原題 | System Shock: Enhanced Edition |
対応機種 | PC |
プレイ/クリア時間 | 15時間~ |
『System Shock』は、「Looking Glass Studios(当時はLookingGlass Technologies)」が開発したアクション・アドベンチャーゲームにして、『デウスエクス』や『バイオショック』など、後世のゲームに大きな影響を与えた記念碑的な作品になっている。
評価
SSが優れているところ
私はこのゲームをリアルタイムで遊んでいないし、当時の流行りにも詳しくないので、「System Shockがいかに偉大なゲームか」という切り口では書けないけれど、録音された肉声を中心に展開されるストーリーの描き方や、一貫したルールが存在するゲーム世界の在り方などは、今遊んでも魅力的に感じるところ。
私の英語力では演技の良し悪しは判断できないが、人工知能「ショーダン」の標的にされた人たちが残した録音データは、生身の人間が吹き込んでいるので実に生々しく感じられ、その声から伝わってくる切迫感や絶望感は、今自分が直面している事態の深刻さを物語り、「ショーダン」という未知の敵への恐怖心を掻き立てる。
また、下手にムービーで説明するのではなく、プレイヤーに語りかける形でストーリーが展開される辺りも、”当事者”感を強くしており、一人称視点ということも相まってストーリーへの没入感を高めてくれる。
次にゲーム世界も─
- ほぼ全ての生存者が「ショーダン」に殺されるか、改造されたので、宇宙ステーションには人っ子一人いない
- ミュータントやロボットなどは、「ショーダン」によって人を見たら攻撃するようにプログラミングされているので、プレイヤーを見たら攻撃してくる
などと言うように、可能な限りゲーム的な矛盾を取り除いた一貫性のある空間になっており、こうした細かな積み重ねと、録音データやログから次にやるべきことを自発的に探らせる作風が、比較的没入感の高いゲームプレイへと繋がっている。
このように本作は、”1994年に発売されたゲーム”ではあるけれど、ストーリーやゲーム世界と言った面では全く色褪せていない。
ちなみに、アクションゲームとしては意外にも難しくない。
ペナルティ無しで復活できる(しかも体力も回復してくれる)「蘇生装置」が各レベルに用意されているので、敵が強くて詰むことはなく、戦闘の難易度を一つ下げた上で、アイテムを温存しながら遊べば、今のゲームに慣れ親しんだ人でも最後まで到達できるはず。
このゲームの場合、難しいのはミッション内容を把握したり、タスクを管理したりすること。
取っ付きにくく感じるところ
各レベル(階層)を往復してタスクを消化していくミッションのあり方や、ボタンを掛け違うと難易度が急上昇してしまう落とし穴が割りとある点などは、いたずらにゲームを難しくしていると感じた。
※游ぶ場合は事前に攻略サイトを確認し、取りこぼしがないように遊んだ方が良い
総評
本作は、オーディオログによって語られるストーリーや一貫性のあるゲーム世界など、FPSでありながらもストーリーや演出に力を注いでおり、それらは時代を経ても大きな魅力となっている。
現在では、本作の後継作とも言える『バイオショック』が販売されており、今からこのゲームを遊ぶのが厳しい場合は、ぜひそちらを遊んでみて欲しい。