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【評価・感想】『グランド・セフト・オート4(GTA4)』レビュー

4.0
ゲームレビュー
ゲームレビュー
この記事は約7分で読めます。
  • 原題:Grand Theft Auto IV
  • 対応機種:PC,PlayStation 3,Xbox(互換)
  • プレイ時間:28時間~
  • ストーリー:すでにアメリカで成功した従兄弟(ローマン)を頼り、主人公のニコ・ベリックは不法移民としてリバティーシティに上陸する。しかし、ローマンの話はほぼウソで、実際は借金で首が回らない状況だった。ニコは、ローマンを助ける過程で犯罪組織と接点を持ち、裏社会に引きずり込まれていく。

今作は、前作『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』の約4年後に発売されたメインシリーズの6作目にあたり、今作から”HD Universe”と呼ばれるGTA第三世代が始まる。

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著者情報
Kakihey

2014年末より当サイト「Kakihey.com」を運営中しています。現在までに300本以上のゲームレビューを公開しています。基本的にPCでゲームを遊んでいます。

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評価

現実的なゲーム世界で、犯罪を体験する

今作からゲーム機の世代が進み、表現力が格段に向上したことで、ビジュアル的なリアリティが増し、それに合わせる形で、ゲーム世界の仕組みやルールなどもリアル化された。

前作『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』以前も、現実世界をモチーフにしたゲーム世界ではあったが、今作では、道端に落ちているハート(体力回復)や星(手配度を下げる)など、”GTA風にデフォルメされていた”部分がすべて取り除かれている。

今作では、体力を回復したい時は「救急キットを使う」「911に電話し、救急隊員に来てもらう」などし、手配度を下げたい時も、「捜索範囲から外れる」「悪徳警官に電話し、裏から手を回してもらう」などしないといけない。

そして、肝心のオープンワールドは、圧巻の作り込み。

これまでは現実世界をモデルにした都市を作り、その上からカーラジオをふんだんに流し込むことで、その世界における文化を巧みに表現していたが、今作では、街の空気感や人々の服装、そこで話される言葉から、そこに根付く文化が感じ取れるレベルに達している。

今作には、これまででもっとも現実的なゲーム世界が存在する。

ゲーム世界が限りなく現実世界に近づいた今作では、街の片隅で、人々に紛れて犯罪に手を染めること自体が一つの体験となり、その生々しい犯罪体験は今作の特徴になっている。

初めて銃で敵を倒した時は、敵に銃弾を撃ち込む鈍い感触と崩れ落ちていく敵の様子を見て、なんとも言えない後味の悪さを覚えた。

今作は、プレイヤーに罪の意識を感じさせるくらいのリアリティを実現し、犯罪に手を染めるという行為自体に焦点を当てることで、クライムゲームとしての「グランド・セフト・オート」を再定義したと言える。

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過去作(3,VC,SA)と比べる

「III」以降、『グランド・セフト・オート バイスシティ』も『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』も、基本的には”IIIにコンテンツを追加する”ことで進化してきたが、今作に関しては、出来ることの多さは『グランド・セフト・オートIII』の頃に逆戻りしている。

「サンアンドレアス」にあった豊富なカスタマイズ要素や多種多様なミニゲーム、RPG要素などはほぼ全て無くなった。

「グランド・セフト・オート」としては、どのシリーズ作品にも登場した定番要素のみで構成された作品と言えて、処刑ミッションや収集物など、お馴染みの要素は存在するが、それ以上はないと言ったところ。

ミッションも、今作の作風に合わせるためか、派手な演出は控えめ。

私としては、色々カットされたと言っても寄り道要素は充実しているし、ミッションに関しても、リアルなクライム映画を遊んでいるようなシリアスさが気に入ったので、特に不満はないのだが、「サンアンドレアス」と同じか、それ以上を求める人にとっては、肩透かしを食うゲーム内容だと思う。

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操作性、セーブ周りは遊びにくく感じる

主人公の挙動が人間らしくなったが、アクションゲームとしては鈍くなった。

個人的には、今作の主人公の挙動は嫌いではなく、その人間らしさが高い没入感とリアリティを生んでいるとは思うが、歩くだけでも体重移動(?)が伴うので、過去作と比べると、ボタン入力に対してワンテンポ遅れた感じがある。

狭いエリアを進んでいく時や敵に背後を取られた時などは、咄嗟に反応できずにダメージを余計に受けることがあり、この辺りは遊んでいてストレスが溜まる。

ただ、今作の作風で、過去作のようにテキパキ動けるとそれはそれで違和感があるわけだが。

あとは、今作にもミッション中のチェックポイントがない。

一応、今回はミッションに失敗すると、ムービーから再開できるので、一部改善はされているが、”ミッションの最後の方で失敗すると最初からやり直し”は変わらないので、失う時間がもったいない。

ちなみに、今作では移動中の台詞が(確認できた範囲では)二種類用意されており、再挑戦時にさっきと同じ台詞を聞かなくて済むように配慮されている。

主人公の操作性とセーブ周りは、今から遊ぶ場合は注意したい。

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総評

今作は、シリーズの中では異色の作風ではあるが、シリーズの新機軸となり、かつ(当時の)オープンワールドゲームの基準を一気に押し上げた作品でもあり、シリーズやジャンルの名作だ。

シューティング面はやや時代を感じさせるが、モニター越しからでも都市の空気感や人々の息づいかいが伝わってくるほどのオープンワールドと、一貫したリアリティは見事で、2021年の基準で見ても全く色褪せていない。

難点は、今から日本語版を遊ぼうと思うと少しハードルが高い点だが、もし、遊ぶ機会があれば、ぜひ遊んでみて欲しい。

ちなみに、Rockstar Games作品に限れば、『レッド・デッド・リデンプション2』は今作の実質的な後継作と言えるので、もしあのゲームが好きなら今作を気に入るはずだし、その逆もまた然り(犯罪モノと西部劇というジャンルの好みはあるけど)。

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初版:2016年4月10日 10:53 AM

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