原題 | Assassin’s Creed |
対応機種 | PC,PS3,Xbox |
プレイ時間 | 15時間~ |
ストーリー | 2012年、デズモンドは巨大企業に拉致され、そこでアニムスと呼ばれる装置の被検体にされる。11世紀を生きた彼の先祖の記憶を調査することに。 |
本作は、2007年に発売された「アサシンクリード」シリーズの一作目。「Ubisoft Montréal」が開発したオープンワールドゲームになる。
評価
※久しぶりに再プレイしたので、レビュー記事を加筆修正しました
現在までにメインシリーズだけでも10作以上も登場しているアサシンクリード。
一作目が大ヒットした後は、短い間隔で続編やスピンオフが開発され、その過程でテーマやジャンルの枠を飛び越えて、様々な要素を吸収し、巨大なオープンワールドゲームへと成長して行った。そして、2018年に発売された『アサシンクリード オリジンズ』以降は、長期的にコンテンツを配信していく”ライブサービス”的な側面が強くなり、ここを境にシリーズが大きく変化した。
このように発売当初からは想像も出来ないほど巨大化した「アサシンクリード」だが、この記事では”すべての始まり”である一作目を改めて遊び、「どんなゲームだったのか?」を振り返っていく。
脚色不要?ストイックな暗殺ゲー
一言で言えば、ものすごくストイックなゲーム。
「オープンワールド」と聞くと、広大なゲーム世界や様々なコンテンツを期待するが、本作は「暗殺」の一点のみに焦点を絞っている。ほぼすべてのメインミッションがターゲットの暗殺を目的としているし、オープンワールド内で出来ることも、やはり暗殺に関連するものばかり。
例えば、メインミッションは「調査」と「実行」がひとセットになっており、これのみを最後の一人まで繰り返す。スリや盗聴、尋問などでターゲットの情報を集めて、その情報をもとにターゲットを暗殺するというのがお決まりの流れになり、それ以外は一切排除されていると言って良い。
一応、オープンワールド内にはサイドミッションも用意されている。だが、これもクリアすると敵から身を隠せるようになったり、敵を足止めしてくるようになったりなど、スムーズに任務を遂行するためにやっておくべきものになっている(※主人公は神学者に扮して身を隠せる)。
二作目以降は、ここに様々な要素が追加されていき、アサシン”も”やるオープンワールドゲームへと発展していくのだが、本作に関しては、アサシン”しかしない”オープンワールドゲームになり、暗殺というテーマに忠実な内容になっている。
そして、プレイ面も暗殺ゲームらしくステルス色が強い。
「アサシンの教義」と呼ばれる三箇条(剣を罪なき者に振るうな,民衆に紛れて同化しろ,兄弟を危険に晒すな)が行動指針としてあり、周囲に溶け込んで身を隠す「ソーシャル・ステルス」が新しいステルスの形として登場している。とにかく目立つことはしないが鉄則で、人混みに紛れたり、人々の頭上を飛び回ったりして、ひっそりと行動する。非常識な行動を取ると一般市民から容赦なく陰口を叩かれるのだが、それくらい周囲から浮くことについては敏感で、群衆の中の一人であることが求められる。
ただし、ステルスプレイ自体は難しくない。
祈りながら歩けば大抵のエリアは突破できるし、仮に発見されても身を隠せる場所はたくさんある。戦闘になっても、カウンター攻撃が最強なので、大勢の敵をザクザクと倒していける。全体的にアクションゲーム寄りで、主人公も相応に強いのだが、敵に発見されると大勢の兵士が執拗に追いかけてくる上に、その状態ではミッションにロックも掛かるようになっていて、大暴れできるが、しない方が賢明というバランス。
たしかに、本作は二作目以降ほど大きなゲームではない。メインミッションの中に様々なイベントが用意されていることもないし、寄り道要素に何時間も費やせるわけでもないしと、一作目ということを考慮してもオープンワールドゲームとしては質素な作りをしている。
しかし、「暗殺に焦点を絞っていること」「ステルスに重きを置いたゲームであること」の二つは、他のシリーズ作品ではほとんど見られない特徴になっているため、改めて遊んでみると、むしろ新鮮に感じるところもあるくらいで、「アサシンクリード」としては全く色褪せていない。
もう一つのストーリーを描く現代編
もちろん、本作にも現代編が用意されている。
あくまでもストーリーの中心にあるのは過去編だが、その合間合間に現代へと戻り、そこでのストーリーが展開される。一応、説明しておくと、本作では「アニムス」と呼ばれる装置を使って、被検体(本作の場合はデズモンド)のDNAに眠る”遺伝子記憶”を読み取り、彼のご先祖様(本作の場合はアルタイル)の記憶を調査している。
このパートでは狭い部屋の中を行き来するだけなのだが、任意で他の登場人物と会話したり、ノートパソコンを盗み見たりしてストーリーの断片を拾っていくことができる。ここは今の「アサシンクリード」と大きく変わらない。
シリーズ作品を一通りクリアした後に改めて遊んでみると、色々と感じるものがあるのではと思う。
反復的すぎる部分は玉に瑕
前述の通り、ミッションは”調査”と”暗殺”のセットになっている。
“暗殺”の方は、ストーリー上の見所ということもあり、それぞれユニークな内容になっているのだが、”調査”の方はコピペと言っても良いレベルの繰り返し。“調査”では「スリ」「盗聴」「尋問」などを決まった回数こなすのだが、台詞を除くとこれらの内容が全く同じで、あまりにも変化がない。
サイドミッションも同じようにコピペで、どの街に言っても兵士にちょっかいを出されている市民を救出して、その見返りを貰うだけ。似たものがたくさんあるのではなく、同じものがたくさんある。
やはり、同じことの繰り返しが続く点は、本作を遊ぶ上で大きな障害になるところ。
私は発売以来、定期的に遊んでいるので本作をかなり好意的に見ている方だと思うが、そんな私からしてもこの繰り返しは遊んでいてしんどく感じるところで、これがあるのであまり広くオススメできないゲームになっている。
総評
「アサシンクリード」を暗殺ゲームとするなら、非常に面白い一作。
一作目だけあってコンセプトがガチガチに固まっているし、ゲーム内容も情報収集と暗殺の繰り返しとあまりにストイックで、”アサシンとは何か”をストレートにゲームとして表現できている。ただ、逆に言えば今の”アサシンクリード”とは正反対とも言える内容なので、もし遊ぶ場合はそこは注意して欲しい。
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