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【評価・感想】『ゴッサム・ナイツ』レビュー

ゲームレビュー
ゲームレビュー
この記事は約8分で読めます。
原題Gotham Knights
対応機種PC,PS5,Xbox Series S/X
プレイ時間16時間~
ストーリーバットマンとゴードン亡き後のゴッサム・シティ。”梟の法廷”と呼ばれる謎の結社の活動が活発化する中、バットマンの意志を受け継いだナイトウィング、バットガール、ロビン、レッド・フッドの四人は、力を合わせてその脅威に立ち向かう。

本作は、2022年に発売されたオープンワールド・アクションRPG。「Rocksteady Studios」とともに「アーカム」シリーズを手掛けた「WB Games Montréal」による、”バットマン亡き後のゴッサム”を描く新作のバットマンゲームになる。

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著者情報
Kakihey

2014年末より当サイト「Kakihey.com」を運営中しています。現在までに300本以上のゲームレビューを公開しています。基本的にPCでゲームを遊んでいます。

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評価

協力プレイにも対応しているが、この記事はソロプレイに絞ったものになっています

“ゲーム版バットマン”として、あまりにも有名な「アーカム」シリーズ。

「Rocksteady Studios」が開発した『バットマン アーカム・アサイラム』は、簡単な操作でバットマンの豪快な戦いが楽しめる戦闘システムや、シリーズの始まりを描く重厚なストーリーが高く評価され、”ゲーム版バットマン”の枠を飛び越えて、キャラゲーの金字塔とも言える存在となった作品。

本作は、その「アーカム」シリーズとは別のシリーズで、開発元も異なる。

ここは『バットマン アーカム・オリジンズ』を手掛けたスタジオなので、「アーカム」シリーズとは無関係とは言い切れないのだが、本作に関しては「アーカム」シリーズとは別のストーリーを描き、別のゲームプレイが用意された新規タイトルになる。

とは言っても「アーカムシリーズとはどこが違うのか?」は気になるところだと思うので、この記事ではその辺りを中心に本作を振り返っていく。

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アーカム・シリーズと比較

違い一つ目は、近年の”Ubisoftゲー”っぽいオープンワールドで、RPGな作風であること。レベル制度が存在し、格上の相手には、”まるでこんにゃく・・・・・を叩いているかのようなペチペチとした攻撃しかできないゲーム”と言えば、大体のゲーム内容は想像できるかと思う。

本作でも、ミッションの推奨レベルに合わせて、操作キャラクターのレベルをコツコツ上げ、それと並行して装備品の作成や強化なども行い、敵の強さにしっかり付いて行く。

私が遊んだ限りでは、レベル差などは分かりやすく戦いに反映される印象で、難しく感じたミッションも、十分に準備して再挑戦したら難なくクリアできたというように、割りとRPG寄りのバランスになっている。特にボス(or中ボス)戦は、主人公のビルドがモノを言うところがあり、下手するとギリギリの戦いを強いられる。

したがって「アーカム」シリーズと比べると、本作はRPG要素が何倍も強い。戦闘と同じくらい”プレイスタイルに合わせて主人公を作り上げていく”ことにも重きが置かれており、こうした作りは、当然「アーカム」シリーズではなく、”Ubisoftゲー”を始めとするRPG風味のオープンワールドゲームに近いものと言える。

難易度ノーマルで遊んだ場合、本格的なRPGというよりは、手軽に楽しめるライトなRPGという印象だったが、「レベルを上げる」「装備品の組み合わせを考える」など、最低限の要素はおさえた作りで、”Ubisoftゲー”をよく遊ぶ私としては十分楽しめるものだった。

二つ目の違いは、戦闘システム。

本作の戦闘システムは、「アーカム」シリーズというよりは「Insomniac Games」開発の『Marvel’s Spider-Man』に近い。敵の攻撃を知らせる表示は攻撃を繋げるきっかけではなく、避ける合図になり、そのタイミングで敵の攻撃を上手く避けて、その後にまた攻撃を加えていく。

たしかに「アーカム」シリーズ、『Marvel’s Spider-Man』の戦闘と比べると”テンポが良い”とは言えない。

発売前に公式プレイ動画を観たときは、正直「うわっ…この戦闘、トロすぎ…」と思ったし、自分がキャプチャしたプレイ動画を観てみても”映えるゲーム”とは思わないのだが、実際に遊んでいるときの感触は、案外悪くなかったりする。

本作の戦闘も、基本は攻撃と防御の繰り返しなので、操作自体は非常にシンプルだが、一方で敵ごとに異なる攻撃パターンに対応したり、特徴的なアビリティを使い分けたりなど、戦闘中に意識させられることは多く、思っていた以上に熱中できる戦いが用意されていた。執拗な攻撃をきっちり回避し、強敵を撃破した瞬間などは達成感もあり、決して退屈な戦闘ではなかった。

もちろん『Marvel’s Spider-Man』と比べても戦闘のテンポは数段落ちる印象は受けるが、ゲームのコアとなる要素として、十分楽しめる戦闘システムになっており、私は大きな不満なく最後まで遊べた。

ちなみに、ステルスプレイは「アーカム」シリーズ的。

高台からエリア全体を俯瞰し、そこからテイクダウンを決めていく。ただ、「アーカム」シリーズとは異なり、発見されてもそのまま戦闘に移行できるので、こちらの方が難易度は低い(※アーカムシリーズではバットマンが敵の銃撃に非常に弱かった)。なお、ステルス状態を維持するとボーナスが貰えることもある。

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主人公が4人もいる意味は?

本作では「ナイトウィング」「バットガール」「ロビン」「レッド・フッド」の四人が操作キャラクターとして用意されており、好きなキャラクターで遊べる。

四人にはそれぞれ固有のスキルやアビリティが用意されており、アクションが得意か、ステルスが得意かという形で差別化されている。彼らの得意分野を意識して使い分けると「遠距離から攻撃しやすい」「ステルスが少しやりやすい」など、細かな違いが分かるようになっており、使い分ける楽しさはちゃんとある。

ちなみに、各キャラクターのステータスは共通。一人のレベルが上がると他の三人も同時に上がるので、一人だけ突出して高レベルで、他は低レベルということにはならない。

個人的なオススメを言うと、バットガール。

自動回復系とハッキング系が充実しているので、アクション特化でもステルス特化でも遊べる。アクションもステルスもつまみ食いしつつ遊びたいプレイヤーにピッタリなキャラクターだと思う。

オープンワールドゲームとしては

オープンワールドゲームとしては、こちらも『Marvel’s Spider-Man』っぽい作り。

本作の「ゴッサム・シティ」には犯罪者も一般市民もいる。そして、オープンワールド内にはサイドミッションや収集物、ランダム(?)で発生する進行中の犯罪などがあり、ヴィジランテとしてそれらに対処しながら、メインミッションを進めていく。守るべき市民がいて、そんな彼らからの反応がダイレクトに伝わってくる環境は、”ゲーム版バットマン”としてはユニークなところだと思う。

なお、「ゴッサム・シティ」内には「ベルフライ」と呼ばれる本拠地が存在する。

ここはメインミッションに一区切りつくと戻ってくる場所になり、ここで操作キャラクターを変更したり、それぞれの専用ムービーを観たりなどができる。日中はここにいて、オープンワールドに出たタイミングで時間が夜まで進むという形。

また、肝心のミッションは、かなり凝った作りで印象が良い。

ミッションごとに専用エリアが用意されているし、遊びとしてアトラクション的なイベントや簡単なパズルもしっかり用意されていて、”今の”大作ゲームに相応しいリッチな作りをしている。これはヴィランに焦点を当てたサイドミッションにも言えることで、数は少ないが、その分手が込んでいる。

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気になったところ

まず、メニュー周りが煩雑で、慣れるまで時間が掛かった。

よく遊ぶ「アサシンクリード」が洗練されているからというのもあるが、メインメニューの開き方からその中での操作まで、ごちゃごちゃしている印象を受けた。ボタンちょい押しと長押しで開く画面が違うのも、最初は戸惑うところだと思う。

あと、PC版はパフォーマンス面に難がある。

ほぼ60fpsを維持して遊べたが、シーンの切り替わりやオープンワールドを移動中にガクッとフレームレートが落ちる瞬間が何度もあった。プレイに支障を来すレベルではないが、せっかくの没入感は削がれる。

パフォーマンスに関しては、今後のアップデートで解消されるかも(22年12月時点)

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総評

スーパーヒーロー系オープンワールドゲームの良作。何かが突出して面白いというわけではないが、戦闘は楽しくて、ミッションも凝っているし、プレイ中の不満点に関しても、終わってみれば些細なものだったと片付けられるものばかりで、予想以上に面白いゲームだった。

ストーリー面では、「アーカム」シリーズとは異なるキャラクターの描写や若きナイトたちの精神的支柱としてのバットマンの姿が印象に残り、ニワカ的にはこっちのバットマン世界も楽しむことができた。

発売後の評判的に続編が出るか怪しいところだが、もし出れば遊びたい。

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