原題 | The Godfather II |
対応機種 | PC,PS3,Xbox 360 |
プレイ時間 | 12時間~ |
ストーリー | キューバでの混乱に巻き込まれるマイケルたち。他のマフィアや当局からも執拗に攻撃される中、主人公はマイケルからファミリーを託される。 |
今作は、2009年に発売されたオープンワールドゲーム。
評価
2006年に発売されたゲーム版『ゴッドファーザー』。
タイトルにある通り、1972年に公開された映画『ゴッドファーザー』をゲーム化した作品になり、前作はマーロン・ブランドやジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァルなど、オリジナルのキャスト陣が再結集したことで話題を呼んだ。
そのゲーム版は、プレイヤーがコルレオーネ家のメンバーとして”あのゴッドファーザー”のストーリーに加わり、40年代のニューヨークをモデルにしたオープンワールドで、マフィアらしく自由気ままに遊べるゲームだった。
今作は、前作と同じ形で映画『ゴッドファーザー PART II』をゲーム化した作品になる。
ゲームシステムの進化
前作『ゴッドファーザー』との違いはいくつかあるが、もっとも大きいのは”シュミレーション”的な側面が強くなっているところ。
前作でも仲間を引き連れて遊んだり、街中の店からみかじめ料をぶん取ったりと言ったことは出来たが、今作ではよりシステム化されていて、”超”簡単なシュミレーションゲームへと進化している。「ドンズ・ビュー」と呼ばれる『SimCity』のようなマップが用意されており、ここから自分の事業を管理することができる。
“管理”と言ってもボディガードの人数を調整したり、仲間を店に派遣して防衛させたりするくらいで、本格的なシュミレーションゲームよりも簡素ではあるのだが、私は、シュミレーション云々よりも、これによって”組織を動かしている”という感覚が生まれたことに大きな価値を感じた。”幹部なのに自分しか動いていない”という前作のあれがほとんど気にならなくなっており、ドンになるゲームとしてこれは非常に大きな進歩で、今作最大の長所になっている。
また、今作では自分のファミリーを作ることもできる。
候補となる悪党はオープンワールド内のあちこちに生えているので、自分で話しかけて特技や能力などを把握した上で、構成員として採用するかどうかを決める。そうして採用した仲間にはソルジャーやカポと言った階級を与えて、店の番をさせたり、ミッションに同行させたりなど、いくつかの仕事を割り振ることができる。
基本的には同行させることが多くなると思うが、その場合はカジュアルなタクティカル系TPSっぽいゲームになり、小さな部隊を指揮するように仲間に簡単な指示を出して敵と戦っていく(出せる命令は行け、集めれくらいだが)。
今作ではイチから自分のファミリーを作り、拡大し、ドンとしてそれを動かして”自分だけの帝国”を築いていくことができる。
プレイ面に限定すれば、今作でやっていることは前作と大きく変わらないのだが、それをどのように実行するかの部分は違っていて、マフィアのドンになれるゲームとして、前作から順当に進化している。似たゲームはいくつかあるが、そのどれとも被らない独自のオープンワールドゲームになっている。
ニューヨーク、マイアミ、キューバ
今作ではニューヨーク、マイアミ、キューバが舞台として登場する
どれもオープンワールド化されていて、その中を自由に行動できる。行動できるのだが、実際のところメインのマップはマイアミで、他の二つはかなり小規模で、サブマップのような存在になっている。ニューヨークもキューバも狭いマップにランドマークを詰め込んでいるので、かなり歪な空間になってしまっているが、マイアミの方は広くてよく作り込まれている。
個人的には、キューバは、他のオープンワールドゲームでも訪れることがないので、なかなか新鮮な気持ちで散策することができた。
繰り返しが多いのが難点
前作『ゴッドファーザー』は、映画版と絡めた凝ったミッションが多かったが、今作の方はずっと縄張り争いを繰り返していて、ミッションのパターンが非常に少ない。大抵の場合、エリア内の敵を一掃するか、一掃してから尋問するかくらいの違いしかなく、かなり反復的な内容になっている。
そして、最後のミッションをアンロックするためには「すべての敵対するマフィアの事業(26個)を奪う」「すべての敵対するマフィアの幹部を抹殺する」をしないといけない。これも例によって「エリア内の敵を一掃し、管理者を尋問する」「エリア内の敵を一掃し、幹部を倒す」の繰り返しで、ほぼ同じと言って良い。
私はこうしたちまちまとしたものは嫌いではないのだが、さすがに度が過ぎていると感じた。せめてメインミッションの方は前作のように凝ったものを用意して欲しかった。
ゴッドファーザーとしては
前作『ゴッドファーザー』と比べると、今作は独自色が出ている方だと思う。
今作でも「実はそこにプレイヤーがいたんですよ」という形で映画版の象徴的なシーンは再現されているが、基本的にはマイケルとは別行動で、自分のファミリーを大きくしていくお話なので、前作ほど映画版に関与している感覚はない。そもそも若きヴィトーのエピソードが丸々カットされているし…。あと、今作もマイケルの顔はアル・パチーノじゃないし…。
というわけで「ゴッドファーザー」のゲーム化と見た場合は、前作の方が優れていた。
総評
今作は、システム面が面白いゲームだった。
自分でイチからファミリーを作り、共に行動するので、勧誘した仲間たちには愛着が湧くし、「ドンズ・ビュー」からファミリーや事業を管理するのも、ドンの仕事っぽくて面白い。同じオープンワールドゲームだが、「グランド・セフト・オート」とも「セインツロウ」とも違う独自のスタイルを確立している。
後半は”繰り返し”がかなり辛かったが、システム面の面白さでなんとか最後まで持った。
ちなみに、今作によく似ているゲームは『マフィア3』。「ドンズ・ビュー」やファミリーを作る要素はないが、反復的なゲーム内容も含めて、ゲームの流れはよく似ている。『マフィア3』はある意味、今作の半リメイクと言えるかも知れない。