原題 | Dying Light |
対応機種 | PC,PS4,Xbox One |
プレイ/クリア時間 | 20時間~ |
👍Good
- パルクール主体のゲームプレイ
- 量より質のコンテンツ
- 育成要素
👎Bad
- 既視感が強い
紹介
どんなゲーム?/パルクール主体のゾンビゲー
オープンワールド系ゾンビゲーム。
開発は「デッドアイランド」シリーズで知られる【Techland】。
ゲームとしては、「パルクール」を採用したスピーディなゾンビゲームになっており、プレイヤーはクレインとして世界から隔離されたゾンビ世界でサバイバルしながら与えられた任務を遂行していく。
エンハンストエディション とは?
いわゆる完全版。
本編とDLC「ザ・フォロイング」が収録されている。
ダイイングライトのストーリー
ハラン市で謎のパンデミックが発生。
市民の多くがゾンビへと転化してしまい、街全体が封鎖された。しかし、街には取り残された市民や、”この件に関する極秘文書”を持った人物も潜伏していた。
公的機関の一員であるカイル・クレインは、市民を救うべく、そしてこの事態を収拾すべくハラン市に潜入する。
評価
【Pros】パルクールは「英断」
パルクールの導入は英断。
実質的な前作『デッドアイランド』から多くのものを流用しながらも、『ミラーズエッジ』的なパルクールの導入によって“ひっきりなしにゾンビの相手をさせられる”グダグダ感を見事に解消しており、非常にスマートな作品に仕上げている。
- 「パルクール」はグダグダ感を解消する
例えば『デッドアイランド』ではゾンビを避ける手段が限られていたので、進行ルート上のゾンビとダラダラと戦い続けるテンポの悪さが生じていたのだが、本作の場合はパルクールを駆使することで、”ゾンビに触れることなく”目的地まで直行できるのだ。
- 「パルクール」を使えばゾンビに触れることなくスピーディに移動できる
戦いたい時は地上を進み、そうでない時はパルクールで移動する。
本作ではゾンビと常に戯れたいプレイヤーと、一定の距離を保ちたいプレイヤーの双方が納得できるゲームプレイを実現している。
【Pros】プレイの密度を高める「昼夜」の存在
昼夜でゲーム内容が一変する。
日中は比較的ヌルく、中盤に差し掛かる頃には”落下死以外で死亡するのは稀”というレベルだが、夜になると執拗にプレイヤーを追い回すボラタイルやナイトハンターが出現し、周囲のリアルな暗さと相まって難易度は釣り上がる(※夜は経験値が倍増)。
- 昼夜でゲームの難易度は激変する
そしてその分だけ、プレイの密度は高まる。
すでに述べた通り、夜の単独行動は非常にリスクが高いので、必然的にエリアの探索や物資調達は日中に済ますことが多くなるのだが、その際は“いかに限られた時間でタスクを消化するか”を意識させられるので、自然とダラダラと遊ぶ時間が減り、プレイの密度は濃くなる。
- 「夜」の存在が日中のプレイの密度を高める
ビデオゲームにおいて、昼夜のサイクルは何も珍しくない。
しかし、本作の場合は単に画面の変化で済ますのではなく、しっかりとプレイに落とし込んでいる点が見所であり、昼夜の存在はゲームに緩急を付けてくれる良いアイデアだ。
画的にもアリ
危険な夜のスラム街を駆け抜ける様子は、まるでゾンビ映画のスリリングなワンシーンそのもの。
【Pros】当たりの多いサイドミッション
全てとは言わないが、当たりのサイドミッションが多い。
プレイ自体は反復的な内容が目立つが、”良くも悪くも予想外の結末を迎える”お話として面白いもの”が多く、サイドミッションの満足度は高い。
永続的な決断も
サイドミッションを完遂した/しないは、演出やセリフに反映される。
本作はマルチエンディングではないものの、こうした”永続性”はゲームへ介入する場面を作り、サイドミッションをプレイする動機を生んでいる。
【Cons(欠点)】”あえて言えば”無個性
非常に洗練された作品だが、その一方で驚くほど無個性。
ベースは『デッドアイランド』で、「パルクール」は『ミラーズエッジ』。また、拠点制圧や電波塔の開放は『ファークライ3』だし、クラフトやロックピンは『フォールアウト4』仕様。
加えて、ワイヤーアクションは『ジャストコーズ』。
- 各作品からの拝借が目立つ
ただ、プレイ感覚は非常に優れている。
肝心のパルクールはレスポンスがよく、近接攻撃やシューティングも一定の質が確保されている。さらに、本作でもタマヒュンするほどの高所を駆け回り、返り血を浴びながらナタでゾンビを切り裂いていくのは爽快だし、ショット・ガンで脳天を撃ち抜くのも楽しい。
以前、『Dead Space』が既存のアイデアの寄せ集めで成功を収めたが、それのデジャブに近い。
総評

宿敵のライズ(左)。ただし、彼にはニーガン(*ウォーキング・デッド)ほどのカリスマ性はない。
プレイヤーのゾンビ愛を一身に受け止めてくれる一作。
確かに、予定調和的なストーリーや感情の変化を読みにくい主人公の描写は玉に瑕だが、それらは些細な欠点であり、全体としては非常に洗練されたゾンビゲームである。