原題 | True Crime: Streets of LA |
対応機種 | PS2ほか |
プレイ時間 | 9時間~ |
ストーリー | LA市警の刑事ニックは特別捜査班に加わることに。LAの裏社会を舞台した巨大な陰謀を捜査するが、その過程で、父の事件の真相にも迫っていく。 |
『トゥルークライム -STREETS OF L.A.-』は、2003年に発売されたオープンワールドゲーム。
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評価
※PCSX2でプレイしました
ポリス系グランド・セフト・オート
本作は、『グランド・セフト・オートIII』が大ヒットした後に登場した”GTAっぽいゲーム”の一つだが、主人公を”犯罪を取り締まる側の警察官”とした点が、類似作とは一線を画する部分になっている。
本作の特徴は、警察官として街をパトロールできること。
ゲーム自体は、チャプターごとに進行する方式だが、そのチャプターの中では比較的自由に行動でき、次の目的地に到着するまでの時間は、自由行動を兼ねたパトロールの時間になる。
オープンワールドにいる間は、様々な通報が飛び込んで来る。
会社員同士の喧嘩から連続切り裂き魔の凶行まで、「グランド・セフト・オート」で”よく見る(やる)やつ”が次々と発生するので、プレイヤーは、それに可能な限り対応していく。そして、現場では一般市民に被害を出さないのは当然として、犯人も、撃っておしまいではなく、まずは身柄の確保を試みないといけないなど、警察官ならではの縛りが存在する。
この手のゲームで、犯罪を取り締まる側なのは新鮮。
正直、メインミッションの方は、「グランド・セフト・オート」で散々やったものなので、改めて書くことはないのだが、次々と発生する事件だったり、警察官としての縛りだったりは、かなりユニークで、クライムゲームとはまた違った体験を生んでいる。
本作を遊ぶと、「グランド・セフト・オート」の警察官の苦労が少し理解できるかも?
事件を解決して主人公を強化
苦労して事件を解決したご褒美は警察バッジ。
オープンワールドには、主人公の基礎能力を上昇させる射撃場や道場などが存在するのだが、その際にこのバッジを使用(消費)する。事件を解決してバッジを集めて、そうした場所でコツコツ鍛えて、その後に次のミッションに挑戦するというのが、このゲームの基本的な遊び方になる(※後半になるにつれて、初期状態では厳しい場面が出てくるので、そうした準備は重要)。
アクション面はカンフーなTPS
アクション面はカンフーと『マックス・ペイン』の異色のコラボ。
この手のゲームでは珍しく、格闘戦に力が入っており、要所要所で格闘戦に限定した戦闘シーンが登場する。パンチやキックで攻撃し、相手がよろめいたらコンボを決めるという戦闘で、「龍が如く」ほどではないにしても、この手のオープンワールドゲームの中では”作り込まれた方”の戦闘が用意されている。
一方で、シューティング面は「マックス・ペイン」風。基本は強力なロックオンを中心にした撃ち合いだが、△ボタンを長押しした上でキャラクターを動かすと、スローモーションになり、その方向にドッジする。その様はまさに「マックス・ペイン」であり、それと同じように、スローモーション中で敵を次々と撃ち倒していく。壁やオブジェクトもバリバリと破壊されていくので、撃っていて非常に気持ちが良い。
武器の種類は少なく、ヘリに乗ったりも出来ないが、格闘戦やシューティングと言った出来ることに関しては、よく出来ていて、その二つの組み合わせも、本作の特徴になっている。
分岐するストーリー
実はミッションに失敗してもストーリーは先に進む。
多くのゲームでは、ミッションに失敗するとやり直しだが、本作では失敗したパターンのストーリーへと進むので、他のゲームのようなゲームオーバーというものが存在しない。そして、その分岐ごとに異なるストーリーとミッションが用意されており、エンディングも複数用意されている。仮にラスボスに倒されてゲームオーバーになっても、主人公は殉職したという結末になる。
ミッションの中には時間制限がキツキツだったり、カーチェイスが執拗だったりと、かなり手厳しいものも存在するのだが、本作では、そうしたミッションも無理にクリアする必要はない。アクションゲームが苦手でも、(どんな結末であれ)ストーリーをクリアできるようになっている。
なお、ミッションはクリア後に好きなエピソードから再挑戦できるので、そこから一つずつクリアしてベストエンディングを見届けるという遊び方もあり。それぞれにトーンが全く異なるストーリーが存在するので、グッドもバッドも両方遊ぶ価値がある。加えて、ストーリーによっては、かなりオカルトな展開を迎えるので、それを見るのも一つの楽しみ。
総評
本作は、警察モノという切り口はもちろん、カンフーなアクション要素に、分岐するストーリーなど、「グランド・セフト・オート」との差別化がきっちりされた作品。主人公は警察官とすることで、本作は独自の地位を築いたと言え、オープンワールドで”警察ごっこ”は、いま遊んでも新鮮な要素になっている。