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【評価・感想】『メタルギアソリッドV ファントムペイン(MGS5 TPP)』レビュー

4.5
ゲームレビュー
ゲームレビュー
この記事は約8分で読めます。
タイトルMETAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN
対応機種PC,PlayStation,Xbox
プレイ時間50時間~
ストーリーGZから9年後の1984年。キプロスの病院で、昏睡状態だった”ビッグボス”が覚醒する。”ビッグボス”は、自分からすべてを奪ったサイファーへの復讐を誓う

今作は、『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』の続編。

シリーズで初めて”オープンワールド”を採用したメタルギアになる。

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著者情報
Kakihey

2014年末より当サイト「Kakihey.com」を運営中しています。現在までに300本以上のゲームレビューを公開しています。基本的にPCでゲームを遊んでいます。

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評価

オープンワールドで、自由潜入

今作は、オープンワールド的な世界で、”遊び”を創造するゲーム。

まず、今作の「オープンワールド」は、自分以外はすべて敵の戦場になる。

「オープンワールド」には、廃墟となった神殿や空港、採掘場などが存在するが、そうした場所では大勢の敵兵が警備している。また、道路では敵の検問所が各所に設置され、敵兵や敵車両も巡回している。

今作の「オープンワールド」は、「オープンワールドゲーム」と聞いて、多くの人が想像するであろう空間—人々が生活する生きた世界—ではなく、敵とその拠点だけが存在する殺伐とした空間になる。同じジャンルでは、『マーセナリーズ』や『ファークライ2』のそれに近い。

プレイヤーは、そんな周囲に敵しかいない過酷なオープンワールドで、さまざまな任務を遂行していくのだが、小島監督曰く、そこでのプレイは「リアル潜入シミュレーター」「自由潜入ゲーム」なのだという。

しかし、「リアル潜入シミュレーター」「自由潜入ゲーム」と新しい言葉が当てはめられているが、やっていること自体は、実は「ファークライ」の拠点制圧や「(昔の)ゴーストリコン」などのタクティカル系FPSと変わらなかったりする。

  • まずはエリアを偵察し、敵兵をタグ付けする。ひと通りタグ付けしたら、アクションか、ステルスを駆使し、エリアの制圧に取り掛かる。

海外のオープンワールドゲームを遊ぶ人であれば、馴染み深い、というかイヤほどやった要素と言えるかも知れない。

ただ、今作では、その上で“プレイヤーが遊びを創造できる”サンドボックス的な要素を取り入れており、それが特徴的。

今作のミッションは、一部を除き、ゲーム側からの指示(制限)が必要最低限に抑えられている。進行上の都合で、プレイヤーの行動が制限されることはほとんどない。

例えば、ターゲットを抹殺するミッションでは、敵の拠点に忍び込んで、こっそりターゲットを無力化しても良いし、味方に空爆を指示し、部下もろとも消してしまっても良い。それら以外にも、わざと遠くで爆発を起こし、他の敵がそれに気を取られているすきに、ターゲットを拉致してしまうこともできる。

どのミッションも、目標だけを指定し、あとは自由に遊ばせるデザインなので、プレイヤーは“今出来ること”と、周囲の環境を組み合わせて、自分だけの方法でミッションを攻略することができる。

これまでは、主人公に指示を出す人物がおり、その人物の指示通りにゲームを進めていくのが基本だったが、今作では「どのように作戦を遂行するか」の部分は、プレイヤーに委ねられており、ここが「リアル潜入シミュレーター」で、「自由潜入ゲーム」のキモと言える。

「潜入」以外では、今作では非殺傷の武器が充実しており、催眠ガスやゴム弾などを使い、大暴れしつつ敵を「無力化」していく戦法も使える。無鉄砲に遊ぶとすぐに倒される難しさではあるが、ステルスを捨ててアクション特化で遊ぶことも出来る。

今作は、「様々なプレイスタイルで遊べる戦術的な自由」と「発想力次第で遊びが広がる創造的な自由」を融合させた作品になり、この組み合わせが、他のオープンワールドゲームとは一線を画する部分になる。

「どのような手段で攻略するか」を決めるのはもちろん、様々なケースを想定して、攻略法を組み立てていくこともでき、オープンワールドを「大きな砂場」として、その中で創意工夫しながら遊べる。

そして、ゲームでは、プレイヤーのひらめき・・・・をしっかり受け止めてくれるので、“自分で遊び方を考えるのが好きな人”にとっては、今作のオープンワールドは、格好の遊び場になる。

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オープンワールド✕ステルスは、リアルタイム感が新鮮

オープンワールドでのステルスは、なかなか新鮮。

確かに、オープンワールドとステルスの組み合わせは珍しいものではないが、今作では、時間の経過に合わせて、エリア内の状況が刻一刻と変化し、ここはステルスゲームでは珍しいと思う。今作では、潜入している間に、敵のシフト交代の時刻になり、敵の配置が変わってしまったり、砂嵐が発生し、身動きが取れなくなってしまったりする。

予定通りに進むこともあれば、予定外の事態に陥ることもあり、プレイヤーは、エリア内の状況が変化していく中で、それらに即興的に対応しながら遊んでいかないといけない。

これまでは、言わば状況が固定化されたエリアを攻略していくゲームだったが、今作では、様々な要因が絡み合うエリアを攻略していくゲームになり、一筋縄ではいかないステルスのスリルが味わえる。

当然、そうしたステルスなので難易度は少し高め。

特に序盤は装備があまり充実していないので、周囲の状況をじっくり観察し、ミッションを進めていくことになる。

ただ、中盤以降、敵をタグ付けしてくれる犬や援護してくれるスナイパーがバディ(同行する仲間)として登場するので、序盤のヒリヒリする難しさは次第に薄れていき、全体を通してみれば、遊びやすいステルスゲームだと思う。

ちなみに、バディとの共闘は、今作の後に発売された『ファークライ5』などに近い。

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MGSとしてはPWの進化系

  • フルトン回収して、優秀な兵士を仲間にする
  • 兵士を集めて、マザーベースをアップグレードしていく
  • マザーベースをアップグレードすると、新しい武器などが開発できる

基本的には、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』の進化系になり、それと同じく、マザーベースを中心にしたやり込み要素が用意されている。RPGでレベルを上げていくように、マザーベース(=スネーク)を強化していく。

ミッションはコピペに近い

これは自由度とのバーターではあるが、基本的にミッションは「目標はこれ、あとはご自由に」なので、どのミッションも似たりよったりで、淡白な印象を受ける。

これまでのような演出重視のこってり・・・・したゲームを求める場合は、物足りなく感じるかも。

MGSVは”未完成”なのか

  • ストーリーの大部分は第一章に集中している
  • 第一章だけで、Vのストーリーは一応は完結している
  • ゲームとしても、第一章だけで並のオープンワールドゲームくらいは遊べる

よって、未完成でスカスカとは思わない。

ただ、第二章が駆け足気味で、第一章と比べるとミッション構成が物足りなく、そこが未完成と言われる部分だろうと、遊んでいて思った。まあ、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』の第五章も似たようなものだったので、それと同じと思えば良いのだが、今作の場合、第二章の予告編で期待を煽るので、それとの差みたいなものが悪い意味であったのだと思う。

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総評

今回、約7年ぶりに再プレイしたが、やはり最高のステルスゲームだった。

オープンワールドに関しては、マップ内に作戦拠点があり、その間をファストトラベルできれば良かったとは思うが、オープンワールドを舞台にしたサンドボックス風味のゲームプレイは、繰り返し遊べるほど奥深く、マザーベースを中心にしたやり込み要素も、しっかり時間が溶ける。

加えて、ステルスやアクションの操作性がほぼ完璧。

最低でも『メタルギアソリッド3 スネークイーター』や『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のストーリーを予習していく必要があること、本当の意味での決着は、『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』で付くことは注意だが、ゲームプレイの部分に少しでも興味があれば、一度は手に取ってみる価値は、絶対にある。

▼関連動画

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初版:2015年12月4日 7:22 PM

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