原題 | Sleeping Dogs |
機種 | PC,PS3,Xbox 360 リマスター版はPC,PS4,Xbox One |

GTA+龍が如く=本作。
格闘戦を主体としたプレイはアクションゲームとして質が高く、「カラオケ」や「闘鶏」などのアジアンなアクティビティの数々も面白い。
紹介
どんなゲーム?
GTA型オープンワールドゲーム。
ただし、アクション要素は銃ではなく、『バットマン アーカム アサイラム』にインスパイアされた「格闘戦」をメインにしており、「グランド・セフト・オート」シリーズとは一味違うオープンワールドゲームになっている。
なお、シリーズとしては元々は「トゥルー・クライム」シリーズの3作目だった。
それが紆余曲折を経て新規タイトルとして発売された。
スリーピングドッグスのストーリー
評価
【Pros】格闘戦主体の戦闘
プレイ時間の大半は格闘戦に明け暮れる。
極稀に銃を手にすることはあるが、それを携帯することは出来ず、基本的には拳と拳のぶつけ合いで勝負していくアクションゲームである。
さて、肝心の「格闘戦」は”ほぼ確実に”『バットマン アーカム・アサイラム』を意識したものになっており、”まるで映画さながらの豪快なアクションが、簡単な操作で繰り出せる”点が特徴として挙げられる。
なお、本作の格闘戦も元ネタ同様に優れている。
要求される操作に対してはるかに迫力ある技が繰り出せるので何度プレイしても飽きず、バイオレンスアクションとも言うべき演出の数々も格闘戦に華を添える。
周囲の環境を利用したアクション
この部分は「龍が如く」っぽい。
本作の格闘戦では”周囲の環境”も利用することができるので、『龍が如く』のように電話ボックスや排気口と言った身の回りのモノを使って敵を倒していける。
本作の環境を利用した戦闘は、「龍が如く」よりも数倍生々しいものではあるが、単調になりがちな格闘戦に変化を与える「劇薬」として機能している。
【Pros】魅力的な「香港」
何よりも、舞台となる「香港」の作り込みが素晴らしい。
アジア特有の雑多感が見事に再現されており、中でも”ギラギラと光る看板がひしめき合う夜の街”は圧巻だ。
(さらに、PC版は高解像度テクスチャパックが導入可能)
なお、本作には歩行モードが完備されている。
それだけ街の作り込みに自信があるということであり、そのモードでまじまじと街を観察してもやはりよく出来ていると感じる。
セミ・リアル
例えば、自宅で用を足せたり、手を洗える。
また、露天やコンビニで食べ物を買ったり、衣服も購入できる。
これらは直接的にゲームプレイに影響しないが、没入感を高める仕掛けになっており、リアルな「香港」も相まって”疑似生活シミュレーター”的な遊び方ができる。
【Cons(欠点)】ストーリーだけの覆面捜査
本作の主人公ウェイ・シェンは潜入捜査官だ。
いわば犯罪者と警察官の二つの顔を持つわけだが、プレイにそれを感じる場面はほぼ無い。
例えば、犯罪者側に肩入れし過ぎると警察側との関係が悪化する、そしてその逆も然りと言った要素でもあれば、ストーリーや世界観の説得力が増したはずだ。
実質的な前作『True Crime: New York City』では、警察官として治安維持に当たるランダムイベントが用意されており、「警官ごっこ」が楽しめたが、本作にそうした遊びは用意されていない。
総評
GTA風のオープンワールドゲーム中では頭一つ抜きん出た一作。
各ゲームの要素を上手くブレンドしており、”GTAすぎることもなく、龍が如くすぎることもない”ユニークな一作に仕上げている。
また、アジアの空気感を見事に捉えた「香港」も素晴らしい完成度。
それだけに、開発元「United Front Games」の閉鎖に伴い、『Sleeping Dogs 2』の開発がたち消えになってしまったのは実に残念。