原題 | Mercenaries 2: World in Flames |
開発元 | Pandemic Studios |
対応機種 | PC,PS3,Xbox 360 |
クリア時間 | 16時間~ |
ストーリー | ベネズエラで軍事クーデターが起き、暫定政府が発足する。このクーデターに絡み、命を狙われた主人公は復讐に燃える。ベネズエラでも、軍や傭兵相手に大暴れする。 |
今作は、2008年に発売された「マーセナリーズ」シリーズの二作目。『マーセナリーズ』の後の世界での出来事を描く作品になる。
評価
破壊表現アップ!爽快感アップ!
今回、災難に見舞われる国はベネズエラ。
このシリーズは、実在する国を出すことにこだわりがあるようで、今回もカラカスのような都市部から、鬱蒼としたジャンルまで存在する”ベネズエラ”が舞台として用意されている。
ただ、舞台は変わっても、やることは前作と同じ。
ベネズエラでは「ユニバーサル石油」「ベネズエラ人民解放戦線」「国連軍」「中国軍」が支配権を巡って争っており、プレイヤーは、それらの組織との友好度を意識しつつ、様々な汚れ仕事をこなしていくことになる。
前作経験者であれば、ゲームの流れはすぐに理解できるはず。
…理解できるはずだが、今回はメインミッションに前哨拠点の制圧と言った、本来ならサブ要素になるようなものが組み込まれているので、実の部分は意外と少ない。前作と同じように遊べるが、同じものを期待すると、肩透かしを食う可能性が高く、そこは注意点として挙げておく。
逆に前作と比べて、良い意味で違いを感じたのは、豪快な破壊表現。
小屋や木々はバリバリと壊れていき、ビルも派手に崩れていく。破壊のゲームなので、その部分が強化されたことで、暴れているときの爽快感が増している。ここは前作から順当に進化している。
とにかく作りが粗くて、未完成
ゲームの掴みは良く、最初は「これは期待できる」と思わせるが、そこからもう少し遊ぶと、ボロボロとおかしなところが出てくる。
私の環境(PC版)では、とにかくバグが散見された。
「GPSがおかしなルートを指している」「兵士がおかしな行動を取り続ける」はよくあることとして、リスタートすると、本来ならまだいないはずの敵のヘリがいて、クリアが困難になる、主人公が挟まって身動きが取れなくなると言った進行不能系バグもままあり、全体的に作りが粗っぽい。
バグってもリスタートすれば済む(それでもダメな場合はゲームを一度閉じる)のだが、やはりこれだけバグがあると、遊ぶモチベがどんどん下がってしまう。プレイ中、「ちゃんと最後まで遊べる状態なのか?」と常に不安だった。
バグ以外にも、気になる点は多い。
例えば、戦車やヘリなどをハイジャックする際のQTEは、戦闘のテンポを削いでしまっているし、システム周りも、前作の方が簡潔だったと感じる。
QTEは、乗り物ごとに異なるボタン入力を求められるため、入力ミスが起きやすく、さっさと乗り込んで攻勢に転じたいときは非常に面倒なことになっている。
また、航空支援やサプライドロップなどに燃料が必要になった点も、余計な一手間に思える。こまめに燃料を回収していないと、お金はあるのに味方に支援を要請できない事態に陥る。一度、ミッション中に燃料切れになったことがあり、ミッションを中断して、燃料探しに出るはめになったのだが、「一体、自分はいま何をしているのか?」と思ってしまった。お金さえあればOKだった前作の方が分かりやすいし、遊びやすい。
(他にも、ショップが各勢力の拠点に置かれたことで、ショップ巡りをしないといけなくなったのも面倒。前作のように十字キー右を押すと統合型ショップが開き、そこで全部買える方が遊びやすい)
あとは、ミッションエリア内にあるSAMやRPGの量がすごくて、ヘリで上空から攻撃する戦法が、リスキーすぎて、私の場合はほとんど使うことが出来なかったのも、忘れずに書いておく。戦車で強襲するのが一番確実で、そういう意味では遊びの幅が狭まっていると言える。
たしかに、マーセナリーズ的な面白さはあり、その部分は前作と同じくらい楽しめる。なので、ベースの部分は堅実な作りだと思うが、それと新要素の食い合わせが悪く、遊んでいると、細かなストレスが蓄積されていき、次第に破壊の爽快感も薄れていくところがあった。
全体的に「あのままで良かったのに」と思うことがよくあるゲームだった。
総評
正直、ここでシリーズが打ち切りになってしまったのも納得できてしまう一作。
表現力の向上による破壊表現の強化は、このシリーズの代名詞とも言える”破壊的な遊び”をより楽しくしてくれるもので、ここは一作目から順当に進化している部分だと言える。ただ、散見されるバグをはじめ、全体的に作りの甘さが気になるゲームになり、せっかくの破壊を活かす遊び場が、ちゃんと整備されていない点は非常に残念に感じる。
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