原題 | Quantum Break |
対応機種 | PC,Xbox One |
プレイ/クリア時間 | 10時間~ |
👍Good
- ド安定のシューティング要素
- 質の高い実写ドラマ
👎Bad
- 日本語対応が最低限
紹介
どんなゲーム?
【Remedy Entertainment】開発のシューティングゲーム。
『マックス・ペイン』や『アラン ウェイク』を代表作に持つ同スタジオは、古くからシューティングゲーム作りに力を入れており、「TPS」というジャンルを代表するスタジオの一つである。
そして、本作で「Remedy」は”ゲームと実写ドラマの融合”に挑戦。
これまでのノウハウが投入された良質なガンファイトと、約30分×4エピソード構成の海外ドラマの二つが同時に楽しめる、本作『Quantum Break』を世に送り出した。
PS4版がない理由
本作は【Microsoft Studios】販売のゲーム。
なので、【Microsoft】が販売する【Windows 10】や【Xbox One】向けにはリリースされるが、それ以外のプラットフォームではリリースされない。
Quantum Breakのストーリー
時間の流れが断裂した世界で、特殊能力を身につけた 2 人の男の物語が始まる。
一方は、時間軸を旅しながら、身につけた能力を使うことに取りつかれ、一方は、時間軸が破壊し尽くされてしまう前に、能力のとりことなった男を倒し、世界を正常な状態に戻そうとする。
圧倒的に不利な状況となった 2 人は、未来を変えてしまうような大きな選択に迫られる。
ショーン・アシュモアをはじめ、豪華な出演陣
役者 | 役名 |
ショーン・アシュモア | ジャック・ジョイス |
エイダン・ギレン | ポール・セリーン |
ドミニク・モナハン | ウィリアム・ジョイス |
ランス・レディック など | マーティン・ハッチ |
海外ドラマにもよく出演している俳優たちが多数起用されている。
日本人でも、『LOST』のチャーリー役だったドミニク・モナハンは知っているという人は多いのではないだろうか。
なお、ゲームパートではショーン・アシュモア演じるジャックを操作する。
評価
【Pros】「時間」を武器に敵と戦う
本作では『マックス・ペイン』や『アラン・ウェイク』で培ったノウハウが惜しみなく投入されており、こちらの期待を裏切らない安心安定の仕上がり。
まず、本作には「時間操作」を中心とした特殊能力が用意されている。
Time Vision | エリア全体を透視する |
Time Stop | 敵の周囲の時間を停止させる |
Time Dodge | 短距離を高速移動する |
Time Rush | 中距離を高速移動、敵を混乱させる |
Time Shield | 主人公の周囲にバリアを張る |
これら特殊能力をベースにした撃ち合いは異次元のスピード感。
【Time Shield】があるのでカバーに留まってチマチマ撃ち合う必要は無く、【Time Dodge/Rush】のおかげで敵から敵へと瞬時に移動できる。
また、【Time Stop】を使えば敵の動きを封じられるので、面倒な重装兵も一気に片付けられる。
圧倒的な力で敵を叩いてくのは実に爽快。
シューティングゲームとしてのクォリティと、異次元のスピード感を誇るガンファイトは本作最大の目玉だ。
ただ、ゴリ押し系ではない
一応、どの能力にも制限が設けられている。
一見すると”お好み焼きのようなごちゃ混ぜ感”だが、「ソースは生地に混ぜない」のと同じでそれぞれに使うべきタイミングや塩梅がある。
ちゃんと”戦略を練る余地”は残されている。
【Pros】実写ドラマのクォリティ
実写ドラマのクォリティはガチ。
【Netflix】までとは言わないが、【YouTube Originals】辺りで配信されていても不思議ではないほどのクォリティになっており、一つのドラマとして十分観られる。
そして、”実写ドラマに介入する”体験は非常にユニーク。
ドラマパートでは、プレイ中の”自分が下した選択”が反映され、ドラマ内の登場人物たちがそれに反応する様子を見るという面白い体験ができる。
当初は「実写ドラマは必要なのか?」と懐疑的だったが、ちゃんと”ゲームと実写ドラマを連動させる”意味は感じられる。
融合ではなく、連動
これまでの「Remedy」作品は一部を除いて”ゲームと実写映像の融合”に挑戦しており、それは同スタジオならではの「色」でもあった。
特に『アラン ウェイク』では、モデルとなった俳優をゲーム内のテレビ番組に登場させることで、プレイヤーを複雑な入れ子構造のストーリーに巧みに誘い込んでいた。
- 「Remedy」作品はインゲームと実写の境目を無くそうとして来た
- アラン・ウェイクではインゲームと実写が融合した段階に
その点、本作はゲームと実写ドラマが別々のものとして存在する。
あくまでもドラマ(実写)パートはゲームパートの結果を受けて「連動」するだけであり、”限りなく独立した”形になっている。
【Pros】ゲームとドラマを繋ぐ【タイム・ジャンクション】
【タイム・ジャンクション】は、”宿敵”視点で選択させる点が面白い。
本作には”主人公(=プレイヤー)だけが知る”事実が用意されているので、【タイム・ジャンクション】を通して、敵側のミスリードを誘ったり、こちらに有利な展開に持ち込むことができる。
↑の実写ドラマの話にも繋がるけれど、実写ドラマに反映される【タイム・ジャンクション】の結果を、ドキドキしながら観るというのは面白い体験の一つ。
【Cons(欠点)】読み物が多く、全体的にテンポが悪い
まず、文章コンテンツが多すぎる。
文章コンテンツ自体は、ストーリーや人物像を補完するので読み物として面白いが、その度に足が止まるのでテンポが悪い。
個人的には、プレイと並行して聞けるボイスレコーダーでも良かったのではと感じる。
クロノン ソースはさらに面倒
レベルアップに必要な「クロノン ソース」の回収も不要に感じる。
シンプルに同じ場所を行き来して探すことが面倒くさい。
【Cons(欠点)】ローカライズ(日本語化)が不十分

ゲーム内TV。こちらも凝った内容だが、英語音声のみ。
日本語対応は必要最低限に近い。
ほぼ完璧な日本語対応だった『アラン・ウェイク』とは違い、本作は日本語字幕のみの対応となり、そもそも字幕が存在しない音声データやゲーム内TVは英語音声のみ。
(実写ドラマにはちゃんと日本語字幕が用意されている)
一部の音声データはストーリーを補完する内容が含まれているので、実用的な英語のリスニング力がないとストーリーを完全に楽しめない。
総評
総じてハイレベルな一作。
最大のウリであり、最大の不安材料でもったゲームとドラマの連動は見事に機能しており、Remedy節が炸裂したプレイ面も期待通りの仕上がりとなっている。
ただ、他のAAA級ゲームと比べると、”限られた”層に向けた内容になっており、この作品の方向性をきちんと理解した上で遊びたい一作ではある。