原題 | Call of Duty: Black Ops |
対応機種 | PC,Xbox One(互換),PS3 |
プレイ時間 | 6時間~ |
👍Good
- 考察が捗るストーリー
- 魅力的なキャラクターたち
- ダーティ・ワーク
- ド安定のゲームプレイ
👎Bad
- 日本語版の表現規制
紹介
どんなゲーム?
冷戦時代をテーマにしたミリタリー系FPS。
シリーズとしては『コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー』の”ソ連編の続編”であり、そこでの出来事が今作のストーリーに繋がっている。
開発は『コール オブ デューティ3』『コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー』の【Treyarch】。
ブラックオプスのストーリー
謎の施設で囚われている彼は、ある男に過去に参加した極秘作戦について尋問される。
評価
【Pros】ダーティ・ワーク
まず、ゲーム自体は『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』をベースにしているので、今作も1本道的なゲーム進行と濃密な演出の両面でプレイヤーをサンドする作品になっている。
(もちろん、同じゆえにシューティングはド安定の出来)
では、今作と「モダン・ウォーフェア」の違いは何か?
それは「モダン・ウォーフェア」が”教科書に載らない兵士の話”を描いているのに対し、「ブラックオプス」の方は”教科書に載せられない兵士の話”を描いている点。
- モダン・ウォーフェア=教科書に載らない兵士の話
- ブラックオプス=教科書に載せられない兵士の話
そもそも、「ブラックオプス(Black Ops)」には”政府が公には認めない非合法な作戦”という意味がある。
それは”報告書の大半が黒塗りされ、かつ限られた人間の間でのみ共有される類の作戦”であり、目的さえ達成できれば手段は問わないという「ダーティ・ワーク(=汚れ仕事)」である。
- Black Ops=政府による非合法な極秘作戦
- 主人公たちはダーティ・ワークに参加する
この“ダーティさ”は今作最大の魅力。
その国の主権を無視し、粛々とアメリカ政府の汚れ仕事を遂行していく今作の展開は、きれいにラッピングされた「モダン・ウォーフェア」とは対照的であり、「コールオブデューティ」として上手く差別化されている。
血まみれ、泥まみれになりながら任務を遂行していく姿は良い意味で汚い。
歴史のIfを描く
ストーリーでは「Black Ops」という設定をちゃんと活かしている。
【ピッグス湾事件】、【ベトナム戦争】や【ケネディ暗殺】などの実際の出来事を「極秘作戦」という切り口から描いており、リアルとフィクションを織り交ぜたユニークなストーリーが展開される。
また、今回はいわゆる「戦争モノ」ではなく、戦争をベースにしたサスペンス仕立てのストーリーになっており、『Spec Ops: The Line』さながらの入り組んだストーリーが特徴になっている。
【Pros】主人公を操作する意味
まず、FPSでは一人称視点の特性を活かし、プレイヤー=主人公という構図でストーリーを進めていくゲームが多く、そうしたゲームでは主人公を特徴付ける要素は限りなく無に等しい。
その点、今作では開始早々に主人公の外見と声をお披露目する。
主人公にはアレックス・メイソンという名があり、声があり、ちゃんとしたバックグラウンドも存在するので、より”主人公になりきるゲームとしてのコールオブデューティ”という色が強くなっている。
- 主人公には名前、声、バックグラウンドが存在する
そして、今作は主人公になりきることにちゃんと意味がある。
主人公のメイソンは数字に関する幻覚に悩まされており、プレイヤーは主人公が見るものをそのまま一人称視点から体験することで、彼の世界に直に触れられる。
ネタバレに配慮して詳細は書かないが、今作のストーリーはこの”彼の世界に直に触れられる”ということが重要な要素になっており、主人公になりきることを逆手に取ったストーリーが展開される。
- 一人称視点を通してプレイヤーは主人公の世界に直に触れる
- 主人公になりきることを逆手に取ったストーリー展開
これは「モダン・ウォーフェア」とは異なるアプローチ方法であり、【Treyarch】の色が全面に押し出された形になっており、面白い。
【Cons(欠点)】中途半端な表現規制
例に漏れず、今作も日本語版では表現規制が入っている。
今回は主にゴア表現全般に規制が入っているのだが、これによってこのゲームの魅力が2割ほど削られてしまっている。
【Treyarch】は戦場の凄惨さを伝える手段として、このシリーズにしては踏み込んだ表現を取り入れているのだが、今回はそれをほとんどカットしたことで”ヌルい戦場”になっている。
また、表現規制しても敵兵のリアクションはそのままなので、”手足が散った仕草だけする敵兵”という変なシーンが目に飛び込んで来る。
いちユーザーとして開発者の意図を無視する、不自然さを残したままにするような中途半端な表現規制には反対したい。
総評
全体的に新鮮な「コール オブ デューティ」。
ゲームプレイこそ『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』の頃から大して変化はないが、これまでにない時代設定、ストーリーやキャラクターによって目新しさを感じる作品になっている。
2019年現在でも、このクォリティのFPSのキャンペーンはそうお目にかかれないはずだ。
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