対応機種 | PS4,PC(2020年) |
プレイ/クリア時間 | 30時間~ |
ストーリー | デス・ストランディング現象によって分断した世界。
伝説の配達人・サムは、再び世界を繋ぐために北米大陸を横断する旅に出る。 |
👍Good
- 濃密なストーリーと演出
- 身を置くことが癒やしとなる世界
- ゲームとして成立している「配達」
- (後のアップデートにて)フォトモードに対応
👎Bad
- 受注・アイテム作成画面が煩雑
- 乗り物の挙動
- 終盤はムービー過多
本作『デス・ストランディング』は─
- プレイヤーは配達人(サム)としてプレイする
- 目的は荷物を運び、都市と都市を繋ぐこと
- ムービーやセリフがふんだんに用意された映画的な作品
- 有名俳優が多数出演
などが特徴として挙げられるオープンワールドゲームになっている。
小島監督にとっては『メタルギアソリッド 5 ファントムペイン』以来の新作。

評価
【Pros】歩き、癒やされる
主人公サムは伝説の配達人。
人々が外の世界を恐れて”都市”に閉じこもる世界で、主人公のような配達人は都市から都市へと荷物を運び、人々を繋ぐ役割を担っている。
この”配達”は本作のゲームプレイにおけるメイン要素になっており、配達人・サムを操作するプレイヤーが実際に都市と都市の間を練り歩き、荷物を配達する。
言わば本作は、特殊な世界での配達業(もしくは飛脚)を擬似体験できるゲームであり、配達業者として”いかに顧客のニーズに答えられるか”が目的のユニークな作品である。
(配達完了後、仕事に対する評価がリザルト画面に表示される)
- 都市から都市へ、荷物を背負って歩く
- 特殊な世界での配達業(もしくは飛脚)を擬似体験する作風
よって、プレイ時間の多くを”移動”が占める。
これが面白い。
バランスを崩すと滑り落ちる斜面、下を見ることが恐ろしい断崖絶壁や気を抜くと流れに飲まれる川など、大自然を相手にした格闘に毎回手に汗握る。
また、しっかり準備したつもりでも、実際は起伏の激しい地帯だったり、流れが速くて渡れない川だったりする、予期せぬアクシデントも旅に緊張感をもたらす。
やること自体は【都市などで集荷する】=>【出発準備をする】=>【ルートを設定する】=>【歩く】だけれど、随所に飽きさせない工夫がある。
そして、「あの装備を持って来ていれば…」「あそこで無理をしたのは失敗だった」という経験の積み重ねをもとに、旅を最適化していく作業も面白い。
飽きさせない工夫
段階的に様々な要素がアンロックされていく。
トラックはたくさんの荷物を一度に搬送することを、国道は中距離を一気に走り抜けることを可能にする。
ただし、単に何かが追加されるだけではない。
例えば、トラックに積めば一度に搬送できる物量は劇的に増すが─
- エネルギー(=ガソリン)
- 立ち往生した際のリスク
=>主人公一人でトラックいっぱいの荷物は運べない
などの悩みも生まれる。
要するに、新しいことが増える一方で、これまでになかったタイプの悩みも生まれる。
一見するとずっと”同じことをしている”ように見えるけれど、定期的にご褒美を与えることでモチベーションを維持させ、同時に空気の入れ替えも行っている。
【Pros】そこにいること自体が癒やし
基本的に”ゲームオーバー”とは縁遠い作品。
(ノーマルでプレイし、クリアまでに1度だけゲームオーバーになった)
敵として登場する【BT】や【ミュール】は、ゲーム内で語られるイメージとは対照的に倒すことは非常に容易い。
【BT】は【血液グレネード】を投げれば余裕で倒せるし、【ミュール】も【ポーラガン】で拘束状態にすればイチコロ。
- ゲームオーバーとは縁遠い作風
- 強敵として描かれる敵も実際は容易く倒せる
でも、ゲーム内では徹底して”BTやミュールは危険な存在、注意すべき連中として印象付ける”ので、戦闘では”皆が恐れているものをこんな簡単に倒せる自分”が心地よい。
人々の温かさに触れられる
見ず知らずの人の親切に助けられた人が、自分も見ず知らずの人のために何かを残していく。
険しいルートでは、必ず”誰かが見ず知らずの人”のために設置したオブジェクトが目に入り、そこにはそれによって助けられた人たちの「いいね!」がたくさん付いている。
本作のゲーム世界は、ストーリーで語られる現実とは対照的に「いいね!」の連鎖が広がる優しい世界になっており、人々の温かさと繋がりが感じられる。
…
- 常にプレイヤーを立ててくれる戦闘
- いいね!で溢れるゲーム世界
誰かに滅多打ちにされることも、責められることもなく、自分のペースで、自分の道を歩いてゆく。
目の前に広がる大自然と相まってこの世界に身を置くこと自体が癒やしとなる。
【Cons(欠点)】反復性が強い
基本的には”荷物を背負って都市から都市を行き来するだけ”。
メインミッションでは特別な舞台設定を用意し、サイドミッションは反復的な内容を中心にという棲み分けもされておらず、ミッション構造はどれも同じ。
いくら”飽きさせない工夫”とは言っても、5時間、10時間、15時間…と同じことを延々と繰り返しているとさすがに飽きて来る。
【Cons(欠点)】”ストーリーを進めている”という感覚に乏しい
基本的に、”いくつかの配達(お使い)を完了することでストーリーが進展する”。
- 配達(1)xxに機材を運べ
- 配達(2)xxにピザを届けろ
- 配達(3)xxに鉱物を届けろ
というセットを完了することでストーリーが進展するのだが、個々の配達ではほとんどストーリーは進展せず、停滞してしまっている。
なので、今ひとつメインミッションの醍醐味である”ストーリーを進めている”という感覚に乏しく、メインもサイドも似たりよったりな印象を受ける。
総評
非常に独創的で、チャレンジ精神に溢れた一作。
「配達」に焦点を絞った一点豪華主義的な作風ではあるものの、その一点を支える要素も非常に質が高く、尖っておらず、むしろ角を丁寧に丁寧に丸く仕上げている。
そして、その独創性がゲームプレイとのバーターにもなっていない。
決して100点満点とは言わないけれど、終わってみれば欠点の多くは「些細なことだった」と許容できる範囲のものばかりだ。
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