ロバート・デ・ニーロ主演のロード・ムービー『ミッドナイト・ラン』のレビュー。
紹介
ミッドナイト・ランのストーリー
賞金稼ぎ・ジャックは、マフィアのカネを奪って逃走した男・マデューカスを公判までに捕らえる仕事を受ける。
無事、ジャックはマデューカスの身柄を押さえたものの、マデューカスを狙う者たちに追われるはめに。
ジャックとマデューカスはそんな奴らをかわしながらロサンゼルスを目指す。
ミッドナイト・ランの出演陣
役者 | 役名 |
ロバート・デ・ニーロ | ジャック |
チャールズ・グローディン | マデューカス |
ヤフェット・コットー | アロンゾ |
ジョン・アシュトン | マービン |
デニス・ファリーナ | セラノ など |
感想
軽妙なデ・ニーロを堪能せよ
この映画は『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』『グッドフェローズ』『カジノ』『アイリッシュマン』のロバート・デ・ニーロ主演の”バディもの”のロード・ムービー。
とにかく、ロバート・デ・ニーロの軽妙な演技が魅力的でした。
ロバート・デ・ニーロと言えばギャング役やサイコ役のイメージが強く、そうした役柄でのジョークや笑顔には”何やら裏がありそう”な感じがしますが、この映画の場合は裏表がなく純粋に楽しめる。
(タクシードライバーでの笑顔なんて額面通り受け取れません)
FBIに車内に押し込められた時には「長く止めていると駐禁を切られるぞ」と軽口を叩いてみたり、相手に追い詰められた際には「おお、あれなんだ!?」と言って注意を逸してみたり。
要するに、笑顔やジョークの裏に怒りが見え隠れしたり、「懲らしめてやろう」というネガティブな意味が潜んでいたりしません。
この映画の”良い意味で気の張らない”ロバート・デ・ニーロの演技は非常に魅力的で、かつ”他ではなかなか見られない優しい眼差しと頬が緩んだロバート・デ・ニーロ”も新鮮でした。
ロード・ムービー
粗暴な賞金稼ぎ・ジャック×冷静沈着な会計士・マデューカス
この映画には”デコボコ・コンビ”が長い旅を通して友情を深めるというロード・ムービー的な側面であり、二人の心理描写にも力が入っています。
“どちらも状況は違えど正義を貫いた”者同士ということで次第に打ち解けてゆき、賞金稼ぎと賞金首にもかかわらず、友情が芽生えます。
「一人で働くから仲間の裏切りを心配しなくて良い」なんて言っていたジャックが、マデューカスを信用する下りは味わい深いですし、マデューカスがジャックと彼の家族のことを気に掛ける辺りも同様です。
また、これだけ濃密な時間を過ごしたものの「来世で会おう」と言って別れるところも、旅における一期一会感があってやけに感動的です。
この映画はロード・ムービーとしても良質でした。
まとめ
私にとってはロバート・デ・ニーロ主演映画の傑作です。
ロバート・デ・ニーロ×チャールズ・グローディンの組み合わせもさることながら、二人の軽妙な演技、耳に残る音楽、印象的な見せ場も魅力的でした。
最後の最後で”30分早めた腕時計”の伏線を回収する細かさも含めて大好きな映画です。