サンドラ・ブロック主演の宇宙映画『ゼロ・グラビティ』のレビュー。
紹介
ゼロ・グラビティのストーリー
地球から60万メートル上空。スペースシャトルでのミッション遂行中、突発的事故により、無重力空間(ゼロ・グラビティー)に放り投げ出されたふたりの宇宙飛行士。
ふたりをつなぐのはたった1本のロープ。
残った酸素はあと僅か!真っ暗な宇宙空間の究極的な状況の中、果たしてふたりは無事、地球に生還することができるのか…!
引用元 – Youtube
ゼロ・グラビティの出演陣
役者 | 役名 |
サンドラ・ブロック | ライアン |
ジョージ・クルーニー | マット |
エド・ハリス | 声のみ など |
感想
自分の足でしっかり立つこと
初めて宇宙での任務に参加した主人公・ライアン。
彼女はマットたちと一緒に船外活動を行っていたが、”ロシアが自国の人工衛星を破壊したことで生まれた”宇宙ゴミが彼女たちを襲い、ライアンとマットは宇宙に放り出される。
和気あいあいとした雰囲気が一変し、決死のサバイバルに。
一本のロープで繋がったライアンとマットは、遠くに見える国際宇宙ステーションに望みを託して向かうが、酸素とジェット燃料は残り僅かだった。
この「国際宇宙ステーション」へと向かうシーンでは、常にマットがライアンをリードする構図になっており、ライアンはマット無しで生きていくことはできない。
「へその緒」で繋がる母体と胎児のように、ライアンはロープで繋がるマットに自身の命運を委ねた状態だった。
これは”ライアン自身が宇宙空間に慣れていなかった”ことに加えて、愛娘を亡くした喪失感で生きる気力を失ってしまっていたことも原因だった。
ライアン曰く、彼女の地球での生活は”毎朝起きて職場に行って帰って来る”毎日だという。
よって、少なくとも「国際宇宙ステーション」に行く間は、ライアンよりもマットの方がはるかに”生きて地球に帰りたい”という思いが強い。
しかし、別れは突然やって来る。
マットが宇宙空間へと投げ出されてしまい、二人を繋ぐロープを切らなければ両方ともが宇宙空間に投げ出されて死んでしまう状況に陥る。
その時、マットは迷わずライアンに自分を見捨てるように言う。
この”生きて地球に帰りたい”と強く思う方が犠牲になりながらも、相手に自分の思いを託す流れは非常に感動的で、それはライアンの心にも響く。
マットとの別れをきっかけに、ライアンの中で”生存”への意欲が再び湧き上がり、彼の導きが無い状況でもどん欲に前へと進んでいく。
そして、地球へと帰還するシーン。
ライアンは亡きマットに愛娘へのメッセージを託すが、この時の”生きることを決心した”ライアンの力強く、前向きな表情に彼女の成長を感じさせる。
また、ラストシーンも印象深い。
水没していく宇宙船からもがきながら脱出し、宇宙服を脱ぎ捨て、おぼつかない足取りで砂浜を歩いていく彼女は、まるで生まれたての赤子のようであり、宇宙での経験を経て生まれ変わったことを予感させる素晴らしいシーン。
この映画は、”生きる気力を失っていた”主人公・ライアンが、宇宙空間で様々な経験をしたことで成長し、新たな自分となって地球に帰って来るまでを力強く描く作品だった。
大きなスクリーンで観たかった
そのまま。
“映画は家で観る派”の辛いところ…。
まとめ
一人の人間の成長を描いたヒューマン・ドラマの良作。
確かに宇宙を舞台にした”宇宙モノ”ではあるが、実際はヒューマン・ドラマ的な側面が強く、私にとっては嬉しい誤算となる映画だった。