開発元 | Bloober Team |
ハード | Steam, PlayStation 4, Xbox One |

サイバーパンク感溢れる舞台は最大の魅力。
ユニークな住民たちとの会話や、好奇心を刺激するパズルなど、少数精鋭スタジオが送る良質なアドベンチャーゲームになっている。
紹介
どんなゲーム?
サイバーパンク系アドベンチャーゲーム。
開発は『Layers of Fear』を代表作に持つ【Bloober Team】で、プレイヤーは”容疑者の脳に入り込んで事件を捜査する”「オブザーバー」としてある事件を捜査する。
オブザーバーのストーリー
時は2084年。あなたはハッキングして容疑者の脳に入り込むことを使命とする 「オブザーバー」の一員で、神経病理学に詳しい精鋭刑事ダニエル・ラザルスキ。
「オブザーバー」は企業の資金提供を受けた警察の一部隊である。
有力企業カイロン社のハイレベルな技術者である、疎遠になっていた息子からの謎のメッセージを受信すると、あなたは調査のためにクラクフの怪しげなスラム街に潜入する。
そして証拠収集のためにハッキングして犯罪者やその犠牲者の脳に入り込む時、彼らの最たる恐怖を追体験しなければならない。あなたはどこまで真実を追い求めるか?
引用元 – Steam
評価
【Pros】サイバーパンク感に溢れるゲーム世界
私の大好きな映画に『ブレードランナー』がある。
この映画は、酸性雨が降りしきり荒廃してしまったロサンゼルスを舞台に、主人公リック・デッカードと精巧な人間型ロボットたちとの対決を描く作品なのだが、私はとにかくこの映画のストーリーもビジュアルも大好きだ。
そんな私にとって、『ブレードランナー』にて強烈なインパクトを残した俳優ルトガー・ハウアーが主人公を演じている点と、その映画を連想させるオープニングの存在だけで「合格」なのだが、それ以外のビジュアルも優れている。
要するに、舞台となる荒廃したアパートはSFファンの心を掴むには十分な仕上がりなのである。
【Pros】想像力を掻き立てる演出
本作はいわゆる【ウォーキング・シミュレーター】。
基本的にアクション要素はなく、探索とパズルが8:2くらいの割合になっており、エリアを隈なく探索してストーリーを進めていくタイプの作品となっている。
- 本作はウォーキング・シミュレーター
さて、この手の作品はとにかく「探索」に興味を持てるかが重要である。
その点、本作は巨大電光掲示板に投射される不気味なCMや、スラム街の向こう側に見える高層ビルなどSF映画で見る”あの世界”が忠実に再現されており、SFファンの探索欲を刺激してくれる。
丹念に作り込まれた舞台以外にも、プレイヤーの想像力を掻き立てる(=考察が捗る)住民との会話や、ゲーム世界を深掘りする文章コンテンツが多数用意されており、”素通りは勿体ない”と感じるほどの世界が構築されているので、歩くだけなのに退屈しない。
欲を言えば…
もう1つ2つ別のエリアが欲しかったのは本音。
少数精鋭のインディースタジオに求めるのは酷かも知れないが、広い世界の存在を予感させるオープニングとは対照的に、舞台となるのは荒れた狭い一棟のアパートになっており、目の前のフェンスを飛び越えてもっと深くに潜りたい。
【Cons(欠点)】一部の猟奇的な演出
ストーリーのカギとなる脳内世界はややクドい。
強烈な視覚効果と音響効果で魅せる演出によって、本作独特の世界観が構築されている面はあるのだが、1回1回が長く後半の方は興味が薄れてしまっていたのも事実。
鬼ごっこもワンパターン
また、脳内世界での”鬼ごっこ”も一工夫欲しい内容だ。
プレイに緩急を付けるという意味では重要な要素なのだが、中身自体は実に単調。幸い、難易度は相当低いのでストレスにはならないが、エリアのギミックを駆使して対抗するようなゲーム性が求められる。
【Cons(欠点)】日本語の精度にやや難あり
少なくともマルチランゲージ版は日本語訳の精度にやや難アリ。
オプションのApplyを「適用」ではなく、「応募」と訳しているのを見てイヤな予感はしていたが、ちらほらと直訳っぽい訳が混ざっており、プレイヤーの脳内補正力が求められる。
※読める日本語ではある。
【総評】サイバーパンク好きはマストバイ
良作のサイバーパンク系アドベンチャーゲーム。
一部の猟奇的な演出は余分に感じられたが、近未来の負の側面を見事に捉えたゲーム世界は一見の価値ありで、『ブレードランナー』風の世界にどっぷりと浸かり、サイバーパンクな世界を堪能できる。