原題 | The Godfather: The Don’s Edition |
対応機種 | PC,PS3,Xbox 360等 |
プレイ時間 | 13時間~ |
ストーリー | 敵対するマフィアに父を奪われた少年。母の願いを知ったドン・コルレオーネは、大人になった少年を父と同じコルレオーネの一員として受け入れることに。 |
本作は、1972年に公開された映画『ゴッドファーザー』をゲーム化した作品。
マーロン・ブランドやジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァルなど、オリジナルのキャストを再び起用した(できた)本格的なゲーム化になり、ある意味では、”本物のマフィアゲーム”と言える作品になっている。
評価
GTA風?オープンワールド化
ゲーム版『ゴッドファーザー』は、「グランド・セフト・オート」スタイルのオープンワールドゲーム。
映画版と同じ1940年代のニューヨークやニュージャージを再現したオープンワールドが用意されており、ミッション中以外はその中を自由に行動することができる。「グランド・セフト・オート」と同じように、ただドライブすることもできるし、サイドミッションを遊んでお金を稼ぐこともできるしと、この手のゲームを遊んだことがあれば、すぐに理解できる作りになっている。
ただし、オープンワールドでの遊びに”縄張り争い”が含まれている点はマフィアものらしさを感じるさせるところ。
オープンワールド内には4つの敵対ファミリーが存在し、それぞれが自分たちのシノギを持っている。プレイヤーはコルレオーネ家の構成員として、そのシノギを、町のケーキ屋さんから繁華街の一流ホテルまで、一つずつ奪って勢力を拡大していく。支配下にある店からはみかじめ料を取ることができるので、これをコツコツとやって、まとまったお金を作っていく。
そして、みかじめ料として得たお金は、高性能な銃やファストトラベル地点となるセーフハウスを購入する資金として、警察官やFBI捜査官を抱き込むための賄賂としてじゃぶじゃぶ使う。良い銃はシンプルに強いし、賄賂は、警察官なら多少の悪さは見逃してくれるようになり、FBI捜査官なら他のファミリーとの関係悪化を回避してくれる。
(説明しておくと、敵対マフィアとの友好度が最悪になると抗争状態になり、抗争相手のファミリーが執拗に襲ってくる。もしここで倒されると”抗争に負けた”ことになり、報復としていくつかの店舗が放火され、一時的に営業が出来なくなってしまう)
賄賂という形で根回しした上で、一般人の店をゆすってみかじめ料を集めていくのは、映画で見るようなマフィアの世界そのもので、マフィアというテーマを上手くオープンワールドと組み合わせている。マフィアをテーマにしたゲームは存在するし、本作と似たゲームシステムを持つ作品もあるが、この二つを組み合わせたものは、意外と少ないのではと思った。
ちなみに、オープンワールドの作り込みはなかなか良い。
シノギとなる店にはロード画面なしで入ることができるし、内装もそれなりに凝っている。また、街を歩いていると警官とマフィアの銃撃戦を目撃したり、銀行強盗の現場に遭遇したりなど、街が活発に動いている。いま遊んでも新鮮に感じる瞬間が何度かあった。
プレイ面は、色々できるTPS。
基本はトミーガンを撃ちまくるようなアクション色の強い作風だが、一応はステルス的なアプローチも可能で、ステルス風味のアクションゲームになっている。他にも格闘戦に力が入っており、PS3版であればモーションコントロールを活用して技を繰り出すことができる。
元は2006年のゲームなので、キャラクターの挙動や操作は今よりもガチャガチャしているが、この時代の「グランド・セフト・オート」っぽいゲームの中ではスムーズに遊べる方で、プレイ周りは堅実な作りをしている。
映画版ゴッドファーザーとの比較
ストーリーは、映画版を忠実に再現しつつゲーム版のアレンジも加える形。
映画版の有名シーンは一通り登場しており、その上で「プレイヤーはそこにいました」という形でゲーム化されている。ボナセーラの依頼を片付けたのはプレイヤーだし、マイケルと一緒に病院で見張りをしたのもプレイヤーで、”あの映画の中に自分がいる”という感覚が味わえる作りになっている。そして、本作には主人公のキャラメイク機能があるので、自分のアバターをあの世界に送り込むことができる。
ただ、映画版の忠実なゲーム化と見た場合、アル・パチーノの出演が叶わなかったのは残念。
4Gamer.netの記事によれば、同時期に発売された『Scarface: The World Is Yours』の契約により、こちらへの出演が出来なくなってしまった模様。なので、本作ではアル・パチーノとは似ても似つかない謎の青年がマイケル・コルレオーネとして登場している。ゲーム版に登場するマイケル以外の家族は全員そのままなので、これは非常に気になるし、冷めるところになっている。
ちなみに、マーロン・ブランドが実際に演じたのは入院シーンのみ。健康状態が悪化していて、使用できるボイスを収録できず、代役をたてることになったとのこと。これもイースターエッグ的な隠しネタになっていて、ほとんど顔だけの出演と言って良い。
総評
「ゴッドファーザー」をゲーム化した作品としても、一つのオープンワールドゲームとしても完成度の高い一作だった。
映画版のストーリーを中心に上手くゲーム的なアレンジが加えられているし、ゲームとしても堅実なアクションと縄張り争いのミニゲームがよく出来ており、単なる「グランド・セフト・オート」のコピーになっていない。本作は映画のゲーム化における一つの成功例と言えるはず。
なお、現在では販売が終了していて、ダウンロード版も存在しないので、少しでも気になった人は早めに買っておいた方が良い。