タイトル | METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN |
対応機種 | PC,PlayStation,Xbox |
プレイ時間 | 50時間~ |
ストーリー | GZから9年後の1984年。キプロスの病院で、昏睡状態だった”ビッグボス”が覚醒する。”ビッグボス”は、自分からすべてを奪ったサイファーへの復讐を誓う |
今作は、『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』の続編。
シリーズで初めて”オープンワールド”を採用したメタルギアになる。
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評価
オープンワールドで、自由潜入
今作は、オープンワールド的な世界で、”遊び”を創造するゲーム。
まず、今作の「オープンワールド」は、自分以外はすべて敵の戦場になる。
「オープンワールド」には、廃墟となった神殿や空港、採掘場などが存在するが、そうした場所では大勢の敵兵が警備している。また、道路では敵の検問所が各所に設置され、敵兵や敵車両も巡回している。
今作の「オープンワールド」は、「オープンワールドゲーム」と聞いて、多くの人が想像するであろう空間—人々が生活する生きた世界—ではなく、敵とその拠点だけが存在する殺伐とした空間になる。同じジャンルでは、『マーセナリーズ』や『ファークライ2』のそれに近い。
プレイヤーは、そんな周囲に敵しかいない過酷なオープンワールドで、さまざまな任務を遂行していくのだが、小島監督曰く、そこでのプレイは「リアル潜入シミュレーター」「自由潜入ゲーム」なのだという。
しかし、「リアル潜入シミュレーター」「自由潜入ゲーム」と新しい言葉が当てはめられているが、やっていること自体は、実は「ファークライ」の拠点制圧や「(昔の)ゴーストリコン」などのタクティカル系FPSと変わらなかったりする。
- まずはエリアを偵察し、敵兵をタグ付けする。ひと通りタグ付けしたら、アクションか、ステルスを駆使し、エリアの制圧に取り掛かる。
海外のオープンワールドゲームを遊ぶ人であれば、馴染み深い、というかイヤほどやった要素と言えるかも知れない。
ただ、今作では、その上で“プレイヤーが遊びを創造できる”サンドボックス的な要素を取り入れており、それが特徴的。
今作のミッションは、一部を除き、ゲーム側からの指示(制限)が必要最低限に抑えられている。進行上の都合で、プレイヤーの行動が制限されることはほとんどない。
例えば、ターゲットを抹殺するミッションでは、敵の拠点に忍び込んで、こっそりターゲットを無力化しても良いし、味方に空爆を指示し、部下もろとも消してしまっても良い。それら以外にも、わざと遠くで爆発を起こし、他の敵がそれに気を取られているすきに、ターゲットを拉致してしまうこともできる。
どのミッションも、目標だけを指定し、あとは自由に遊ばせるデザインなので、プレイヤーは“今出来ること”と、周囲の環境を組み合わせて、自分だけの方法でミッションを攻略することができる。
これまでは、主人公に指示を出す人物がおり、その人物の指示通りにゲームを進めていくのが基本だったが、今作では「どのように作戦を遂行するか」の部分は、プレイヤーに委ねられており、ここが「リアル潜入シミュレーター」で、「自由潜入ゲーム」のキモと言える。
「潜入」以外では、今作では非殺傷の武器が充実しており、催眠ガスやゴム弾などを使い、大暴れしつつ敵を「無力化」していく戦法も使える。無鉄砲に遊ぶとすぐに倒される難しさではあるが、ステルスを捨ててアクション特化で遊ぶことも出来る。
今作は、「様々なプレイスタイルで遊べる戦術的な自由」と「発想力次第で遊びが広がる創造的な自由」を融合させた作品になり、この組み合わせが、他のオープンワールドゲームとは一線を画する部分になる。
「どのような手段で攻略するか」を決めるのはもちろん、様々なケースを想定して、攻略法を組み立てていくこともでき、オープンワールドを「大きな砂場」として、その中で創意工夫しながら遊べる。
そして、ゲームでは、プレイヤーのひらめきをしっかり受け止めてくれるので、“自分で遊び方を考えるのが好きな人”にとっては、今作のオープンワールドは、格好の遊び場になる。
オープンワールド✕ステルスは、リアルタイム感が新鮮
オープンワールドでのステルスは、なかなか新鮮。
確かに、オープンワールドとステルスの組み合わせは珍しいものではないが、今作では、時間の経過に合わせて、エリア内の状況が刻一刻と変化し、ここはステルスゲームでは珍しいと思う。今作では、潜入している間に、敵のシフト交代の時刻になり、敵の配置が変わってしまったり、砂嵐が発生し、身動きが取れなくなってしまったりする。
予定通りに進むこともあれば、予定外の事態に陥ることもあり、プレイヤーは、エリア内の状況が変化していく中で、それらに即興的に対応しながら遊んでいかないといけない。
これまでは、言わば状況が固定化されたエリアを攻略していくゲームだったが、今作では、様々な要因が絡み合うエリアを攻略していくゲームになり、一筋縄ではいかないステルスのスリルが味わえる。
当然、そうしたステルスなので難易度は少し高め。
特に序盤は装備があまり充実していないので、周囲の状況をじっくり観察し、ミッションを進めていくことになる。
ただ、中盤以降、敵をタグ付けしてくれる犬や援護してくれるスナイパーがバディ(同行する仲間)として登場するので、序盤のヒリヒリする難しさは次第に薄れていき、全体を通してみれば、遊びやすいステルスゲームだと思う。
ちなみに、バディとの共闘は、今作の後に発売された『ファークライ5』などに近い。
MGSとしてはPWの進化系
- フルトン回収して、優秀な兵士を仲間にする
- 兵士を集めて、マザーベースをアップグレードしていく
- マザーベースをアップグレードすると、新しい武器などが開発できる
基本的には、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』の進化系になり、それと同じく、マザーベースを中心にしたやり込み要素が用意されている。RPGでレベルを上げていくように、マザーベース(=スネーク)を強化していく。
ミッションはコピペに近い
これは自由度とのバーターではあるが、基本的にミッションは「目標はこれ、あとはご自由に」なので、どのミッションも似たりよったりで、淡白な印象を受ける。
これまでのような演出重視のこってりしたゲームを求める場合は、物足りなく感じるかも。
MGSVは”未完成”なのか
- ストーリーの大部分は第一章に集中している
- 第一章だけで、Vのストーリーは一応は完結している
- ゲームとしても、第一章だけで並のオープンワールドゲームくらいは遊べる
よって、未完成でスカスカとは思わない。
ただ、第二章が駆け足気味で、第一章と比べるとミッション構成が物足りなく、そこが未完成と言われる部分だろうと、遊んでいて思った。まあ、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』の第五章も似たようなものだったので、それと同じと思えば良いのだが、今作の場合、第二章の予告編で期待を煽るので、それとの差みたいなものが悪い意味であったのだと思う。
総評
今回、約7年ぶりに再プレイしたが、やはり最高のステルスゲームだった。
オープンワールドに関しては、マップ内に作戦拠点があり、その間をファストトラベルできれば良かったとは思うが、オープンワールドを舞台にしたサンドボックス風味のゲームプレイは、繰り返し遊べるほど奥深く、マザーベースを中心にしたやり込み要素も、しっかり時間が溶ける。
加えて、ステルスやアクションの操作性がほぼ完璧。
最低でも『メタルギアソリッド3 スネークイーター』や『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のストーリーを予習していく必要があること、本当の意味での決着は、『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』で付くことは注意だが、ゲームプレイの部分に少しでも興味があれば、一度は手に取ってみる価値は、絶対にある。
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初版:2015年12月4日 7:22 PM