原題 | Watch Dogs Bloodline |
対応機種 | PC,PS,Xbox |
プレイ時間 | 5時間~ |
ストーリー | レギオンより少し前。エイデンは「BrocaBridge」と呼ばれる装置を盗むために、巨大IT企業「Broca Tech」に侵入する。しかし、レンチが先に「BrocaBridge」を奪ったことで、エイデンの任務は失敗する。その上、エイデンは「BrocaBridge」の持ち主であるトーマス・ロンパートに囚われてしまう。 |
今作は、『ウォッチドッグス レギオン』向けに配信されているストーリーDLC。
『ウォッチドッグス』からはエイデン・ピアース、『ウォッチドッグス2』からはレンチが主人公として登場している点が特徴になっており、「レギオン」と同じ近未来のロンドンで、二人が大暴れする。
評価
エイデンを主人公に据える意味
『ウォッチドッグス レギオン』は、“ロンドンの住民全員が操作キャラクターになる”ゲームだったので、特定の主人公はおらず、ましてや個人個人のストーリーを掘り下げることは不可能だった。
一応、「レギオン」のレビューにも書いたように、モブ同士が相互に繋がる仕組みのおかげで、”お気に入りのキャラクターを殺したモブを見つけ出して復讐を果たす”というドラマが偶発的に発生したこともあったが、私が遊んだ中ではレアケースで、ほとんどの操作キャラクターに関しては「何も知らない」も同然だった。
よって、『ウォッチドッグス』や『ウォッチドッグス バッドブラッド』、『ウォッチドッグス2』のように一人の主人公に絞ってストーリーを描いてきた過去作と比べると、人物の掘り下げが不十分で、その分だけ、ストーリーに厚みも生まれなかった。
対して、今作ではエイデン・ピアースやレンチを主人公にすることで、彼らのパーソナルな部分も掘り下げられるようになり、”巨大ロボ企業の計画を阻止する”までの過程を、主人公たちの苦悩や葛藤とともに描くことで、ストーリーに様々な視点を取り入れている。
当然、エイデンやレンチには、それぞれに過去作分のバックグラウンドがあり、彼らの言動はその過去を反映したもので、二人は様々な厄介事を背負い込んだ複雑なキャラクターだ。ストーリーでは、その二人がそんな過去と決別し、次の段階へと進む姿を描いており、単に”悪を退治して終わり”ではなく、それを通して変化する人物の内面も描いている。
やはり、「デッドセック」全体の話として描かざるを得なかった『ウォッチドッグス レギオン』と比べると、今回は主人公自身に焦点を絞って描ける点が大きな武器になっており、人物像を掘り下げることで、ストーリーに厚みが生まれている。
「レギオン」の時に指摘された、ストーリー面の弱さを克服している。
レギオンをベースに1と2を乗っける
基本的には、『ウォッチドッグス レギオン』と同じ。
今作もミッション目標だけが指定され、あとは各々のプレイスタイルに合わせて攻略していく作風で、サンフランシスコ系デッドセックのように、ドローンやハッキングを駆使してスマートに攻略することも、シカゴ系ビジランテのように、自ら敵のエリアに潜入し、警棒や銃を使いながらアグレッシブに攻略していくこともできる。
“周囲の環境を組み合わせて自由に遊べる”という良さは、今作でも継承されているので、シリーズファンであれば特に不満なく楽しめると思う。
今作はミッションも面白い。
特にサイドミッションがよく出来ている。小さなストーリーを持ったユニークなものが用意されていて、クリアするとアップグレードもアンロックされるので、すべて遊んでしまった。また、終盤のサイドミッションは『ウォッチドッグス2』のポップなノリが再現されており、その底抜けの明るさと、ぶっ飛んだミッションは、「2」を遊んでいるような気分にさせてくれた。
他にも色んなゲームのパロディを取り入れていて、その面でも個性的なミッションが揃っていて、ネタ的に楽しめることも多かった。
エイデンの声優が交代に
日本語版はエイデンの声優が交代になっている。
今回は、前作から16年後ということでエイデンの外見も変わっているので、正直、最初は名前は同じでも、一作目のエイデン・ピアースとは別人のように感じた。終盤、若い頃のエイデンが登場するのだが、顔は以前のままで声は別人ということで、非常に違和感があった。
なお、今作のエイデンの声は『アサシンクリード オデッセイ』の主人公の父親(ニコラウス)と同じ方なので、当然ながら演技の面では全く問題ない。ただ、いちファンとしては、主人公の声は同じ人が続投して欲しかったと思う。
総評
予想以上に遊べたので、非常に満足度の高い一作だった。
1,500円ほどのストーリーDLCなので、そこまで期待はしていなかったのだが、サイドミッションも含めてコンテンツは充実しており、ストーリーも、『ウォッチドッグス』と『ウォッチドッグス2』の後日談的な内容が面白く、最後まで引っ張ってくれるくらいには充実した内容だった。
「レギオン」が合わなかった人でも、一作目や二作目が好きなら遊んで損はないはず。
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