原題 | Cyberpunk 2077 |
対応機種 | PC,PS5,Xbox Series X┃S etc |
プレイ/クリア時間 | 30時間~ |
👍Good
- サイバーパンクなオープンワールド
- 全体的に洗練されたゲームプレイ
- メインクエストの丁度いいボリューム感
👎Bad
- (発売時は)バグがかなり多い
- 良くも悪くもオーソドックス
『サイバーパンク 2077』は、「ウィッチャー」シリーズで名を馳せた”CD Projekt RED”の新作であり、彼らが初めて作るウィッチャー以外のゲームでもある。
ゲームとしては、2077年の「ナイト・シティ」と呼ばれる大都市を中心にしたオープンワールドゲームになっており、ジャンルとしてはオープンワールド系アクションRPGになる。
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評価
オープンワールドに圧倒される
本作の主役とも言える「ナイト・シティ」は、それ自体の作り込みはもちろん、この規模でサイバーパンクなオープンワールドを作り上げたという点でも驚かされる。
特に「ナイト・シティ」の中心部は、これまでに発売されたオープンワールドゲームに登場したそれとは一線を画する規模感であり、人々が行き交い、その横を何台もの車が通り過ぎ、空を見上げると飛行船がビルの間を飛んでゆくなど、絶え間なく街が動き続けている。
これまでこうした街は、一本道ゲームに”背景(遠くに見える街 etc)”として登場したり、ムービーとして登場するくらいだったが、本作はそれをオープンワールドゲーム上で実現しており、美しいグラフィックと相まってその高い表現力に魅了される。
当然、映像作品で言えば「ブレードランナー」や「オルタード・カーボン」を想起させるサイバーパンクなオープンワールドも魅力的であり、この規模のサイバーパンクなオープンワールドは他に無いこともあり、この世界を自由に探索できること自体に価値がある。
既視感は強いが、面白い
FPS部分はほぼ『ディビジョン』で、ハッキング周りは『ウォッチドッグス』で、FPSとハッキングの組み合わせは『シンジケート』であり、ステルスやスキル周りは『デウスエクス』という感じ。
他にも拠点制圧系のクエストは「ファークライ」っぽさがある。
よって、すでにそれらを遊んでいたり、オープンワールドゲームをよく遊ぶ人であればそれなりに既視感を覚えるゲーム内容になっているが、本作はそれぞれの要素を丹念に自分たちのゲームに落とし込んでいる。
“数字をゴリゴリ削っていく”RPGライクな部分は好みが分かれるかと思うが、FPSとしては繰り返しのプレイに耐えうるクォリティだし、ステルスやハッキングを組み合わせたゲームプレイだったり、スキルの取捨選択だったりもちゃんと機能している。
特にステルスやハッキングは、一部のメインクエストにある「デウスエクス」や「ファークライ」的な自由度の高いステージで存在感を発揮し、上手く使えばスマートに目標を達成できる。
(一部のメインクエストでは比較的広めに切り取られたエリアを攻略していくものがあり、アクション、ステルス、ハッキングなどを自由に組み合わせて自分だけの遊び方ができる)
他にもスキル周りは、「ウィッチャー」よりも重要度が増しており、“自分はどのようになりたいか”を意識してキャラクターを強化していく必要があり、自分なりのキャラクターを作り上げていく面白さがある。
※スキル(パーク)の有無は攻略に影響する
オープンワールドとは対照的に、オープンワールドゲームとしてはオーソドックスな作りをしているので、今年発売された野心的なオープンワールドゲームである『ゴースト オブ ツシマ』や『アサシンクリード ヴァルハラ』などと比べると新鮮さには欠けるが、かと言って目立つ欠点はなく、それぞれの要素が最後まで安定して楽しめるので、ゲームプレイ面のクォリティは非常に高い。
全体的に調整不足感がある
『ウィッチャー3 ワイルドハント』のようにアップデートを重ねて完成度を高めていくとは思うが、発売時点では大小様々なバグが残っており、遊び度に何かしらの不具合に悩まされた。
「人やオブジェクトの表示が変」「字幕が消えない」などの細かなバグは決して珍しくなく、ヒドイものでは”セーブができなくなり、ゲームを再起動しないといけない”なんてバグもあった。
これまでに公開したレビューを読んでもらえると分かる通り、私はバグについては寛容な方だと思っているが、そんな私でも本作のバグの多さには辟易させられた。
他にもインベントリーやクラフト画面などの操作がかゆいところに手が届いていなかったり、ボタン配置が意図しない動作を招く配置になっていたりするので、この辺りもアップデートでの改善に期待、という感じ。
いちプレイヤー、予約購入者としてはもう少し完成度を高めた上で発売して欲しかった。
総評
本作は、他に類を見ない濃密なオープンワールドに、オープンワールドゲームの定番要素を敷き詰めた作品であり、野心的で、オーソドックスな一作だった。
『ウィッチャー3 ワイルドハント』のようなジャンルの新しいスタンダードとなる作品ではないかも知れないが、”隅々まで作り込まれた”サイバーパンクなオープンワールドと、敷き詰められたコンテンツの数々は見事であり、”大作”に相応しい作品に仕上がっている。
それだけに多くのバグは残したまま発売された点は残念に感じる。