【感想・評価】『青いドレスの女(ネタバレ)』レビュー

クライム映画のレビュー
原題 Devil in a Blue Dress
公開日 1995年9月29日
ストーリー 職を失い、ローンの返済も滞ってしまった主人公・イージー。

イージーは、馴染みの店でオルブライトという名の男を紹介され、彼から仕事を依頼される。

依頼とは”ダフネ”という名の白人女性を探すことだった。

イージーは危険な匂いがすると思いながらも、他にお金を稼ぐあてがなかったのでその仕事を引き受ける。

そして、イージーは”青いドレスの女”を巡る陰謀に巻き込まれていく。

デンゼル・ワシントン主演のサスペンス映画『青いドレスの女』のレビュー。

青いドレスの女の感想/評価

青いドレスの女を巡る陰謀劇

“青いドレスの女”を巡る二転三転するサスペンスが面白い一作だった。

舞台となる1948年のロサンゼルスでは、黒人に対する差別が公然と行われており、映画でも“自分たちのコミュニティから一歩でも外に出ると差別の標的にされる”黒人の様子が描かれる。

当然、主人公・イージーも例外ではなく、持ち家を持ち、近隣住民とも良好な関係を築く好青年であっても、”外”に出ると白人女性と話すことさえ許されない。

白人中心ゆえに、「白人のようにローンを組めた」ことが黒人にとって”自分自身の社会的な信用度を証明する手段”になっていたりもする。

ストーリーには、こうした時代背景が反映されており、映画では白人に否定され、拒絶され、時には身内にも利用されながらも依頼を遂行していくイージーの姿が描かれる。

肝心のサスペンスとしては、人探しの依頼が市長選を左右する大事件へと発展していく過程と、それぞれの思惑が交差する陰謀劇が絡み合っており、面白い。

「この女は何者?」「なぜ、2人の視聴候補が一人の女を追う?」など、様々な疑問が湧いて来るが、最終的には点と点が繋がる。

私はこの記事を書くにあたり二度観たが、すると一回目の時は分からなかった台詞や表情に隠された意味が理解でき、巧みな脚本と演出に感心した。

(ダフネがフランクについて話す時など)

※白状すると、一回観ただけでは顔と名前を覚えることができなかった

総じて、サスペンス映画としてはよく出来た内容になっており、時代背景と陰謀劇の二つが見事に融合した一作だった。

配役が適材適所

何度踏まれても立ち上がるイージーは、善人役がよく似合うデンゼル・ワシントンにもってこいの役どころだし、ドン・チードル演じるマウスのキレ役もハマっている。

また、トム・サイズモアの自然体な悪っぽさだったり、ジェニファー・ビールスの謎多きダフネも印象に残る。

まとめ

サスペンス映画の良作。

当時の社会情勢を反映したストーリーは見応えがあり、40年代で統一された世界観やノワール的な作風もこの映画によく合っており、見所の多い作品だった。

唯一残念なのは、シリーズ化されそうな気配があったのにシリーズ化されなかったこと。