ダニエル・デイ=ルイス主演の歴史映画『リンカーン』のレビュー。
紹介
リンカーンのストーリー
南北戦争の末期。
アメリカ合衆国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンは、”南北戦争の終結”と”奴隷の解放”という極めて難しい政治課題に直面する。
リンカーンの出演者
役者 | 役名 |
ダニエル・デイ=ルイス | エイブラハム・リンカーン |
サリー・フィールド | メアリー(リンカーンの妻) |
デヴィッド・ストラザーン | ウィリアム・スワード |
ジョセフ・ゴードン=レヴィット | リバート(リンカーンの息子) |
ジェームズ・スペイダー など | ウィリアム・ビルボ |
感想
意外にも、リンカーンの暗殺を終点とする映画だった。
暗殺事件ではなく、”南北戦争末期の激烈な時代を生きた政治家リンカーン”を描く作品になっており、彼と側近たちが繰り広げる政治ゲームに主眼が置かれている。
実は映画としてのクライマックスは─
- 憲法修正案の採決
- 南北戦争の終結
の辺りになっており、個人的には予想外の作品だった。
暗殺事件について深く描かれないものの、南北戦争や奴隷制度については背後関係も含めてよく描かれており、歴史モノとしては十分に楽した。
奴隷制度が受け入れられた背景には宗教や労働に対する考え方の違いがあること、南北戦争と憲法修正案は密接に関わっていることなどを丹念に描く。
この映画は、それぞれの思惑が激突する政治ゲームを大きな歴史の流れの中で描いており、リンカーンという人物が混乱期のアメリカで果たした役割を知ることができる。
確かに、暗殺事件を目当てで観た場合は物足りない映画ではあるけれど、あの時代を描いた政治モノとして非常に面白く、最後まで目が離せなかった。
まとめ
複雑な政治ゲームをエンタメとして描き切った一作。
リンカーンの人物像を掘り下げ、同時に歴史的背景もきちんと紹介する作風になっており、複雑なテーマながらも消化不良感なく最後まで観られた。
『リンカーンを殺した男』とセットで観るとより理解が深まるはず。