原題 | 007 The World Is Not Enough |
公開日 | 1999年11月19日 |
ストーリー | ジェームズ・ボンドは、石油王キングの大金を回収することに成功し、MI6に戻る。
キングはMI6で金を確認するも、その際に何者かが仕掛けた爆弾が起爆し、キングは死亡する。 MI6は次に狙われるのはキングの娘・エレクトラである可能性が高いと判断し、彼女のもとにボンドを派遣する。 ボンドはエレクトラに同行し、事件を調査する。 |
ピアース・ブロスナン主演のスパイ映画『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』のレビュー。
007 ワールド・イズ・ノット・イナフの感想/評価
正直、退屈なボンド映画だった。
今作は『007 ゴールデンアイ』『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』と来たピアース・ブロスナンのボンド映画の中ではもっとも面白くなく、”イナフ!(もう十分だ!)”という感じ。
結局、オープニングのアクションシーンが映画のピークで、それ以降は破綻したストーリーと散発的なアクションによって尻すぼみしてゆき、パッとしないクライマックスを迎える。
どちらかと言えば、今回はドラマ性が強調されているが『007 リビング・デイライツ』『007 消されたライセンス』の足元にも及ばず、人物描写や展開がいちいち甘い。
ボンドがアルコフ博士に扮するシーンはあまりにも偶然が重なりすぎているし、エレクトラの目的もさすがに飛躍がすぎており、説得力がない。
エレクトラが”ボンドは私を殺さない”と踏んでいた根拠も弱く、エレクトラとレナードの関係性もどこまで深いものなのかよく分からない。
もっと言えば、金歯男は”ボンドを殺したかったのか、それとも捕らえたかったのか”もよく分からず、どっちにしても埠頭でやれば良かった。
今回はドラマ性を強調している割りに、ストーリーは場当たり的な展開が目立つ内容になっており、観ていて消化不良を覚える。
肝心のアクションシーンも、ドラマシーンに押される形で密度が低くなっており、かつ合間合間にメロドラマが入るのでテンポも悪い。
唯一の見所は、Mがスパイとして活躍するところ。
デスモンド・リュウェリンがQ役を引退
映画シリーズの第二作目『007 ロシアより愛をこめて』からQを演じて来たデスモンド・リュウェリンが今作をもってQ役を引退。
後期はまるでボンドを”手が掛かる孫”のように扱っており、そのやり取りがボンド映画における一種の清涼剤でもあった。
個人的にはQの見せ場を用意してあげて欲しかった。
まとめ
ボンド映画としても、アクション映画としてもイマイチだった。
“ボンド映画の要件を満たすためだけに存在している”ようなメロドラマ、散発的なアクションシーンや粗削りなストーリーなど、観ていて退屈させられる一作だった。
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