盲目の少女は何を見る?Beyond Eyes【感想 評価 批評 レビュー】

あれは10年ほど前だろうか。テレビ番組で盲目のアメリカ人男性の特集を放送していた。彼は盲目であるにも関わらず、杖や盲導犬の力を借りることなく生活を送っていた。というのも彼は、自分で音を発し、その音の反響を利用して人や物との距離間を掴む「エコロケーション」が出来るというのだ。

有名なのはコウモリが行うエコロケーションです。超音波を含む鳴き声を飛ばし、光の届かない洞窟の中を反射音を頼りに飛び回ります。反響音の強弱や、反響するまでの時間、音の変わり方で障害物との距離や形状を頭のなかに描くことができるのです。

引用元 – 音で物を視る「エコロケーション」を行う盲目の男性がスゴい

具体的な説明はないが、どうやら本作の主人公も同じことが出来るようだ。じっくり観察してみると、主人公の周囲では音が反響しているような演出が見られる。さらに主人公は、生活音や動物の鳴き声からも風景を感じ取ることが出来るようであり、一歩進む度に真っ白だった画面に色彩が現れ、見えないはずの風景が見えて来るという仕掛けになっている。

何も描かれていない真っ白のキャンバスに色が付き、少しず風景が描かれていく過程は、絵としてとても美しい。

さて、ゲームプレイ面は好き嫌いがはっきり出るだろう。常に徒歩なので移動速度は遅いし、周囲が見えないので行き止まりにぶつかり、その度に別の道を探すことを何度も何度も繰り返すことになる。したがって、「そのストレスもゲームプレイの一部」として許容できないプレイヤーは、壁にぶつかる度にコントローラを投げたくなるだろう。

一方で、「盲目の主人公の目線で楽しめる」プレイヤーは、最後まで楽しめるだろう。我々が当たり前に出来ることが難しい主人公に対し、「盲目なのだから外を走れるわけがない」「思ったように進めないのも仕方ない」と理解を示すことができ、その不便さや本人が抱く恐怖心も含めて作品の一部だと理解できるのならば、とても充実した数時間を送ることが出来る。

内気な主人公が親友のネコを探す物語は感動的で、水彩画のような絵と胸を打つ音楽も印象に残る。プレイヤーに忍耐を求める内容ではあるが、主人公に心を寄せて遊ぶことができるプレイヤーにとっては、充実した物語主導型の体験を楽しめる一作になっている。