原題 | 007 The Man with the Golden Gun |
公開日 | 1974年12月19日 |
ストーリー | ジェームズ・ボンドは”黄金銃を持つ男”という異名を持つ殺し屋・スカラマンガを調査する。
スカラマンガを調査する中で、ボンドはスカラマンガが企む壮大なプロジェクトの存在を知り、それの阻止に乗り出す。 |
ロジャー・ムーア主演のスパイ映画『007 黄金銃を持つ男』のレビュー。
007 黄金銃を持つ男の感想/評価
コミカルなスパイ活劇として見れば、前作『007 死ぬのは奴らだ』よりもはるかに面白く、今回はシリアスとユーモアのバランスがよかった。
個人的に、この時代のボンド映画は”コメディ映画に片足を突っ込んだ”スパイ映画だと思っており、今作のようにリアリティを少し無視した演出も実は全然受け入れられる。
よって、”助けに来た車に乗り遅れる”、”ありえないカースタント”や”お尻でスイッチを押してしまう”などのシーンも楽しめた口であり、一連のコミカルなシーンを本人たちは至ってマジメにやっているギャップも楽しかったりする。
そして、ロジャー・ムーアだからこそ”ギャグ映画に振り切らない”ところがあり、彼の佇まいやウィットに富む台詞がシリアスとユーモアのバランスを上手く取っており、この映画を気軽に観られるスパイ活劇にしている。
積極的にコミカルなシーンを取り入れている点は、”真面目にやりながらも傍から観ているとギャグっぽくなっていた”ショーン・コネリー時代後期のボンド映画との大きな違いになっており、個人的に好きなところでもある。
(ペッパー保安官の再登場は嬉しいサプライズ)
気になる点としては─
- 中だるみしている
- 宿敵が大物感に欠ける
の2点が挙げられる。
今回もいつものように“2時間という尺を埋める”ために無駄なシーンが差し込まれており、中盤でストーリーが一度止まってしまう。
宿敵のスカラマンガも、過去作に登場した宿敵と比べると大物感に欠ける人物になっており、ボンドvsスカラマンガの攻防が映画的なピークになっていなかった。
あと、ロジャー・ムーア演じるボンドがいわゆる”ボンド・ガール”を引っ叩くシーンは見たくなかったなと。
まとめ
ロジャー・ムーアの色が出ているボンド映画。
シリアスとユーモアのバランスがよく、スパイ活劇として楽しめるボンド映画になっており、私にとっては数作ぶりに面白いボンド映画に巡り会えたと思える一作だった。
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