原題 | Grand Theft Auto Vice City Stories |
対応機種 | PS2,PSP |
プレイ時間 | 16時間~ |
ストーリー | ヴィクター・ヴァンスは、陸軍伍長として、バイスシティの米軍基地で真面目に働き、病弱な弟を支えていたが、上官の”サイドビジネス”に手を貸してしまったことを機に、裏社会に引きずり込まれてしまう。 |
今作は、PSP向けの「グランド・セフト・オート」である”ストーリーズ”シリーズの二作目。
基本的に『グランド・セフト・オート バイスシティ』のPSP版とも言えるゲーム内容だが、『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』までの改善も取り入れられており、”遊びやすくなったバイスシティ”とも言える作品。
なお、今回はPS2日本語版をプレイした。
ちなみに、現在では他のシリーズ作品のようにiSO/Androidへの移植はされていない。一説によれば、ゲーム内に本人役で登場するフィル・コリンズの権利関係が原因ではと言われている。
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評価
GTA3系統では一番よく出来ている
『グランド・セフト・オート バイスシティ』が『グランド・セフト・オートIII』をベースにした作品であったように、今作も、前作『グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ』をベースにしたものになっている。
前作と比べると、アクションゲームとしての違いはシューティング面が少し改善されたくらいで、良くも悪くも前作とほとんど変わらないのだが、ミッション内容が多様化し、「エンパイア・ビルディング」と呼ばれるやり込み要素が導入されるなど、コンテンツ面では”一応”違いが出ている。
特にミッションは、ヘリが再登場したり、バイスシティの土地柄(?)もあり、陸海空を舞台にした演出重視なものから、奇人変人によるユニークなものまで揃っており、前作より多種多様なミッション構成になっている。
今作を遊んでいると、「III」=>「バイスシティ」の進化を再び体験しているような感覚がある。
「リバティーシティ ストーリーズ」のレビュー記事にも書いたように、ゲーム的には「III」系統ゆえに、『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』の後に遊ぶと遊びにくく感じることが多い。
しかし、「リバティーシティ ストーリーズ」からさらにゲームプレイ面が改善されたことで、「サンアンドレアス」を除けば、それまでに発売された「グランド・セフト・オート」の中では、もっともアクションゲームとしての完成度が高く、III系統の集大成とも言える仕上がり。
「リバティーシティ ストーリーズ」同様に、”元がPSP向け”だと思えば十分すぎる出来。
エンパイア・ビルディングは面白くて、面倒くさい
「エンパイア・ビルディング」は、『グランド・セフト・オート バイスシティ』の「不動産」と、『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』の「ギャング・ウォー」を組み合わせたミニゲームになっている。
- 敵対ギャングを土地から一掃する
- 土地を押さえる
- 業種と規模を選び、ビジネス開始
※業種と規模は再選択可
上記の流れを各地で繰り返し、帝国(エンパイア)を築いていく。
「エンパイア・ビルディング」自体は、金策にもなるし、縄張りを拡大していく面白さもあるしと、やり込み系のミニゲームとして時間を費やしたくなるものになっており、ついつい遊んでしまう。
しかし、敵対ギャングの襲撃を一度経験すると話は変わる。
「サンアンドレアス」の「ギャング・ウォー」のように、今作でも、定期的に敵対ギャングが押さえた物件を襲撃してくるのだが、そのまま放置していると相手に物件を奪われるので、その度に対処しないといけない。
幸い、襲撃の発生頻度は低いが、縄張りを広げれば広げるほどマップを横断して対処する必要があるわけで、ある程度まで縄張りを広げると、あとは積極的にやり込もうとは思えなくなってしまった。
せっかく「エンパイア・ビルディング」自体は面白いのに、やり込むモチベーションを削ぐ要素があるのは残念に感じる。
ミッションの質がまばら
多種多様なミッションが用意されているが、変わり種のミッションは質が安定しない。
味方が運転する車から敵車両を銃撃するミッションでは、エイムの感度がガバガバすぎて上手く狙えず、カーチェイスも、一気に何台も突っ込んで来て身動きが取れなくなり、時間制限もやけにカツカツで、遊んでいてストレスが溜まる。
おまけに、今作でもミッション中のオートセーブがないので、そういう理不尽に感じるミッションでも、ゲームオーバーの度に最初からやり直しとなり、イチからクリアを目指さないといけない。
『グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ』もそうだったが、ミッションの質まで『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』より前の水準に戻っていることが地味にキツイ。
また、日本語版は表現規制のせいで、ミッションが余計に難しくなっている。
英語版のプレイ動画と見比べた範囲ではあるが、日本語版はミッション中でも星1つ分上がりやすくなっているようで、特にカーチェイスや味方を護衛するミッションは、その分だけ難しくなっていると感じた。「リバティーシティ ストーリーズ」でも同様の規制はあったが、今作の方が難易度に与える影響は大きかった。
百歩譲って出血や欠損表現の規制は許せても、ゲームの難易度を大きく変えてしまうような規制は行き過ぎで、日本語版はこの点だけでも非常に残念なバージョンになっている。
“バイスシティ”へと繋がるストーリー
今作は、『グランド・セフト・オート バイスシティ』の2年前の出来事を描く。
前作『グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ』と比べて、今作はよりプロローグ色が強く、『グランド・セフト・オート バイスシティ』のストーリーの甘さをしっかり埋めてくれる。
今作は、主人公(ヴィクター・ヴァンス)のストーリーでもあるのだが、同時に、ヴィクターの弟で『グランド・セフト・オート バイスシティ』にも主人公(トミー・ベルセッティ)の相棒として登場したランス・ヴァンスのストーリーでもある。
「バイスシティ」では、終盤のランスの”行動”に「?」が付くことがあったが、今作を遊んで、ランスという人物を理解すれば、あの行動も納得できるようになると思う。
プロローグとしては、「リバティーシティ ストーリーズ」よりも重要度が高い。
総評
今作は、『グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ』の順当進化版。
『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』と比べなければ(知らなければ)、PS2向けの「グランド・セフト・オート」としても完成度は高く、その”色々と改善されたグランド・セフト・オート バイスシティ”とも言えるゲーム内容は、”III系統のグランド・セフト・オート”の集大成に相応しい仕上がり。
個人的には、「バイスシティ」のストーリーを補足してくれたところが一番遊んだ意味があったなと思った。
なお、現在では、今作は半絶版状態だが、もし遊ぶ機会があれば「III」=>「バイスシティ」=>「リバティーシティ ストーリーズ」=>「バイスシティ ストーリーズ」=>「サンアンドレアス」の順番で遊べば、「リバティーシティ ストーリーズ」同様に素直に楽しめると思う。
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