「スプリンターセル」は、「Ubisoft」が手掛けるステルスゲームの人気シリーズ。2002年に発売された一作目『スプリンターセル』以降、2013年までは定期的に新作が発売されていたが、それ以降、2021年末にリメイク版の開発が発表されるまでは、長らくシリーズは休止状態にあった。
プレイヤーは、”サムおじさん”の愛称でも親しまれるサム・フィッシャーとなり、巨大な陰謀に立ち向かう。
スプリンターセル シリーズ解説・紹介
スプリンターセル
ストーリー | 2003年。新設された極秘諜報機関<サード エシェロン>のスパイであるサム・フィッシャーは、グルジアで消息を絶った仲間を救出すべく、現地に派遣される。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換),PS2(旧世代機向けバージョン)等 |
『スプリンターセル』は、2002年に発売されたシリーズの一作目。「メタルギアソリッド」に対抗するステルスゲームとして開発され、本作の前年には『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』が発売されている。
「スプリンターセル」は、ステルスゲームを再定義することを試みた作品。
「メタルギアソリッド」と同じく、3D空間でのステルスゲームを開拓した『Thief』のような暗闇を活用するステルスやララ・クロフト顔負けの軽快なアクション、そして他の”トム・クランシー”ゲームを彷彿させるミリタリー要素などを取り入れ、独自のスタイルを確立した。
ストーリーも含めて、現実ベースの作風になり、プレイヤーは何もかも人間くさいサム・フィッシャーを操作し、大国を巻き込む大騒動の裏で、ひっそりと任務を遂行していく。
ミリタリー色の強い作風ゆえに、比較的難易度は高い方。
数発の被弾が命取りになるので、ガジェットやテクニックを駆使し、ステルス状態を維持しないといけないし、敵の戦闘になっても、しっかりカバーに隠れて、正確に射撃しないといけない。
リアル寄りのステルスゲームになり、その硬派さが特徴。
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スプリンターセル パンドラトゥモロー
ストーリー | 2006年、インドネシア。サドノを指導者とする反米の反政府組織が台頭し、アメリカを始めとした西側諸国の脅威となる。サム・フィッシャーはサドノの計画を調査すべく、現地に派遣される。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換),PS2(旧世代機向けバージョン)等 |
『スプリンターセル パンドラトゥモロー』は、2004年に発売されたシリーズの二作目。
基本的には前作を踏襲した続編だが、暴走列車への潜入や鬱蒼としたジャングルでのスパイ活動など、前作と比べるとロケーションが多彩になり、演出面では大きく進歩している。
その一方で、プレイ面は、選択画面の改良と言った狭い範囲での改良に留まっており、完全新作というよりは、大型拡張パックに近い続編になっている。
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スプリンターセル カオスセオリー
ストーリー | 2007年。中国や北朝鮮の台頭によって緊迫度を増すアジア情勢。その最中、天才技術者が何者かに拉致される事件が発生し、サム・フィッシャーは、技術流出を防ぐべく、現地に派遣される。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換),PS2(旧世代機向けバージョン)等 |
『スプリンターセル カオスセオリー』は、2004年に発売されたシリーズの三作目。
今作は、シリーズの中でも特に高く評価されているスプリンターセル。
周囲の音と主人公が発する音を視覚化するノイズメーターを始め、ステルスプレイをサポートする様々な要素が追加され、一作目から継ぎ足されてきたゲームシステムが一つの完成形を迎えている。
また、ミッションでは従来の一本道的なエリアから比較的オープンなエリアへと刷新されたことで、ある程度自由に潜入できるようになり、新しいスプリンターセルの形を垣間見ることができる。
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スプリンターセル エッセンシャルズ
ストーリー | “二重スパイ”の後、サムはNSAに身柄を拘束される。そこでサムは、尋問に答える形で過去の任務を振り返る。 |
対応機種 | PSP |
『スプリンターセル エッセンシャルズ』は、2006年に発売されたシリーズの四作目。「二重スパイ」の前に発売されたが、時系列としては『スプリンターセル 二重スパイ』の後日談になる。
今作は、PSP向けに発売された最初で最後のスプリンターセル。
今作ではサムの回想として、主に過去作のミッションを再プレイする。正直、過去作を遊んできた人にとっては、今一つ決め手に欠ける内容ではあるが、PSPで遊べる「スプリンターセル」としては、過去作を忠実に移植した作品になり、その面では貴重な一作になる。
なお、今作と『スプリンターセル 二重スパイ』『スプリンターセル コンヴィクション』は、ストーリー的な繋がりが比較的強く、それぞれ単体でも遊べるが、遊んでおくと、サムが組織を離れた理由ややさぐれるきっかけなどを、より詳しく知ることができる。
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スプリンターセル 二重スパイ
ストーリー | サム・フィッシャーは、JBAを名乗るテログループに単独潜入する。テロリストとして活動する一方で、NSAのスパイとして、JBAのメンバーを密かに調査する。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換),PS2(旧世代機向けバージョン)等 |
『スプリンターセル 二重スパイ』は、2006年に発売されたシリーズの五作目。
今作からゲーム機の世代が一つ進み、「スプリンターセル」も生まれ変わった。次世代機の高い表現力を強調するためか、多くのエリア内から暗闇が取り除かれたことで、明るいエリアでのステルスが中心になり、これまでとまた違った「スプリンターセル」になっている。
さらに、今作ではストーリーの分岐が本格的に導入された。
『スプリンターセル パンドラトゥモロー』でも、一部シーンに登場していたが、今作ではそれがストーリー全体に反映されるようになり、作戦中の決断がキャラクターの生死を分け、エンディングの行方も左右する。
今作のサムは、<JBA>を名乗るテログループに潜入するスパイ。
ミッションでは、”NSAかJBAか”どちらの命令を優先するかを迫られ、それ以外のときは、JBA本部を捜索し、テロリストたちの指紋や個人情報を集め、テロ組織の全容を暴いていく。プレイヤーは、二つの組織の間で、難しい決断を迫られることになる。
しかし、このように野心的な作品でありながらも、ステルスゲームとしてのバランスの悪さやゲームシステムの不備などが指摘される作品になり、シリーズの中では、特に賛否両論ある作品になっている。
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スプリンターセル コンヴィクション
ストーリー | 組織を離れ、一匹狼となっていたサム・フィッシャー。ある時、家族の死が事実ではなく、<サード・エシュロン>によって捏造されたものだと知ったサムは、かつて所属した組織を相手に、真実を求めて大暴れする。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換) |
『スプリンターセル コンヴィクション』は、2010年に発売されたシリーズの六作目。
今作は、シリーズを根本から作り直した革新的な一作。“敵に発見されずに行動する”というお決まりを覆し、”ステルスを武器に敵を狩っていく”という攻撃的なステルスプレイを提唱し、非常にテンポが速く、即興的なゲームプレイを実現した。
<マーク&アクション>という必殺技が追加され、最大4人までの敵を瞬殺できる。これを駆使し、各エリアを突破していくことが今作の基本的な流れになる。
また、シリーズ的には『スプリンターセル 二重スパイ』から続くストーリーに一区切り付くところも特徴になり、怒り狂ったサムおじさんが過去を精算し、次へと進む姿が描かれる。
今作は、これまでとは全く異なるゲームになったけれど、新しいステルスプレイの形を提唱し、次世代の「スプリンターセル」の土台を築こうとしたシリーズにおける革新的な一作。
なお、今作のゲームデザインは後発の『ヒットマン アブソリューション』や『007 ブラッドストーン』でも見ることができるので、それなりに影響力の強い作品だったのではないかと思われる。
関連記事>>>【評価・感想】『スプリンターセル コンヴィクション』レビュー
スプリンターセル ブラックリスト
ストーリー | “コンヴィクション”の後、現場復帰したサム・フィッシャー。今回は新設された<フォース・エシュロン>のリーダー兼現場スパイとして、<ブラックリスト>と呼ばれるテロ計画を阻止すべく奮闘する。 |
対応機種 | PC,Xbox(互換),PS3 |
『スプリンターセル ブラックリスト』は、2013年に発売されたシリーズの七作目。
前作は、攻撃的なステルスを前面に押し出した作品だったが、今作では従来のステルスプレイも復活し、アクションでもステルスでも遊べる柔軟な作風へと進化した。基本的にどのミッションも、非殺傷と末発見という完全ステルスでも、目の前の敵を倒しまくる完全アクションでも遊べ、一つの遊び方に縛られることがない。
また、今作では<パラディン>と呼ばれる作戦拠点が新たに登場。ここを起点に様々なサイドミッションを遊んだり、サムをアップグレードしたりが出来るようになり、リプレイ性が増し、繰り返し遊べるゲームにもなった。
今作は、『スプリンターセル コンヴィクション』とそれより前の「スプリンターセル」をミックスした作品になり、新旧のシリーズ作品の良いとこ取りとも言える一作になっている。
なお、今作以降シリーズは休止状態になり、サムおじさんはコラボ要員として、「ゴーストリコン」など他のシリーズにちょくちょく登場するだけになってしまう。
関連記事>>>【評価・感想】『スプリンターセル ブラックリスト』レビュー
オススメのスプリンターセル
- スプリンターセル ブラックリスト
- スプリンターセル カオスセオリー
- スプリンターセル コンヴィクション
シリーズからベスト3を選ぶと、この三作品になる。
『スプリンターセル ブラックリスト』は、アクションでもステルスでも遊べる自由度の高さと、『スプリンターセル コンヴィクション』をベースにしたテンポが速く、即興的なステルスアクションが楽しい。
『スプリンターセル カオスセオリー』は、旧シリーズの集大成とも言える完成したゲームシステムと、何度も繰り返し遊べる奥深いステージの数々が魅力。旧シリーズについて知りたい場合は、まずはここから。
『スプリンターセル コンヴィクション』は、アクション映画を彷彿させるスタイリッシュなステルスアクションが最高。『ジョン・ウィック』『96時間』などのアクション映画が好きなら、絶対にオススメできる一作。
より詳しいレビューは、個別のレビューで書いているので、ぜひそちらも読んで欲しい。
まとめ
以上、”【2022年版】オススメする「スプリンターセル」を全て紹介!新作発売までに総復習!”でした。
このサイトでは、「スプリンターセル」以外にも(主に)海外ゲームのレビュー記事を公開しています。