【感想・評価】『007 私を愛したスパイ(ネタバレ)』レビュー

「007」シリーズ
原題 The Spy Who Loved Me
公開日 1977年7月7日
ストーリー 核ミサイルを搭載した英国、ソ連の潜水艦がこつ然と姿を消す。

007ことジェームズ・ボンドはこの件の調査を命じられ、ソ連から送られて来たスパイ”トリプルX”ことアニヤ・アマソワと共同で任務にあたる。

そして、ボンドとアマソワは核ミサイルを悪用しようとする者の存在を突き止め、その企みを阻止しようとする。

ロジャー・ムーア主演のスパイ映画『007 私を愛したスパイ』のレビュー。

007 私を愛したスパイの感想/評価

今作は”ロジャー・ムーアがボンド役を演じたボンド映画の三作目”にあたり、作風としては『007 死ぬのは奴らだ』『007 黄金銃を持つ男』よりもリアリティ重視。

一応、今回もコメディ要素は残っているが、一つのアクションに対してボンドが一言気の利いた台詞を吐く程度に抑えられており、クスッとさせようとするシーンはそう多くない。

一方で、アクションシーンには力が入っており、冒頭の雪山でのチェイス、水中戦や船内での戦闘など、ボンド映画らしい規模の大きなシーンが数多く用意されている。

(それぞれのアクションシーンは過去作に着想を得たセルフオマージュ)

ある意味、今作は原点回帰しており、『007 死ぬのは奴らだ』のオカルト、『007 黄金銃を持つ男』のコメディと比べればシリーズ初期のボンド映画に近い作風になっている。

個人的にはショーン・コネリー時代の『007 ロシアより愛をこめて』『007 ゴールドフィンガー』に近い印象を受け、「久しぶりにボンド映画らしいボンド映画を観た」という満足感が得られた。

エジプトやイタリアなどを舞台にしたスケール感だったり、ダレる中盤の部分をアクションシーンに置き換えている点だったりも良かった。

また、今回はストーリーやキャラクターも魅力的だった。

冷戦時代における核兵器の脅威を、ボンド映画らしいスケール感が描いており、荒唐無稽な設定の数々も圧倒的なスペクタクルで包み込むことでアリとしている。

現実世界にジョーズなんて殺し屋はいないわけだが、今作ではストーリーと演出によってそんな違和感を感じさせない。

ソ連スパイの”トリプルX”も良いキャラクターをしており、従来のボンド・ガールとは一線を画する”ボンドと対等に渡り合える”女性キャラクターになっており、印象に残った。

(最終的にお色気要因になってしまう点は残念だったが)

まとめ

今作は『007 死ぬのは奴らだ』『007 黄金銃を持つ男』と来たロジャー・ムーア版の中ではもっとも面白いボンド映画だった。

ボンド映画らしいスケールの大きなストーリーとアクションが用意されており、トリプルXやジョーズなどの魅力的なキャラクターも多数登場する。

個人的には、『007 ロシアより愛をこめて』に次ぐお気に入りのボンド映画になった。

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