原題 | Afterfall: Insanity |
対応機種 | PC,PS3,Xbox 360 |
プレイ/クリア時間 | 6時間~ |
ストーリー |
核戦争によって地上は荒廃し、人々は地下シェルターに籠もって生活するようになった世界。 主人公は「Glory」と呼ばれる地下シェルターで精神科医として活動しており、地下シェルターに住む人々の間で蔓延する精神疾患を調査していた。 主人公はその病の真相を調査すべく、危険な地下シェルターの世界に足を踏み入れる。 |
👍Good
- 最低限遊べる
- ゲームの世界観
👎Bad
- 簡単すぎる
※難易度ノーマルの場合 - メインの近接戦が大味
- 突然の時間制限やパズル
本作はかつてポーランドに存在したデベロッパー「Intoxicate Studios」が開発したホラーゲーム、サバイバルホラーゲーム。
「フォールアウト」や「デッドスペース」をミックスした世界観と、鈍器縛りのデッドスペースとも言うべき近接戦に重点を置いたゲームプレイが特徴になっている。
なお、現在では大人の事情によってSteamなどの正規店では販売が停止されている。
評価
全体的に粗粗しい
遊べなくもないが、要所要所で作りの甘さが露呈する作品。
例えば、主人公があまりに強すぎるため、ホラーゲーム、サバイバルホラーゲームとしてのスリル─生存を脅かされる恐怖など─がほとんどなく、ゲーム側のホラー演出の数々が全く刺さらない。
むしろ、主人公は精神科医、いわば”素人”なのに鈍器を手にクリーチャーを次々と叩き潰していく姿の方がよっぽどホラーであり、次第に敵たちの方が可哀想に思えてくる。
まあ、「難しくて遊べない」よりはよっぽどマシではあるけれど。
次にプレイ時間の大部分を占める近接戦も、それをメイン要素とするにはあまり大雑把な作りをしており、不完全なロックオンシステムや正確性に欠ける操作などが目に付く。
さらに近接戦は、一部の敵を除いて”蹴って怯ませて、そこを攻撃する”というセットが強すぎるため、一度それに気づいてしまうと、大半の戦闘がそのセットを繰り出すだけの作業になってしまう。
防御や弾き返しなどは早い段階で不要になる。
主人公が強すぎる点と、パターン化できる攻略法によって、メイン要素となるはずのアクション部分が大味になっており、遊べなくもないが、楽しくはないものになっている。
あとは、突然始まるカウントダウンや意味不明なパズル、チェックポイントの間隔の長さなど、不親切な部分はとことん不親切なゲームでもある。
とは言っても、即アンインストールしたくなる類のゲームでもなく、難易度が低い分だけ気持ちよく遊べるので、文句を言いながらも結局最後まで遊べてしまう内容ではある。
雰囲気は良い感じ
ゲームの世界観は大作ゲームと引けを取らないレベルになっており、ゲームプレイ面と比べればはるかに洗練されている。
前半の主な舞台となる地下シェルターは「フォールアウト」のVaultと「デッドスペース」の石村をミックスしたような場所であり、プレイヤーの想像力を掻き立てるエリアのデザインが素晴らしい。
主人公が圧倒的に強いと分かっていても、エリア全体から恐怖を感じることがあり、主人公が圧倒的に強いと分かっていても(2回目)、散乱した部屋や床の血溜まりを見て、この場所で起きたことを想像してしまう。
後半の『フォールアウト3』のThe Pittを想起させる世界もよく作られており、特に後半は登場するボスや雑魚のデザインが秀逸で、一度目にすると脳内にこびりついて離れなくなる。
このようにゲームプレイ以外の部分の作り込みは大したものであり、「フォールアウト」や「デッドスペース」など、開発陣のこのジャンルの代表作への愛着を感じる。
総評
「面白いか、面白くないか」で言えば、面白くない。
ただ、ゲームとしては低難易度(ゴリ押しが利く)ということもあり、最後まで遊べるレベルではあるので、巷に溢れるコントローラを投げたくなるような駄作ではない。
とは言っても、前述した通り、現在ではSteam等の正規店では購入不可になっているので、遊びたい場合はいくつかの手段を用いる必要があり、それを考慮するとよっぽどのB級サバイバルホラーゲームファンでもない限りは、購入しても後悔する可能性が高いが。
私は、本作の「フォールアウト」や「デッドスペース」がごちゃまぜになったような世界観だったり、敵のデザインだったりには惹かれたので、ゲームプレイ面の粗さは非常に残念に感じる一作だった。