原題 | Hitman Blood Money |
対応機種 | PC,Xbox(互換)ほか |
プレイ時間 | 12時間~ |
ストーリー | ある雑誌記者は、元FBI長官の独占取材に成功する。元長官は、記者にAgent 47が関与した一連の事件について語り始める。その過程で、クローン技術を巡る巨大な陰謀の存在が明らかとなる。 |
今作は、2006年に発売された『Hitman Contracts』の続編。『Hitman Codename 47』『Hitman 2 Silent Assassin』『Hitman Contracts』と続いた一連のストーリーを締める完結編になる。
評価
創造的なHitman体験
前作『Hitman Contracts』との違いはいくつもあるが、代表的なものを挙げるとすれば、”誘導”。
今作では、アイテムを使って敵を誘導できる。犯行の瞬間を目撃されないために、コインを投げて敵の視線を一箇所に集めたり、服を奪うために、敵を銃で釣ってトイレに誘い込んだりなど、敵の行動パターンをある程度こちら側で変更することができ、前作までとはまた違った方法で敵と遊ぶことができる。
これまでも攻略法は複数用意されていたし、どの方法を選ぶかという自由もあったが、今作はそこに創造性が加わったと言える。決まった手順を踏んで暗殺を完成させるパズルゲームっぽいところは残しつつも、プレイヤーが創意工夫できる余地もちゃんと確保していて、この二つのバランスが非常に良い。
それ以外では、アクシデント・キルも特徴。
アクシデント・キルは、事故に見せかけて敵を無力化する方法になっており、落下死や焼死など、工夫次第で様々なアクシデントを生み出すことができる(※厳密には過去作でも一部のターゲットに限定してアクシデント・キルのようなことは出来た)。
誘導やアクシデント・キルなど、今となれば、リブート版に非常に近い作風になっている。
一応、触れておくと、今作もマップは多彩。
パリのオペラハウスやラスベガスのカジノなど、様々な場所が舞台として登場する。どのマップも前作より広く、入り組んでいて、下準備のためにウロウロしているだけで、時間がどんどん過ぎていく。
個人的には、日常を意識した作りが好印象だった。
前作はかなりダークな作風だったが、今回は一般人でごった返す場所や閑静な住宅地も登場する。人々の日常に紛れて、コソッと仕事をするというのは、なかなか雰囲気があるし、スリルもある。
今作のマップは、非現実的なマップと現実的なマップのバランスが良く、遊んでいて飽きない。
もっとも易しいHitman(だった)
少なくとも、発売時点では”もっとも易しいHitmanだった”と言える。
ステルスプレイは、前作『Hitman Contracts』と同じく、変装すれば敵に警戒されなくなるので、かなり楽。その上で、倒した敵を隠せるコンテナが用意されていたり、超便利なヒューマン・シールドからの気絶が出来たりなど、プレイヤー有利な要素が追加されている。おまけに、今回は難易度イージーで遊ぶと、無制限にセーブできる(ノーマルは7回)。
旧シリーズの中では、今作が一番洗練されているし、遊びやすい。
総評
今作は、旧シリーズの集大成に相応しい一作。
『Hitman Codename 47』がシリーズの基礎を築き、『Hitman 2 Silent Assassin』が発展させ、『Hitman Contracts』が洗練させたという積み重ねが、今作できっちり活かされている。創造的なゲームプレイとそれを可能にするデザインは見事で、リブート版が出るまでは、間違いなくこの”Blood Money”がシリーズ最高傑作だった。
今では上位互換としてリブート版があるので、初めて遊ぶ場合はそっちが断然お勧めだが、昔のHitmanも遊んでみたいという人には、今作を絶対にお勧めする。