【感想・評価】『007 オクトパシー(ネタバレ)』レビュー

「007」シリーズ
原題 Octopussy
公開日 1983年6月6日
ストーリー サーカス団に潜入していた009は、”貴婦人の卵”と呼ばれる貴重品を証拠として持ち出す。

双子のナイフ使いに追われるも、009は”貴婦人の卵”をイギリス大使館まで持ち込み、尽き果てる。

その後、”貴婦人の卵”を受け取ったMI6は、同じ品がオークションに出品されるという情報を入手する。

“貴婦人の卵”を巡る謎を調査すべく、MI6はジェームズ・ボンドをオークション会場に派遣する。

ロジャー・ムーア主演のスパイ映画『007 オクトパシー』のレビュー。

007 オクトパシーの感想/評価

ロジャー・ムーア主演のボンド映画では、『007 死ぬのは奴らだ』の次に面白くない作品だった。

とにかくストーリーに”観客に推察させる余地”が多く残されているので、観ていて「今どういう状況?」「結局、彼らはどういう関係性?」などの疑問が湧いてくる。

“貴婦人の卵”一つ取っても、海外フォーラムでも「カマルは本物だと知っていたのか?」「本物の卵はどこにあるのか?」など、議論されている。

結局、お話としては─

  • オルロフ将軍はロシアの貴重品を転売している
    =>盗んだ貴重品をカマルに
  • カマルはレプリカ製造を手配する
  • オクトパシーはサーカス団に紛れて貴重品を外国に

だったが、登場人物同士の関係性やそれをする意図などが詳しく描かれておらず、よく言えば難解で、悪く言えば雑なストーリーになっている。

(私は2回観てようやく理解した)

今回は東ドイツ、インドなどを転々し、これまでのようにアクション目白押しだが、ストーリー面での”引っ掛かり”がずっと頭に残ってしまい、肝心のアクションを純粋に楽しめなかった。

(個人的にピエロに扮するボンドやオクトパシー集団の荒唐無稽さは意外と楽しめた)

また、今回はボンドの宿敵もパッとしない。

一応、今回のヴィラン(ボンドと対決する大ボス)はカマル・カーンだが、カマル以外にもソ連の乗っ取りを画策するオルロフ将軍が登場する。

クライマックスにボンドと決闘するのが大ボスであれば、今回の大ボスはカマル・カーンと言えるが、目論んでいる計画の規模で言えば、大ボスはどう考えてもカマルよりもオルロフ将軍の方だろう。

にもかかわらず、オルロフ将軍は”ボンドが関与しない形”であっさり殺されてしまい、ボンドは”オルロフ将軍の歯車だった”人間と対決する。

当然、ボンドはカマルとの対決を制するが、大ボスとしての存在感が薄いのでクライマックスの盛り上がりがあまりない。

確かに、今回もアクション自体はパワーアップしており、その面では”まさにボンド映画”なのだが、やけに複雑な(“雑な”とも言う)ストーリーと、インパクトに欠ける大ボスが足を引っ張っているのも事実。

まとめ

素直に楽しませてくれないボンド映画だった。

スタントと特撮を駆使したアクションの数々は今観ても非常に迫力があり、特にインドでのチェイスは一般人が紛れ込んでしまうアクシデントも含めて印象に残る。

それだけに、観ている者を現実世界に引き戻してしまうストーリー面の粗さが残念だった。

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