【評価/レビュー】>observer_【批評/感想】

開発元 Bloober Team
ハード Steam, PlayStation 4, Xbox One

『Layers of Fear』のBloober Teamが送る、サイバーパンク系アドベンチャーゲーム。

私の大好きな映画に『Blade Runner』がある。この映画は、酸性雨が降りしきり荒廃してしまったLOS ANGELESを舞台に、主人公Rick Deckardと精巧な人間型ロボットたちとの対決を描く作品なのだが、私はとにかくこの映画の物語もビジュアルも大好きだ。

そんな私にとって、本作の『Blade Runner』を連想させるオープニングと、同映画で強烈なインパクトを残した俳優Rutger Hauerが主人公を演じている2点だけで「合格」なのだが、それ以外のビジュアルも優れており、舞台となる荒廃したアパートはSci-Fiファンの心を掴むには十分な出来だろう。

巨大電光掲示板に投射される不気味なCM、スラム街の向こう側に見えるビル群や人体改造されたジャンキーたちなど、開発元であるBloober Teamの拘りが随所に感じられるデザインになっており、Sci-Fi作品にゾッコンな人たちによる作品なのだとひと目で分かる。

ゲームプレイは、探索とパズルが8:2位の割合になっており、いわゆるWalking Simulator感が強い。アクション要素は全くなく、エリアを隈なく探索して物語を進めていくタイプの作品だ。

この手の作品は、とにかく「探索」に意味を持たせる必要があるのだが、今作のそれにはプレイヤーの想像力を掻き立てる住民との会話や、ゲーム世界を深掘りする読み物が用意されており、そこの丹念な作り込みは好印象だ。

しかし、物語のカギとなる脳内世界はややクドいと感じた。強烈な視覚効果と音響効果で魅せる演出によって、本作独特の世界観が構築できるのだが、1回1回が長くて後半の方は興味が薄れてしまっていた。

また、脳内世界での”鬼ごっこ”はゲームに変化を生んでいるものの、中身自体は実に単調でここもひと工夫が欲しかったところだ。幸い、難易度は相当低いのでストレスにはならないが、エリアのギミックを駆使して対抗するようなゲーム性が求められる。

それ以外では、思っていた以上にエリアが狭かった点。少数精鋭のインディースタジオに求めるのは酷かも知れないが、広い世界の存在を予感させるオープニングとは対照的に、舞台となるのは荒れた狭いアパートになっており、もう1つ2つ別のエリアが欲しかったのは本音。

あと、日本語でプレイした人間的には日本語訳の精度も気になった。オプションのApplyを「適用」ではなく、「応募」と訳しているのを見てイヤな予感はしていたが、ちらほらと直訳っぽい訳が混ざっており、プレイヤーの脳内補正力が求められる。※読める日本語ではある。

一部の猟奇的な演出は余分に感じられたが、ディストピアな近未来を見事に再現したゲーム世界は一見の価値あり。「もう少し規模の大きな作品だったら…」という思いを隠さずにはいられない良作Sci-Fi作品だ。