原題 | Spider-Man 2 |
対応機種 | PS2ほか |
プレイ時間 | 7時間~ |
ストーリー | 前作から2年後。ニューヨークの人々のために孤軍奮闘しているスパイダーマンは、新たに登場したヴィランたちから街を救うべく、再び戦いに身を投じる。 |
今作は、2004年に発売された『スパイダーマン(PS2)』の続編。今作にも対応機種ごとに異なるバージョンのゲームが存在するが、前作と同じく、この記事では”Treyarch”開発の作品に絞って書いていく。
評価
スパイダーマン×オープンワールド
今作は、スパイダーマンを「グランド・セフト・オート」型のオープンワールドと融合させたゲームになる。前作『スパイダーマン』では屋外フィールドは上空のみで、行動できる範囲もミッションエリア内に限られていたが、今作は完全なオープンワールドになっており、ニューヨークを自由に飛び回れる。
そのオープンワールドでは、主にランダム(?)で発生する犯罪を解決したり、危機的な状況にいる市民を救出したりする。今作では、主人公の能力をアップグレードするのに、メインミッションを進めるのに、「ヒーローポイント」と呼ばれるポイントが必要になるのだが、それはこうした人助けをすることで得られる。今作ではメインミッションのみを進めるのではなく、その合間にオープンワールドをパトロールして「ヒーローポイント」を集めることもしていく。
今となれば、スパイダーマンとオープンワールドの組み合わせは特に珍しくない。しかし、今作は”ヒーローゲームで、初めて完全なオープンワールドを採用したゲーム”とのことで、当時は”スパイダーマンのように街をパトロールできる”というのは、なかなか新鮮な要素だったのではないかと思う。そういう意味では、革新的なゲーム版スパイダーマンだったと言える。
オープンワールド以外では、プレイ面の強化も特徴。基本的にはほぼすべて新しくなっていて、前作で問題だったカメラや操作のぎこちなさも、ある程度解消されており、かなり遊びやすくなっている。2004年のゲームということで、二本のスティックでの操作に完全対応しているのも嬉しい。
ただ、何と言っても、戦闘システムの刷新が特に大きい。今作の戦闘では、敵の攻撃を知らせる表示が出たら○ボタンで回避し、再び攻撃を加えていくという『Marvel’s Spider-Man』の原型とも言うべき戦闘システムが採用されている。これにより、防御と反撃を素早く行えるようになり、戦闘のスピード感が増して、敵を効率的に倒していけるようになった。その上で、「バレットタイム」のようなスローモーション(スパイダーリフレックス)も存在し、それも組み合わせれば、大抵の敵は簡単に片付けられる。前作以上に”スパイダーマンらしい”軽快なアクションが楽しめる。
なお、スパイダーマンの攻撃はパンチやキック、ウェブを駆使したもので、これは前作と同じ。ボタンをポチポチ押すだけでも十分戦えるが、押す順番を意識すれば様々なコンボを繰り出すことができる。
さらに、今作ではウェブ・スイングも別物になっている。前作のウェブ・スイングは、空からぶら下がっているような状態だったが、今回はウェブがちゃんと建物や木にくっ付くようになったことで、そこからスイングして、体が前方へと放り出される感覚が生まれている。
確かに、✕ボタンの押し加減で高さを調整する必要があり、スイングするためにはウェブがくっ付く場所がないといけないなど、最初は難しく感じるのだが、慣れてくると、映画で観るようなウェブ・スイングを楽しむことができる。ルートを考えながら、ウェブで街中を高速で飛び回るのは最高に楽しい体験だ。
古いゲームなので、ボス戦がやけに面倒だったり、ユーザービリティに欠けるところがあったりするが、戦闘システムやウェブ・スイングなどは非常によく出来ていて、ここは以降のゲーム版スパイダーマンと同じ感覚で遊べるくらい完成されたものになっている。
映画版と比較する
前作『スパイダーマン』は、ほぼゲーム版オリジナルのストーリーだったが、今回は映画版のシーンもしっかり取り入れられていて、上手くゲーム版のストーリーと融合させている。
映画版のゲーム化という意味では、今作の方がよく出来ている。