【感想・評価】『007 ムーンレイカー(ネタバレ)』レビュー

「007」シリーズ
原題 007 Moonraker
公開日 1979年6月26日
ストーリー アメリカからイギリスに空輸中だったスペースシャトル”ムーンレイカー”が何者かに盗まれる。

お馴染みジェームズ・ボンドは、盗まれた”ムーンレイカー”を調査すべく、製造した”ヒューゴ・ドラックス”を訪れる。

そこでボンドはドラックスが目論む計画を知ることに。

ロジャー・ムーア主演のスパイ映画『007 ムーンレイカー』のレビュー。

ムーンレイカーの感想/評価

今回は面白くないボンド映画だった。

前作『007 私を愛したスパイ』はアクションとユーモアのバランスがよく、”久しぶりにボンド映画らしいボンド映画を観た”と思える内容だったが、今回はあまりに支離滅裂で、コメディ全開。

コメンタリーにて製作陣が語っているが、ボンド映画は類似作との差別化を”潤沢な製作費によるスケール感”で図っており、必然的にシリーズを重ねる毎に肥大化していく。

よって、今回もまるで紀行番組のようにアメリカ、イタリア、ブラジルなど各地を転々とし、その果てに宇宙にまで到達する。

一応、アクションシーンの数々は迫力があり、冒頭の空中戦、ヴェネツィアでのチェイスや宇宙での大規模な特撮など、シリーズの中でも印象に残るシーンは多い。

賛否両論の宇宙は、個人的にはアリだと思っていて、手が込んだ特撮や宇宙”戦”は面白く、ドラックスの動機も意外とリアルで好印象だった。

一方で、ストーリーは最初に”ドラックスは宇宙征服を目論んでいる”と明かされるので徐々に真相が明らかになっていく面白さがないし、やっていることも各地で調査=>襲われるの繰り返しで中だるみしている。

そもそも、ドラックスがボンドをあの手この手で殺そうとする理由も分からないし、ドラックスの部下がボンドの金庫破りを見逃す意図も分からない。

また、コメディ色も強く、剣道着を来て襲って来るアジア人や棺から登場する殺し屋など、面白い、面白くない以前に不可解なコメディシーンが多すぎる。

確かに、ロジャー・ムーアが主演した『007 死ぬのは奴らだ』『007 黄金銃を持つ男』『007 私を愛したスパイ』はコメディ色の強い作風だったが、どれもシリアスの中のユーモアという感じだった。

その点、今回は狙ったコメディシーンが多く、かつ狙いすぎて完全に浮いている。

(ジョーズの再登場と共闘は嬉しいサプライズだったが)

まとめ

これまでに観たロジャー・ムーア主演のボンド映画では一番面白くなかった。

前作『007 私を愛したスパイ』が”ボンド映画らしいボンド映画”で面白かっただけに、今作の不可解なコメディシーン目白押しの内容にはがっかりさせられた。

監督のルイス・ギルバートは『007 私を愛したスパイ』の監督でもあるが、同時に『007は二度死ぬ』の監督でもあり、今回は『007は二度死ぬ』の部分が出てしまっていた。

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