原題 | Deus Ex Mankind Divided |
対応機種 | PC,PS4互換,Xbox One互換 |
クリア時間 | 16時間~ |
ストーリー | 前作での出来事を経て、反オーグ(人体改造)の声が高まる世界。オーグと非オーグの分断が修復不可能なレベルまで広がる中、大規模なテロ事件が発生。主人公は事件を捜査し、その背後に見え隠れする陰謀を暴こうとする。 |
『Deus Ex Mankind Divided』は、2016年に発売されたサイバーパンク・アクションRPG。2011年発売の『Deus Ex Human Revolution』の直接的な続編にあたる作品になる。
評価
※本編開始時に前作のストーリーをまとめた15分弱のムービーが用意されている。そのため前作未プレイでもストーリーはそこで予習できる。
前作のアップデート版
前作『Deus Ex Human Revolution』は、”一作目『Deus Ex』の後継作にして、正統派な「Deus Ex」”だった。ミッション攻略における選択肢の多さや、意味のある育成システムなど、一作目の特徴的な要素を復活させると同時に、ゲーム全体の見直しも行い、原点回帰と刷新を同時に実現したリブートの成功例と言える作品だった。
基本的には、今作はそれをベースにした続編。新しいオーグ(特殊能力)が追加されている、システム周りが少し改良されているを除くと、前作から大きく変わったところはなく、前作と同じ操作方法を選択して遊べば、それとほとんど同じ感覚で遊ぶことができる。
前作の時点で、プレイ部分に特に不満はなかったので、今作に関しても同様に不満はなく、スムーズにアクションやステルスを実行できる”良いステルスアクション”になっている。
ちなみに、今作では完全不殺プレイが可能。前作は、ボスがキル以外に選択肢がない点が”Deus Exらしくない”と批判されていたが(私も批判的な立場)、その部分はきっちり改善されており、不殺オプションが用意されている。これはサイドミッションだが、ボス級の敵も対話で解決可能で、これも”Deus Exらしくて”非常に良い。キルフレーズを言うところも、一作目のボス戦を彷彿させて、良いファンサ。
オープンワールド部分は、とにかく探索が楽しい。今作は「プラハ」が自由に探索できるマップとして用意されており、ストーリーを進めるのと並行して、サイドミッションを遊んだり、隅々まで探索したりなどができる。
前作のデトロイトやヘンシャと同じく、プラハも中規模な区画からなるオープンワールドになり、広大な世界が存在するわけではない。ただし、規模が小さい分、お隣さんの部屋から下水道の奥まで、探索可能なロケーションが多く、非常に密度の高い空間になっている。
そんなプラハには、探索したくなる数々のスポットが用意されている。
探索すればアイテムが手に入る、スキルポイントが貰えることも、探索するモチベーションになるが、あちこちに隠されたテキストや環境が語る小さなストーリーも、探索するモチベーションを上げてくれる。「この部屋の住民は何者なのか?」「倉庫に隠された大量の銃は何を意味するのか?」など、想像力を掻き立てる演出が非常に巧く、全てを知りたくなる。
これを丁寧に拾っていくと、この分断された世界で暮らす人々の実情が見えて来るという作り。
他にも、プラハには様々なサイドミッションが用意されている。オーグへの複雑な感情が渦巻く世界での出来事を、短編のストーリーに仕立てたサイドミッションが用意されており、ビターなお話の数々が非常に興味深い。
どのミッションも、白黒はっきり付く結末はなく、その都度、自分なりに難しい決断を下していかないといけない。
“区画を移動する際のロード時間が微妙に長く、区画を跨いで進行するミッションを遊ぶ際は、そのロード時間が気になる”という欠点はあるが、オープンワールドは、前作同様に、探索とサイドミッションが面白く、ストーリーと同じくらいこのゲームを物語る重要な要素になっている。
ステルスアクション、オープンワールド要素は、前作と比べても遜色ない仕上がりで、相変わらずよく出来ている。
ストーリーが未完、少し物足りない
『Deus Ex Human Revolution』から始まったストーリーは、今作で結末まで描かれることはなく、多くの謎を残したまま終了している。
たしかに「Deus Ex」全体のストーリーは、(今のところ)シリーズでもっとも先の出来事を描いている『Deus Ex Invisible War』で完結しているが、「Human Revolution」の主人公であるアダムのストーリーは未完で、三部作の二部のところで止まっている状態。ラスボスとの決着は付きつつも、多くの謎を残したままエンディングを迎える。
ストーリーがこれなので、最後まで遊んでも釈然としない。
また、欲を言えば、プラハと同じ規模のマップがもう一つ欲しかった。一作目『Deus Ex』だとヘルズキッチンと香港、二作目「Invisible War」だとシカゴとカイロ、三作目「Human Revolution」だとデトロイトとヘンシャというように、これまでは同規模のマップが二枚用意されていたが、今回はプラハのみ。一応、今作にも「ゴーレム・シティ」と呼ばれるマップが用意されているが、小規模で、これがプラハくらいあればなと遊んでいて思った。
あと、ストーリーのボスも一人しかいない。ボスが一人でもストーリーを通して何度か戦うのであれば良いのだが、ボス戦は一回しかないので、ストーリーの盛り上がりが弱く感じる。
今作の場合、単純にプレイ時間だけを見れば、前作と同じくらいは遊んでいるので、ボリューム不足ということはないのだが、クリアした後に消化不良感、物足りなさを覚えるところがあった。
総評
前作『Deus Ex Human Revolution』を超えたとは言わないが、今作も良い「Deus Ex」で、良いステルスアクションゲーム。
プレイ面は、良い意味で、前作から大きく変わらず、”Deus Exらしさ”は今作でも健在。一方で、ストーリー面は、続編ありきな部分が目に付き、大風呂敷を広げたまま終わってしまっていることで、エンディングを迎えても釈然とせず、そこは非常に残念に感じるところ。
とにかく、早く続編を遊び、ストーリーの結末を見届けたい。
コメント
すごく納得できるレビューでした!選択肢のとこは特にそう思いますね二択をつきつけて緊張感もたせたりミスリード誘ったりするのはいいんですけどFO4と同じでいやそういうつもりじゃ…みたいな所があったなと
一方でゲームデザインはちゃんと進化してるしストーリーも気になる結末だしで個人的には早く続編を遊ばせてほしいと思える名作でした。次があるならロード何とかしてほしいけどw
>FO4と同じで
訂正:4択の会話パートはFO4と同じで
でしたすみません
わざわざコメントをありがとうございます。
レビューでは触れていませんでしたが、確かにロード時間は気になりましたね。SSDを追加購入したほどです。それでも劇的に改善することはなかったですが…。
一応、前作込みで3部作構想らしいので私も続編には期待です。ただ、今作の売上が芳しくなかったようで、続編は当分お預けのようですが。