ブラット・ピット主演のクライム映画『ジャッキー・コーガン』のレビュー。
紹介
ジャッキー・コーガンのストーリー
マフィアの息がかかった賭場が二人組の強盗に襲われる。
殺し屋・コーガンは二人組の始末を命じられる。
ジャッキー・コーガンの出演陣
役者 | 役名 |
ブラッド・ピット | コーガン |
スクート・マクネイリー | フランキー |
ベン・メンデルソーン | ラッセル |
ジェームズ・ガンドルフィーニ | ミッキー |
リチャード・ジェンキンス | ドライバー など |
感想
“社会風刺的”ギャング映画
一見、ギャング映画のようですが、実際はアメリカ社会の縮図を描く作品でした。
リーマン・ショック直後のアメリカを、映画ではブラット・ピット演じる殺し屋・コーガンを通して描き、政治不信や経済危機に直面した社会の実態を映し出します。
具体的には、コーガンの仕事がなかなか進まない点は”不毛な議論と手続きばかりで問題解決が先送りにされる”政治状況を思わせます。
また、賭場でのギャンブルは投資と重ね合わせることができますし、賭場と客から現金を奪って行く二人組は、まるで国民の懐から金を奪って行った銀行のよう。
確かに、この映画はギャング映画的な側面があるのは事実ですが、正確には”経済危機に端を発する混乱をギャングの世界に当てはめた”作品だと私は思いました。
大きな経済の話を、ギャングの小さな世界にも当てはめることができるのだなと感心しました。
一方で、アメリカ社会の絶望も描いています。
オープニングはオバマ次期大統領(当時)の希望に満ちた演説に乗せて、それとは程遠い寂れた町の様子が淡々と映し出されます。
最後も、バーの外では新年を祝う若者たちが騒ぎ、テレビの中ではオバマ次期大統領がまたしても希望に満ちた演説をしていますが、バーの中は閉塞感が漂っています。
アメリカン・ドリームからこぼれ落ちた者たちに待ち受ける”緩やかな死”がずっしりと重く、オバマの熱弁が虚しく映画内で響いています…。
予告編とはまるで違う
予告編を見て「おお、ギャング映画じゃん!」と思って観た人はご愁傷様です。
まとめ
非常に見応えのある”社会風刺的”ギャング映画。
殺し屋・コーガンの一歩引いた視点から描かれるストーリーは面白く、彼を通して描かれるアメリカ社会の現実も興味深かったです。
あと、ギャング映画としてのツボも押さえられており、『グッドフェローズ』を想起させるレイ・リオッタの”爆笑顔”が見れただけでも満足です。