開発元 | Team Ico,gen DESIGN |
ハード | PS4 |
プレイ/クリア時間 | 10時間~ |
出会えてよかったと思える作品。
濃密なアクションアドベンチャーゲームになっており、私は「トリコ」と過ごしたあの時間が今でも忘れられない。
紹介
どんなゲーム?
少年とトリコの冒険を描くアクションアドベンチャーゲーム。
ゾウよりも遥かに大きく、そして鷹の足を持ったイヌのような生物を、少年は「トリコ」と名付け、2人の出会いは期せずして大冒険へと発展していく。
プレイヤーは少年として、「トリコ」と交友しながらこの世界の謎を解き明かしていく。
人喰いの大鷲トリコのストーリー
評価できる点
少年とトリコの絆
このゲームは、少年と「トリコ」の関係性が重要な要素として存在する。
まず、ビデオゲームにおいて、相手との関係性は「友好度」として数値化されていることが多い。
例えば、「ザ・シムズ」シリーズでは交友関係欄に~100までの数値が表示され、それが100に近づくほど関係が前進し、逆に0に近づけば近づくほど関係が悪化していく仕組みになっている。
プレイヤーはその数値化された「友好度」を見ることで、相手との関係が発展していることを確認する。
- 一般的に他のキャラクターとの友好度は「数値化」される
その点、このゲームにはそうしたものは用意されていない。
まるで本物の動物を相手にするかのように、プレイヤーは「トリコ」の鳴き声や仕草から相手の感情や相手との距離感を感じ取らないといけない。
さらに、少年が危険な目に遭っているとトリコはいつでも助けに来てくれる。
「トリコ」との友好度は分からない。
けれども、一緒に冒険する中でその関係が発展していくことが分かったし、2人の間に絆が生まれたことも分かった。
このゲームは、ビデオゲームであっても相手の声、仕草や行動を心で感じ、相手を理解しようとすることが濃密な関係を築く基礎となるということを教えてくれる。
ここに「友好度」が入る余地はないのだ。
トリコはまるで生きているよう
ゲームのキャラクターという感じがしなかった。
「トリコ」とは少なくとも10時間以上は一緒に居たわけだが、一度たりともゲームっぽい動きをすることがなく、至近距離からまじまじと観察しても一切の矛盾が見られなかった。
- 現実世界に比較対象がないこと
- 全身が羽で覆われているので誤魔化しやすい
という点は考慮すべきだが、それでも「トリコ」の思考プロセスや挙動はまるで生きているようであり、ペット的な愛着が湧いて来たのは決して私だけではないはずだ。
その結果、この記事を執筆している今は、ペットロスならぬ、トリコロスに近い感情の中で文字を打っている。
(頭の中では「トリコ」のあんな姿やこんな姿がぐるぐると回っている)
傍から見ると理解不能なのは承知だが、私は「トリコ」との冒険に終わりがある事実さえも辛く、画面の中にしか存在しないことも同様に辛く感じた。
だからこそ、言うことを聞かないことも許容できる
「トリコは頭が悪い!」と怒る人もいるけれど、それは飼っているイヌやネコが言うことを聞かないから怒っているのと一緒。
逆に、私は「トリコ」に的確に指示を出すことができ、かつその通りに動かれると興醒めしたはず。
常にプレイヤーの指示通りに動かない点は、「トリコ」を動物らしく感じさせる部分で、ときに愛らしく感じさせる部分でもある。
【Cons(欠点)】欠点、プレイ面は課題山積
正直、製品としてのクォリティは70点くらい。
HUDレスなので没入感は高いのだが、それの弊害として迷子になることが多く、せっかくの山場が台無しになってしまったことがあった。
また、技術的な問題も抱えており、融通の利かないカメラワークや低いフレームレートも欠点として挙げておきたい。
総評
出会えてよかったと思える作品。
ゲームプレイ面ではいくつか問題を抱えているが、「トリコ」と過ごした時間の前では些細な問題に過ぎず、私は「トリコ」と過ごしたあの時間が今でも忘れられない。
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