原題 | The Evil Within |
対応機種 | PC,PlayStation,Xbox |
プレイ時間 | 15時間~ |
ストーリー | ある精神病院で大量殺人事件が発生し、刑事のセバスチャンたちが現場に送り込まれる。その現場で、セバスチャンたちは、現実離れした、猟奇的な世界に取り込まれてしまう。 |
三上真司氏が率いる「Tango Gameworks」開発のサバイバルホラーゲーム。
評価(サイコブレイク)
“面白さ”に触れられるまでが長い
チュートリアルにあたる冒頭から”プレイヤーへの殺意”がむき出し。
冒頭、チェーンソー野郎(サディストと言う)から逃げる場面では、ステルスに失敗すると無残にも背後からバッサリと斬られ、ゲームオーバーになる。冒頭から”死”行錯誤を強く意識させられ、サディストの行動パターンを読み、的確に誘導しないと先へと進めない。
この“冒頭で叩き込まれる死行錯誤”は、クリアまで続く。
基本的に、すんなりと先に進めるステージは稀で、道中では(後で述べる)トラップに引っ掛かったり、ザコにリンチされたりして、ゲームオーバーになることが少なくない。当然、ボスも初見時は手強く、初めて対峙した時はほとんどの人が即死攻撃の餌食になるはず。
執拗なくらい”初見殺し”が多いので、最初は理不尽に感じる。
「雑魚でもこんなに出現したら倒せないわ…」「ボスの即死攻撃が厳しすぎる…」などの連続なのだが、何度か再挑戦すると、必ず攻略の取っ掛かりが掴めるようになっていることに気づく。大勢の雑魚が襲ってくる戦闘シーンでは、周囲に設置された爆弾トラップが攻略のカギだったり、ボスも、アイテムを組み合わせることで、弱点を突けるようになっていたりする。
要するにゲームオーバーの度に、上達していく。
最初は難しく感じたステージも、攻略パターンが固まると拍子抜けするほど簡単になり、スルメゲーのように、ゲームへの理解度が深まるのに合わせて、どんどん面白くなっていく。
確かに「貧弱な主人公で上手く立ち回る」「少ないアイテムをやり繰りする」という”サバイバルホラーらしい”面白さはあるのだが、同時に「攻略パターンを組み立てて難所を突破する」ことにも重きが置かれており、そこを突き詰めていくことが面白い。
しかし、こうした“スルメゲー”的な面白さは、やり込むこと(主に二周目以降)でしか得られないのも事実。
正直、初見時は本作に対する印象は悪く、「はやく終えてしまいたい」と思って遊んでいた。道中、何度もゲームオーバーになるので疲れてしまい、ストレスだけが積み重なっていった。
本作は、やり込むほど、ゲームを理解すればするほど面白くなっていく”スルメゲー”だが、その面白さに触れられるまでの道のりが険しい。
“噛めば噛むほど味が出てくる完成度の高さと、導線の悪さによるアンバランスさ”は本作の唯一無二の魅力ではあるのだが、それが最大の長所にして、最大の短所にもなっている。初見時の私がそうだったように、大抵の人は、それに触れる前にゲームに見切りを付けてしまうのではと思うと、プレイヤーを突き放す作りは、もったいなく感じてしまうのだ。
とは言っても、粗削り
- デフォのFOVが狭い
※Steam版は外部ツール、PC Game Pass版はオプションで変更可能 - それにしても一撃死が多い
- 機種によってロード時間が長い
- 信頼性に欠けるステルスプレイ
私はPC版を遊んだこともあり、FOVを調整し、SSDにインストールすることでロード時間も短くし、かつ設定ファイルを弄ってフレームレートも安定させたが、ここまでしてようやく快適に遊べた。
本作は、ゲームプレイ以外の部分でかなり損をしていると思う。
PC向けのTips>>>The Evil Within – PCGamingWiki PCGW
評価(DLC/追加ストーリー)
「ザ・アサインメント」「ザ・コンセクエンス」は二本で一つのストーリーを描く。
ザ・アサインメント
プレイ時間 | 3時間~ |
ストーリー | 本編で主人公のカステヤノスがレスリーを追っていた頃、キッドマンもまたクリーチャーと対峙しながらレスリーを追っていた。 |
ステルスプレイ特化で、本編と上手く差別化されている。
今回は、基本的に武器が使えないので、プレイは「いかに敵の目をかいくぐるか」「いか安全な進行ルートを進んでいくか」などを強く意識させるものになり、本編とはまた違った”狩られる側”の視点がユニークで、面白い。
肝心のステルスプレイは、本編よりも扱いやすい。
“サイコブレイクのステルス”と聞くと、やけに難しいものなのでは…と思ってしまうが、パズルゲームのようなパターン化されたステルスなので、大半の場面はきっちり手順を踏めば難なく突破できる。さらに、今回から「カバーに入る」「声を出して敵を誘導する」が出来るようになり、かつ敵の警戒度を視覚化するメーターも追加されたので、本編よりもユーザーフレンドリーになっている。
ただ、決まったパターンが見つけられないと、すんなりと先に進めないところがあり、本編と同じように、敵の即死攻撃やトラップにウンザリしてしまうかも知れないが。
ザ・コンセクエンス
プレイ時間 | 3時間~ |
ストーリー | 「ザ・アサインメント」と同じ |
基本的には「ザ・アサインメント」と同じく、ステルスプレイに特化した作風だが、中盤以降は拳銃やショットガンを携行できるようになり、ガンアクション的な面白さが加わっている。
「ザ・アサインメント」との共通点が多いので、ステルスプレイについては割愛し、ストーリーについて述べるが、今回はストーリーを物語る部分に時間が割かれている印象を受け、パズルのピースが埋まっていくような面白さがあった。
“有料DLCで本編のストーリーを補足する”ことに関しては、思うところはあるが、「ザ・アサインメント」も「ザ・コンセクエンス」も本編とはまた違ったゲームになっていて楽しめたので、終わってみれば、満足度の高い追加ストーリーではあった。
ザ・エクセキューショナー
プレイ時間 | 1時間~ |
ストーリー | 父は娘を救うため、キーパーとなり、あの世界に送り込まれる。 |
「ザ・エクセキューショナー」では、本編に登場したボス「キーパー」となって大暴れする。
ゲームの流れとしては、ストーリーに沿って登場するボスと戦っていくものになり、本編にも登場した「サディスト」や「アマルガムα」と言ったボスたちを、ハンマーやチェーンソーなどを使い倒し、ボッコボコにしていく。
とにかく、“本編で散々嫌らしく攻撃してきた”敵を一方的に叩けるのが痛快、爽快。
アプデ後に遊んだ印象
- チェックポイントは比較的短い間隔で入る
- レターボックス(画面上下の黒帯)はオフにできる
- 難易度”Survivalでもアイテム等はよく落ちている
※所持できる数に限りがあるので、全部は回収できないが - スキルアップに使う”グリーンジェル”もよく落ちている
※終盤になるに連れてどんどん増えていく
どの程度、アップデートで修正されたか不明だが、“アイテムが足りなくて詰む”ことはなかった。「グリーンジェル」もよく見掛けたので、スキルアップが不十分なまま終盤に突入することも無いのではと思う。
総評
面白くなるまでが長く、そこがとにかく惜しい。
貧弱な主人公や体力をジリジリ削っていくトラップ、ゲームオーバーを前提としたミッションのデザインなど、「なんか面白そう」くらいの気持ちで買うと、容赦なく斬り倒されてしまう難しさで、おまけにお世辞にも”洗練された”ゲームとは言えない。
ただ、最初の取っ付きにくさを乗り越えて、地道に主人公を強化したり、テクニックを磨いたりしていけば、その労力に報いてくれるゲームではあり、やり込むほどにポテンシャルが発揮され、最初の頃は気付かなかった味がじわじわ出てくる。
“非常に遊ぶ人を選ぶゲーム”なので、幅広くオススメできるゲームではないが、少なくとも私は、「三周目を遊べ」と言われればすぐに遊べるくらい気に入ったゲームで、私にとっては面白いサバイバルホラーゲームだった。
関連記事>>>【評価・感想】『サイコブレイク2』レビュー
初版:2017年8月12日 12:30 AM