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【評価・感想】『アサシンクリード3(リマスター)』レビュー

ゲームレビュー
ゲームレビュー
この記事は約7分で読めます。
原題Assassin’s Creed III Remastered
対応機種PC,PS4/PS5,Xbox
プレイ時間16時間~
ストーリー前作の後。”人類最後の時”が迫る。デズモンドらはこの危機を打開すべく、アメリカ独立戦争を生きた人物の記憶を調査する。

今作は、2012年に発売されたメインシリーズの5作目。”アサシンクリード3 リマスター”はそのリマスター版になり、『アサシンクリード3』とDLC、スピンオフの『アサシンクリード レディリバティ』が収録されている。

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著者情報
Kakihey

2014年末より当サイト「Kakihey.com」を運営中しています。現在までに300本以上のゲームレビューを公開しています。基本的にPCでゲームを遊んでいます。

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評価

今作は、「エツィオ・トリロジー(アサシンクリード エツィオ・コレクション)」が完結し、その後から始まった「ケンウェイ・サーガ」の一作目になる。今作から『アサシンクリード ローグ』までは、それぞれ独立した作品ながらも、様々な形で繋がりを感じさせるストーリーが用意されている。

シリーズ最初の大刷新

今作は、シリーズで初めて大規模な改修が行われた作品。前作『アサシンクリード リベレーション』までは一作目『アサシンクリード』に”継ぎ足す”形でゲームを大きくしてきたが、今作ではそれを止めて、新しいゲームシステム上で、新しいアサシンクリードを作ろうとした。

グラフィックはもちろん、コンバットやフリーラン(パルクール)と言ったゲームの根幹に関わる部分にも手が加えられており、前作までを”旧世代”と分類できるほど、今作では様々な部分が新しくなっている。

今作の戦闘も、敵の攻撃にカウンターで合わせてそこからキルを繋げていくスタイルだが、(いま見ても)滑らかなアニメーションと多彩な技の組み合わせによって、戦闘の豪快さ、爽快さが今まで以上に増している。

また、フリーランは半自動的な動きと”木々の間も”走り抜けられる自由度によって、走りの快適さが次のレベルへと進んでいる。これまでだと泣く泣く迂回していた崖も、今作だとサクサク登っていける。「どこでも登れる」は今では特に珍しくないが、当時はなかなか斬新に感じる要素だった。

プレイ面以外では、「フロンティア」と呼ばれる大自然も今作の特徴。ボストンやニューヨークと言った都市部に加えて、まだ未開拓の大地が広がる「フロンティア」も舞台として用意されている。ここには様々な野生動物が生息しており、(発売当時で言えば)『レッド・デッド・リデンプション』でも見られた生きた世界が広がる。そして、ここを舞台にした狩猟が”遊び”の一つになっており、弓矢や罠などで動物を狩り、肉や皮などを売ることができる。

前作までは一作目をベースにしたものだったので、今作のプレイ感覚は新鮮(だった)。あとで述べるように問題点もそれなりにあるのだが、個々の要素は非常によく出来ており、発売10年以上経過した今でも十分プレイに耐えうるものになっている点は、ポジティブに評価されても良い点と言える。

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難点はペース配分とフルシンクロ

今作の難点はいくつかあるが、一つはペース配分。とにかくゲームがなかなか始まらない。シークエンス6まではストーリーの導入とチュートリアルに時間が割かれており、非常にテンポが悪い。オープンワールドゲームとして見た場合、序盤を終えてやっと自由に動けるようになったのに、その後、またキツキツなチュートリアルが始まることに、どうしても心理的な抵抗感を覚える。シークエンス6以降は色々出来るようになり、面白くなってくるが、そこまでモチベを維持するのは難しい。

また、“厳しい”フル・シンクロの条件も難点。これまでと同じく、各ミッションには任意のクリア条件が設定されており、それもクリアすると完全クリアになる。これ自体は前作以前も存在したのだが、今作のそれは条件が非常に厳しくなっており、イライラの種になっている。これまでは”いちミッションいち条件”だったが、今作ではミッションの段階ごとに条件が追加されていき、最終的には三つほど条件が付く。そして、その条件が結構シビアで、一歩遅れたり、タイミングが一瞬ズレたりするだけで失敗扱いになることが少なくない。

私はX(失敗)が付くのが性格的にイヤなので、コツコツとフルシンクロを頑張ったが、今作は縛り度が強いせいで、達成のために”きっちり”遊ぶ必要があり、前作までのような”緩い縛りを用意することで、他の遊び方を提案している”とは思えない要素になっていた。たしかに今作の方が”チャレンジらしい”と言えるが、私は前作までの程よく意識させるバランスが好きだった(そもそもフルシンクロ自体は無くても困らないが)

ただ、今作の「フル・シンクロ」にも良いところはある。「フル・シンクロ」に失敗しても、チェックポイントからすぐにやり直せるようになった。条件は面倒だが、再挑戦の負担は低い。

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でも海戦・ホームステッドは面白い

ゲームの中盤あたりから海戦が遊べるようになるのだが、これが本格的でかなり面白い。広い海を大きな船で突き進み、敵の船団と死闘を繰り広げるという映画で見るような海賊ごっこが楽しめる。

また、陸地の方ではホームステッドも面白い。「フロンティア」とは別に未開拓のマップが用意されていて、ここをプレイヤー自らが開拓していく。ホームステッド・ミッションと呼ばれるミッションをクリアすると、住民を勧誘することができるので、これを繰り返して小さな集落を作っていく。

これが面白いのは、住民の大半に固有の名前や生活スタイルが設定されている点で、それぞれに家族や仲間がいて、小さなドラマが存在する。そのドラマは、ストーリーとは比べ物にならないほど小さな出来事の連続なのだが、その分だけ身近に感じるエピソードが多く、ついつい手を差し伸べて助けたくなる。そして、そうしているうちに住民それぞれに愛着が湧いてきて、この土地にいることに居心地の良さを感じるようになる。

一応、ホームステッド全体のストーリーとしては、本編のエピローグになっているので、遊んでおいた方が良いし、金策の手段にもなるので、やはり無視せず遊んだ方が良い。

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現代編は新規ファン置いてけぼり

メインの過去作の方では新しいスタートを切っているが、現代編の方はこれまでの総決算になっており、ストーリーの流れを把握するためには、前作までの知識は必須と言える。今作から初めて遊ぶと、なんだかよく分からないままエンディングへと突入してしまうと思う(まあ、これに関しては過去作経験者も同じなのかも知れないが)。

一応、冒頭にこれまでのダイジェストは用意されているが、これで十分とは思えず…。現代編をしっかり楽しみたい人は先に『アサシンクリード エツィオ コレクション』を遊んだ方が良い。

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総評

個々の要素はよく出来ているが、全体的に見ると粗さが目立つ。少なくとも私にとっては、ゲームの見所であるメインミッションよりも、個々の要素に特化した寄り道要素の方が面白いゲームで、正直、メインミッションの方は進めるのが苦しく感じるときがあった。

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