紛れて姿を消し、邪魔な敵に対しては「かんしゃく玉」を使って注意を反らし、その間に通り抜ける。
他にも、「スプリンターセル」や「ウォッチドッグス」のように背後からのキルや、カバーキルを組み合わせて敵を始末していくことも重要になってくる。
これまでなら、突っ込んで成敗してやった場面でも、今回はまずはステルス的なアプローチを試し、それがダメなら最後の手段として敵と戦い、排除するという順番になる。
後述するように、全体的に荒っぽいゲームではあるけれど、このように戦術を練ってステルスプレイで進めていく点や、意を決して敵に挑む緊張感などは、今作ならではの長所になっている。
とは言っても、発見=>劣勢に追いやられたり、場合によってはチェック・ポイントから再開した方が早かったりする点は、良くも悪くも”古いステルスゲーム的”ではあるが。
(余談だが、今作では画面いっぱいに大群衆が描写され、その中に紛れることができるので、一作目で提唱した”群衆に紛れてステルス状態を維持する”「ソーシャル・ステルス」が完成形に近い形になっている)
新しい戦闘は楽しい(ただし)
今作では戦闘システムが刷新されている。
- 受け流し
- 回避
この二点が非常に重要になっている。
「受け流し」はこれまでと同じく、敵の攻撃に対してタイミングよくボタン入力するのだが、今回はそのタイミングがシビアになっており、敵のレベルが上がれば上がるほど「受け流し」は難しくなる。
また、乱戦時は「回避(ローリング)」を使って敵の攻撃をかわす必要があり、くるくる回って敵の弱点を突かないといけない。
これまでのような”無双感”は無くなってしまったが、敵との一進一退の攻防が楽しめる今作の戦闘も決して悪くなく、最初から最後まで緊張感を保ったまま戦闘が楽しめる。
ただ、戦闘が楽しいのは相手が3人くらいの時まで。
リアル寄りの今作の作風を思えば妥当ではあるが、3人以上になると一気に難易度が上昇し、敵からも執拗に銃撃されるので、正直、戦っている場合ではない。
手に負えない状況では”逃げるが勝ち”。
私はステルスゲームだと割り切って遊んでいたので、この辺りは我慢できたけれど、逆に私がアクション要素を求めていたり、無双感を求めていたりすると、印象は悪い意味で一変していたと思う。
全体的に粗っぽく感じる
まず、誤操作がそれなりに発生する。
キャラクターをダイナミックに動かしている分には躍動感があり、操作していて楽しいけれど、目の前の窓を飛び越えたり、段差を降りたりなどの細かな動作は苦手で、思った通りに動いてくれない時が多い。
さらに、ステルスプレイ時に重宝するカバーが上手く機能していなかったり、中腰移動時の操作がやけに重かったりして、ステルスプレイに支障を来している時もある。
特に今作はステルス重視ゆえに、これまで以上に誤操作が許されない場面が多いので、思った通りに動いてくれないキャラクターの動きは、最後まで気になる欠点だった。
総評
今作は粗っぽくも、”暗殺”に焦点を絞った野心的な一作だった。
やはり、オープンな暗殺は”プレイヤー自身がアサシンとして作戦を練り、実行する”部分が面白く、エリアをじっくり探索し、暗殺の舞台を整える辺りは今作ならではのアサシン体験になっている。
また、刷新された戦闘も、緊張感があり、最後までダレることなく楽しめる。
良いところも多いだけに、操作面の作り込みの甘さはただただ残念に思う。
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初版:2015年11月28日 12:47