原題 | Mass Effect Legendary Edition |
対応機種 | PC,PlayStation,Xbox |
プレイ時間 | 70時間~ |
ストーリー | 人類や異星人が共存する近未来の宇宙が謎の生命体の餌食になる。シェパード少佐は、ノルマンディー号の艦長として、謎の生命体との宇宙の存亡を賭けた戦いに身を投じる。 |
『Mass Effect Legendary Edition』は、『マスエフェクト』『マスエフェクト2』『マスエフェクト3』、そして、過去に配信されたDLCのリマスター版を収録したパッケージになる。
評価
プレイヤーの「選択」がストーリーを紡ぐ
「マスエフェクト」では、“プレイヤーの選択が三部作全体に反映される”。
一作目での選択が主人公の人間性や他のキャラクターとの関係性を形成し、それが二作目や三作目へと引き継がれていくように、プレイヤーの選択の結果は一作限りではなく、「3」での最終決戦まで影響力を持つことになる。
「マスエフェクト」の面白さは、その“プレイヤーの選択が三部作全体に反映される”中で、私の選択を通してゲーム世界に介入し、一つのストーリーを紡いでいくところにある。
サイドミッション(アサインメント)での「選択」も含めると、「マスエフェクト」には数多くの分岐点が存在する。
ストーリーの大枠は変わらないけれど、「誰と仲間となり、生き残ったのか」「他の種族を見捨てたのか、救いの手を差し伸べたのか」など、細かな部分はプレイヤーの選択によって変化してゆき、最終的には自分だけのストーリーが出来上がる。
最後に行き着く最終決戦での、”プレイヤーがシェパードとして歩んできた道のり”が走馬灯のように駆け巡るあの瞬間”は、「マスエフェクト」じゃないと体験できないだろう。
こうした”私の選択を通して、自分のストーリー(トリロジー)を紡ぐ”点は、他のアクションRPGとは一線を画するところであり、「マスエフェクト」のもっとも面白いところだ。
様々な思惑が交差する銀河社会
銀河社会における歴史や政治も、「マスエフェクト」の面白さ。
「マスエフェクト」の世界にも長い歴史が存在し、種族間の対立や協調を経て今の銀河社会が維持されている。中心地「シタデル」の壮観さからは想像できないが、銀河社会ではそれぞれの種族の思惑が渦巻いており、サラリアンとクローガンの激しい対立や、人類を格下と見なす評議会の存在など、課題は山積だ。
当然、ストーリーでもそうした銀河社会の実情は反映されている。
プレイヤーが下す決断の中には、銀河社会のパワーバランスを乱すものも多く、その都度、プレイヤーは歴史的な経緯や彼らが果たすべき役割などを考慮し、難しい選択をしなければならない。
一作目や二作目であれば、長期的な視点で物事を判断する必要があるし、三作目まで来れば、今度はこれまでの選択を踏まえた上で、銀河社会の危機に対して、自分なりの答えを導き出すことをしないといけない。
緻密に構築された歴史は、ゲーム世界やキャラクターに命を吹き込むと同時に、その流れの中で何かを決断することの難しさを生み、選択するゲームとして、欠かすことのできない要素になっている。
そもそもどんなゲームなのか
まず、「オープンワールドゲームではない」。
- ノルマンディー号をハブとして各惑星に瞬間移動し、そこで様々なミッションを遊び、またノルマンディー号に戻り、次の惑星へと瞬間移動して…というのがゲームの流れになる。
一応、「シタデル」や「オメガ」と言った自由に探索できる都市(町)は存在するが、それらはオープンワールドというよりは、オープンな一区画に近い上に、ミッションを攻略する以外にできることもほとんどない。
基本的には、ノルマンディー号内に用意された「ギャラクシー・マップ」と呼ばれる”ミッションの一覧が表示されるマップ”を見て、そこから気になったミッションを選び、遊んでいくことになる。
よって、チャプターごとに進んでいくゲームに近い。
次にミッションは、戦闘と会話が半々くらいで構成されている。
ミッション自体は一本道を突き進んでいく、銃で敵を撃ち倒していくものではあるが、要所要所でプレイヤーに”選択させる”場面が用意されており、そこが「マスエフェクト」のミッションの特徴になっている。
そして、戦闘は、「ギアーズ・オブ・ウォー」的なカバーに隠れて撃ち合うシューティングと、「ゴーストリコン」的な分隊システムをミックスしたものに近い。
よくあるオーソドックスなカバー型TPSなので、これと言って特徴はないが、会話パートのオマケではなく、一つのアクションゲームとして見ても十分遊べるレベルではあり、蛇足になっていないのは大きい。二人の仲間に指示を出して敵と戦っていくのも、共闘感があって面白い。
ただ、一作目のシューティング面は、割りと大味。
“遊べる”ものではあるが、一作目は操作方法が独特だったり、仲間がすぐにダウンしたりして、まだまだ洗練されていない。二作目以降は、一作目の不満点の多くが解消され、TPSとして垢抜けていくので、アクション重視の人は二作目まで我慢しないといけないかも。
あとは、作品によって惑星探索ができたり、ノルマンディー号をアップグレードしたりできるミニゲームが用意されている。
- 数多くの分岐点が存在する濃密な会話パート
- 決してオマケではないアクション要素
- やり込み要素として楽しめるミニゲーム
それぞれの作品にこれらの要素が詰め込まれている。
非オープンワールドゲームにしてはボリュームのある方だが、中身は量と質が両立されているので、ゲームとして非常にまとまりが良く、最後の最後まで充実したゲームに仕上がっている。
気になるところ
ロード画面自体は少ないが、エレベーターや自動(手動)ドアなど、実質的なロード画面が割りと多く、移動が少し面倒くさく感じた。
あと、メインミッションの進め方によって、一部のミッションがプレイ不可になることがあり、もっと明確に「これを遊ぶと、あれが遊べなくなる」と伝えて欲しかった。
総評
「Legendary Edition」は、アクションRPGの傑作。
プレイヤーの歩みが歴史の一部となり、一つの結末へと繋がるストーリーはもちろん、手堅いシューティングや充実したコンテンツと言った、ゲームとしての部分も完成度が高く、今遊んでもこの三部作への評価は揺るがない。
そして、三部作を”日本語で”一気に遊べる「Legendary Edition」は、三部作の良さを引き立たせるベストなエディションになっており、「マスエフェクト」を最大限に楽しむ絶好の機会と言える。
もし、少しでも気になったなら「宇宙・SFだし」「なんか難しそう」という先入観は捨てて、ぜひ遊んでみて欲しい。月1,500円ほどの「EA Play」でも遊べるので。