【感想・評価】『誰よりも狙われた男(ネタバレ)』レビュー

サスペンス映画のレビュー

フィリップ・シーモア・ホフマン主演のスパイ系サスペンス映画『誰よりも狙われた男』のレビュー。

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紹介

誰よりも狙われた男のストーリー

ドイツの諜報機関でテロ対策ユニットを率いる主人公・バッハマン。

彼はイッサ・カルポフという名の青年がドイツに密入国したという情報を入手、彼とその周辺の捜査を始めるのだった…。

誰よりも狙われた男の出演陣

役者 役名
フィリップ・シーモア・ホフマン バッハマン
レイチェル・マクアダムス リヒター
ウィレム・デフォー ブルー
ロビン・ライト サリヴァン
グリゴリー・ドブリギン イッサ など

感想

地道なスパイ活動

フィリップ・シーモア・ホフマン演じる主人公・バッハマンが電話で情報交換しているシーン。

原作者のジョン・ル・カレ自身がイギリスの情報機関の元職員という事実は、この映画のスパイ活動に説得力を与えます。

本作は首尾一貫して地味なスパイ活動に焦点が当たっており、スパイ映画の代名詞である「007」や「ミッション・インポッシブル」とは程遠い作品。

フィリップ・シーモア・ホフマン演じる主人公・バッハマンも、ギトっとした中年のキャラクターになっており、ジェームズ・ボンド的なカッコよさとは無縁の親父です。

また、バッハマンたちの活動も、地道な調査と張り込みが中心であり、銃撃戦やカーチェイスなんてものも存在しません。

  • 主人公・バッハマンはどこにでもいそうな中年親父
  • バッハマンたちの活動は地道な調査や張り込みが中心

映画で描かれるスパイ活動は全て、”自分の近所で起きていても不思議ではない”と感じさせるものが大半であり、非常に説得力をもって描かれています。

よくよく考えれば諜報員が表立って動くメリットなんてなく、かつ”どこにでもいそうな親父”の方が相手の警戒心も薄れるはず。

実際に情報機関に勤務していた人物だからこそ分かる、リアリティを感じます。

小魚で大魚を、大魚でサメを釣る

ウィレム・デフォー演じるブルーが、教授に送金先を指定するようにお願いするシーン。

映画では長期的な視点でスパイ活動を行うバッハマンと、目先の結果に囚われる他の諜報機関との軋轢も描かれます。

バッハマンは”小魚で大魚を釣り、最後にはサメを釣る”という考え方でスパイ活動をしており、一人の内通者と関係を築きながら大物に近づいていく手法を取っていました。

一方で、CIAなどの諜報機関は怪しいやつは片っ端から捕まえて”逮捕した”という事実を作ろうとします。

結果、最後の最後でバッハマンの計画は他の諜報機関によってぶち壊されます。

あと一歩で、アルカイダのフロント企業に深く入り込むことができたのに、目先の利益に囚われたCIAなどがアブドゥラを強奪したことで、それが不可能に。

クライマックスは「うわ、身内の中にも敵がいた!」という怖さと、頑張ったからと言って良い結果が得られるわけではないという不条理さが、非常に苦い。

終わってみれば、バッハマンを含む全員がCIAなど諜報機関のチェスの駒に過ぎなかったわけで、大正義・アメリカの力をまざまざと見せつけられます。

バッハマンが”利用されていた”事実に気づき、怒り狂い、絶望するラストシーンは脳裏に焼き付いて離れません。

まとめ

非常に見応えのあるスパイ系サスペンス映画でした。

小さなお話を丁寧に積み上げていく作品になっており、銃撃戦やカーチェイスに頼らずとも緊迫したスパイ合戦を描けている力作でした。