原題 | DEX |
対応機種 | PC,PS4,Xbox Oneなど |
プレイ時間 | 10時間~ |
レトロかつモダンな良作。
『デウスエクス』はもちろん、『ブレードランナー』や『オルタード・カーボン』が主成分の人であればきっと満足できるはず。
紹介
どんなゲーム?
2Dの横スクロールをベースにしたオープンワールド系RPG。
ゲームとしては
- 横スクロールアクション/ステルス
- 見下ろし型シューティング
- 「選択」によるストーリーの変化
- スキル/肉体強化
を特色とした内容になっている。
また、本作はサイバーパンクかつディストピアな世界観を持つゲームでもある。
Dexのストーリー
評価
【Pros】2D版デウスエクス(?)
ズバリ、2D版デウスエクス。
【ダイアログシステム】を介した「選択」、その「選択」によって変化するクエストの結末、さらに【インプラント】による主人公の強化など、多くの点において『デウスエクス』と共通点を持つ作品。
例えば「選択」によって、小さなところでは情報をタダで聞き出せたり、逆に高い情報料を求められたりする。大きなところでは、本来なら殺すべきターゲットでも、相手とじっくり対話することで別の解決策が見えて来たりする。
また、【インプラント】は”基礎能力プラスαのもの”が大半だが、それによって探索可能なエリアが広がったり、攻略の際に役立ったりする。
+オマケ感のないサイドクエスト
サイドクエストは、ゲーム世界を補完するものだったり、ディストピアな世界に生きる住民たちに焦点を当てたものが中心。
そして、そのどれもが小さなストーリーを持っている。
なので、『デウスエクス』や「ウィッチャー」のようにお話に釣られて遊んでしまうことが多く、それをさせるほどには練られたストーリーになっている。
また、サイドクエストの中にも”数種類の展開が用意されている”ものが少なくないので、メイン同様に【ダイアログシステム】を通して自分の考えをゲーム世界に反映していくことが面白い。
あと、本作は「レベル」や【インプラント】がモノを言う。
基本的に、”これらを強化する近道がサイドクエストを淡々と消化していく”ことなので、サイドクエストがしっかり作り込まれているのは大きい。
選択した結果はサイドクエストを横断する
個々のサイドクエストは完全に独立しているわけではなく、薄い繋がりを持っていることが多い。
例えば、あるクエストで人助けすれば、別のクエストでその人がお礼として協力してくれたりする。
この”サイドクエスト同士が横断する”仕組みも面白く、これはその場しのぎ的な選択を難しくし、プレイヤーに「選択」することの重さを実感させる。
…
はっきり言って目新しさは無い。
けれども、各要素は「デウスエクス」ファンを十分に満足させられるクォリティになっており、ちゃんとツボを押さえている。
【Pros】2Dのオープンワールド
目の前には『ブレードランナー』や『オルタード・カーボン』の世界が広がる。
赤いネオンで照らされた”いかがわしい”大通り、怪しげなチャイナタウンや偏屈親父がいるジャンクヤードなど、「サイバーパンク」と聞いて連想するものが見事に再現されている。
また、背景と同じく街を彩る市民たちもしっかりと描かれており、2Dゲームにもかかわず奥行きを感じさせるゲーム世界になっている。
ゲーム世界を自由に探索できる
プレイヤーはそんな”2Dで描かれた美しいゲーム世界”を自由に探索できる。
そして、この点も『デウスエクス』と共通する部分。
プレイヤーは「スキル」を駆使してアパートの一室や倉庫などに忍び込み、アイテムや現金を拝借できるので、やはりこのゲームも探索した分だけ報いてくれる。
また、エリア内にはこれまた『デウスエクス』と同じくゲーム世界を掘り下げる読み物が用意されており、探索することが=ゲームへの理解を深めることにも繋がる。
【Cons(欠点)】退屈なハッキング
主人公Dexはハッカーということで、ゲーム内に【ハッキング】要素が組み込まれている。
しかし、この【ハッキング】要素がイマイチ。
まず、【ハッキング】のミニゲームは【見下ろし型シューター】仕立てになっており、プレイヤーは球体を操作し、敵の攻撃を避けたり、迫って来る敵を破壊してエリア内に置かれたデータを回収していく。
一応、【見下ろし型シューター】としては”可もなく不可もなく”というクォリティなのだが、下記の欠点のおかげで退屈さを感じる。
- 破壊されると強制的に2D世界に戻される
2D世界から再度パソコンにアクセスして再挑戦しないといけないので面倒 - ステージ2まで来ていても、リスタートした場合はステージ1から復活
幸い倒した敵は復活しないが - ミニゲーム中は自由に【フォーカス(体力)】を回復させられない
【フォーカス】を回復するためだけにわざわざ2D世界に戻るのは面倒 - ナビゲーションの類がないので広いエリアをウロウロさせられる
全体的に、このゲームは気配りの利いた非常に遊びやすい作りをしているのだが、こと【ハッキング】に限ってはそれが全く感じられず、作品全体の足を引っ張ってしまっている。
Xboxコントローラ推奨
私はプレイ時間の8割をキーボード/マウスで、残りを【Xboxコントローラ】でプレイしたのだが、【ハッキング】のミニゲームに関してはゲームパッドの方が断然遊びやすかった。
ゲームパッドでは左スティックで球体を操作し、右スティックで方向調整するのだが、キーボード/マウスでするよりも細かな動きが可能で、余計なダメージを受けずに遊べた。
総評
(二度目だが)良い意味で2D版デウスエクス。
プレイヤーの「選択」によって結末が変わるメイン/サイドクエスト、探索する意味を感じるオープンワールドやツボを押さえたアートワークなどが優れており、それらを包み込むノスタルジックな2D世界も魅力的。
レトロかつモダンな良作であり、『デウスエクス』はもちろん、『ブレードランナー』や『オルタード・カーボン』が主成分の人であればきっと満足できるはずだ。
👍Good
- 2D版デウスエクス的な中身
- 2Dで描かれたゲーム世界
- メイン/サイドのクォリティ
👎Bad
- ハッキングのミニゲーム
- チェックポイントがない
- 時々ナビゲーションが悪い