原題 | THE SAMARITAN |
公開日 | 2012年5月18日 |
ストーリー | 親友を殺し、25年間も服役した主人公・フォリー。
フォリーは出所を機に更生を誓うが、殺した親友の息子イーサンが彼の前に現れ、仕事を依頼する。 その頃、フォリーはバーでアイリスという名の女性と出会うのだった。 |
サミュエル・L・ジャクソン主演のクライム・ドラマ映画『コンフィデンスマン/ある詐欺師の男』のレビュー。
“コンフィデンスマン/ある詐欺師の男”の感想/評価
“贖罪”をテーマにしたドラマ映画
“リベンジ系アクション映画を思わせる”日本語版のポスターに釣られて観ましたが、開始5分で「そういう話ではない」と悟りました。
この映画は、親友を殺し25年服役した後に仮釈放された主人公・フォリーが、出所を機に生き方を改めようとするも”そう簡単にやり直すことはできない”シビアな現実を描く作品でした。
私にとっては予想外の作風でしたが、ドラマ色の強いクライム映画としては”贖罪”をテーマにしたストーリーはよく書けており、それぞれのキャラクターの内面もきちんと掘り下げられていました。
裏社会の人間が更生することの難しさや、一度犯した罪は何年服役しても償えるものではないという現実を淡々と描いており、その面では見応えのある一作でした。
最後、娘に輸血することで”フォリー自身は叶わなかった生まれ変わる”チャンスを娘に託すシーンも、それまでの積み重ねがあるおかげで感動的なシーンでした。
ストーリーはそれなりに…
最後、アイリスは「全て知っていた」と明かします。
しかし、精神的に危うく、その苦しさをドラッグで紛らわせていた人間が”近親相姦の事実を受け入れられる”とは到底思えず、違和感を覚えました。
“心を許し、肉体関係を持った相手が実の父親だった”というのは、精神的にタフな人でも相当キツイ出来事のはずです。
にもかかわる、この映画ではエンディングに向けて良い感じにまとめていくので、観ている側としては自分の感情が付いていきませんでした。
(そもそも、近親相姦のシーンは必要だったのか?)
あと、フォリーが参加させられる詐欺も、相手が話に乗ってくることを前提にしており、手が込んでいる割には成り行き任せでご都合主義的でした。
フォリーの腕も衰えた?
てっきり、私は”逆にフォリーはイーサンを手玉に取っている”と思っていましたが、実際は全てイーサンのペースで物事は進行しており、肩透かしを食らいました。
まとめ
観ている者の感情をかき乱す、重いヒューマン・ドラマでした。
“贖罪”をテーマにしたストーリーは示唆に富む内容になっており、二転三転するストーリーもサスペンス映画的であり興味を惹かれます。
ただし、最終盤の雑なストーリーのまとめは玉に瑕ですが。
余談ですが、娘役のルース・ネッガが持田香織に見えて仕方なかった。