【評価/感想】クォンタム ブレイク【批評/レビュー】

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原題 Quantum Break
対応機種 PC,Xbox One
発売日 2016年4月5日
開発元 Remedy Entertainment
備考 公式サイト

ゲームと実写ドラマが合体した異色のアクションゲーム。

開発は、Max PayneやAlan Wakeで知られるRemedy Entertainmentであり、同スタジオが長年に渡って培って来た映画的な演出のノウハウを活かし、ゲームとドラマを合体させた意欲作。

▼ストーリー▼

時間の流れが断裂した世界で、特殊能力を身につけた 2 人の男の物語が始まる。

一方は、時間軸を旅しながら、身につけた能力を使うことに取りつかれ、一方は、時間軸が破壊し尽くされてしまう前に、能力のとりことなった男を倒し、世界を正常な状態に戻そうとする。

圧倒的に不利な状況となった 2 人は、未来を変えてしまうような大きな選択に迫られる。

公式サイト

注目すべき2点

融合ではなく、連動

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これまでは「融合」

思い返せば、Remedy作品は一部を除いて”ゲームと実写映像の融合”に挑戦していた。

  • マックス ペイン シリーズ
    • 実在する人物の顔をキャプチャして使用する。
  • アラン ウェイク シリーズ
    • 実在する俳優を主人公として起用する。

特に『アラン ウェイク』では”融合”が頂点に達しており、ゲーム内のテレビ番組に”主人公の実写版”を登場させることで、プレイヤーを複雑な入れ子構造のストーリーへと誘い込み、”インゲームとカットシーンの境界線”を曖昧にすることに成功していた。

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でも今回は「連動」

その点、今作はゲームと実写ドラマの「連動」と言える。

Max PayneやAlan Wakeは、どれも「ゲーム」と「実写」は切っても切り離せない関係であり、この2つはまさに融合していたわけだが、今作では「ゲーム」と「実写」は別々のものとして存在する。

なので、ゲームパートもドラマパートも、限りなく独立した形になっている。
あくまでも、ドラマパートはゲームパートの結果を受けて「連動」するだけであり、「実写無しでは語れない!」とも言えた過去のRemedy作品と比べれば、”一步引いた”印象を受ける。

タイム・ジャンクションが2つを繋ぐ

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【タイム・ジャンクション】が”ゲームとドラマを繋ぐ”ポイントである。
ここでは重大な二者択一が提示され、まさにここでの選択が後の展開を大きく左右するのだが、ここにも面白い仕掛けが用意されている。

“敵”として決断する

【タイム・ジャンクション】では敵側から決断を下す。
この場面ではプレイアブルキャラが主人公の宿敵に代わり、プレイヤーは敵側から決断を下すことになるのだが、今作ではストーリーの進行上、”主人公は知っているが敵は知らない”事実が存在する。

主人公でも、視聴者でもあるプレイヤーは、その事実を利用して敵側のミスリードを誘ったり、主人公に有利な展開に持ち込むことができるのだ

ドラマに介入する感覚

この”自分の選択がドラマの内容を変化させた”事実に興奮する。
この試みは、双方向型メディアであるゲームと、一方通行型のメディアであるドラマの”いいとこ取り”になっており、“ドラマに介入した”感覚こそが今作最大のウリであり、唯一無二のゲーム体験と言える。

正直、プレイ前は「期待と不安が半々」だったが、実際にはゲームとドラマを連動させた意味は確かに感じられ、単なるアイデアだけの試みではなかった。

余談:実写ドラマの作り込みは”ガチ”

主演のショーン・アシュモアを始め、エイダン・ギレン、ドミニク・モナハンやランス・レディックも重要人物を演じており、ドラマパートはとても華やか。

ゲームパートに負けず劣らずのアクションと演出が用意されており、一つのドラマとしても”観れる”レベルだ。

ちなみにドラマは30分弱で、全4エピソードで構成されている。

シューティングは”安心安定”の出来

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Remedyと言えばTPS(3人称シューター)。
今作ではMax PayneやAlan Wakeで培ったノウハウが惜しみなく投入されており、安心安定の仕上がりだ。

時を操るアクション

今作の主人公には、Max Payne的な”時間を操る能力”が宿っている。

Time Vision エリア全体を透視する
Time Stop 敵の周囲の時間を停止させる
Time Dodge 短距離を高速移動する
Time Rush 中距離を高速移動、敵を混乱させる
Time Shield 主人公の周囲にバリアを張る

【Time Vision】で索敵し、【Time Dodge/Rush】で敵に急接近して弾薬を浴びせる。もし、窮地に陥れば【Time Shield】でバリアを張って反撃に撃って出る。

シンプルだが、当然のように面白い。
プレイ感覚は『Max Payne 2』に近いが、今作ではどの能力にも制限が存在するので、どれか一つだけに頼った戦い方はできず、ゴリ押し系ではあるが、戦略を練る余地も残されている。

一見すると、お好み焼きのようなごちゃ混ぜ感だが、「ソースは生地に混ぜない」のと同じで、それぞれに使うべきタイミングや塩梅があるのだ。

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異次元のスピード感

5つの特殊能力を組み合わせれば、Max Payneと比べても”別次元”と言えるスピード感が撃ち合いを支配する。

とくに今作では、(主人公の周囲にバリアを張る)【Time Shield】が用意されているので、一般的なTPSのように、一つの遮蔽物に留まってチマチマ撃ち合う必要がなく、【Time Dodge/Rush】で瞬時に移動して敵を翻弄していく。
また、主人公自身が自動的にカバーを認識して姿勢を変えるので、プレイヤーはただただ撃ち込むことだけを考えれば良く、純粋に撃ち合いに没頭できる。

特殊能力の圧倒的な力を背景し、敵を一方的に倒していくのは爽快。
確かに、難易度的な物足りなさは覚えるが、異次元のスピード感とのバーターなので欠点とも言えず、何よりも枠に囚われない斬新な撃ち合いに魅了される。

欠点は”テンポが悪い”

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まず、文章コンテンツが多すぎる。
それ自体は、ストーリーや人物像を補足し、中にはストーリーの理解に不可欠なものも混じっており、読み物として面白いと感じるが、その度に足が止まるのでテンポが悪い。

また、レベルアップに必要な「クロノン ソース」の回収も不要に感じる。
ここでは、戦闘から一旦離れてエリア内を探索するのだが、同じところを行き来することもあり、テンポが悪く、そして単純につまらない。

文章コンテンツは『Alan Wake』のように読み上げ、【クロノン ソース】を無くしてくれれば、さらにテンポよく遊べるはずだ。

ローカライズ(日本語対応)が不十分

ゲーム内TV。こちらも凝った内容だが、英語音声のみ。

日本語対応は必要最低限に近い。
今作はほぼ完璧な日本語対応だった『Alan Wake』とは違い、日本語字幕のみの対応となり、そもそも字幕が存在しない音声データやゲーム内TV(※実写ドラマではない)は英語のまま。

文章コンテンツと同じく、一部の音声データにはストーリーに触れるものがあり、実用的な英語のリスニング力がないと完全には楽しめないのは、日本語プレイヤーとして少し気になる。

総評

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最大のウリであり、最大の不安材料だったゲームとドラマの連動は見事に機能しており、Remedy節が炸裂したプレイ面も期待通りの出来であり、総じてハイレベルな一作。

ただ、他のAAA級ゲームと比べると、”限られた”層に向けた内容になっており、この作品の方向性をきちんと理解した上で遊びたい一作でもある。

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