アル・パチーノ主演のクライム映画『カリートの道』のレビュー。
監督は『スカーフェイス』や『アンタッチャブル』などのブライアン・デ・パルマ。
ちなみに、『カリートの道 暗黒街の抗争』という前日譚も製作されている。
紹介
カリートの道のストーリー
大物弁護士(ショーン・ペン)の力で刑務所から釈放されたカリートは、暴力の世界から足を洗うと宣言し、ニューヨークの暗黒街を驚かせる。
だが、誤った忠誠心や旧弊な道義の掟により、彼の計画は狂っていく。
束縛しつづけようとする世界と、カリートは生死を賭けた戦いを繰り広げる。
引用元 – Amazonより
カリートの道の出演陣
役者 | 役名 |
アル・パチーノ | カリート |
ショーン・ペン | デヴィット |
ペネロープ・アン・ミラー | ゲイル |
ジョン・レグイザモ | ベニー |
イングリッド・ロジャース | ステフィー |
感想
裏社会の”しがらみ”にもがく男の姿
5年の刑期を終え、出所した主人公・カリート。
今でも界隈では”伝説”として敬意を集めるカリートだったが、本人は裏社会に嫌気が差しており、きっぱり足を洗うつもりでいた。
しかし、“裏社会にどっぷり浸かっていた分だけ”足を洗うことは容易ではなく、カリートの意に反して次々と厄介事が降り掛かって来る。
それでも、カリートは悪事から出来るだけ離れようとするが、今度はその姿を見た仲間が「アイツは腰抜けだ」と言い出して、さらに彼の立場を危うくする。
ある時、カリートは自分に反抗したチンピラを見逃すが、裏社会では彼を殺すことで自分の立場を誇示しないと周りに舐められる。
その結果、カリートは”ヤクザでもないし、カタギでもないという中途半端な立ち位置”に追いやられてしまい、居場所も、後ろ盾もない状態に陥る。
しかし、そんな苦しい状況にもかかわらず、カリートは義理堅く、警察にも寝返らない男として居続けることを選び、カリートのままで居ようとする。
新しく人生を始めたいのに、自分でも過去を捨てきれない辺りが”カッコわるくもカッコいい”。
結局、カリートはあと一歩のところで凶弾に倒れる。
この場面は”一線を超えた者は決して後戻りできない”ことを思い知らされると同時に、恋人と生まれて来る子供に思いを託して旅立つ彼の姿が描かれる。
「逃げるチャンスはあったのに」と感じると同時に、それをせずに自分の生き様を貫いたカリートの男気を感じることができ、まさに”カリートの道”を行く彼に感動を覚える。
ショーン・ペンの怪演
カリートの友人・デヴィッドを演じるショーン・ペン。
弁護士、友人としてなんとか体裁を保っていた彼がコカインで壊れていく様は狂気に満ちており、ショーン・ペンの演技力がそれに説得力をもたせる。
まとめ
裏社会を生きる男の生き様を描いた良作。
年齢的に脂が乗ったアル・パチーノとショーン・ペンの演技は素晴らしく、希望と現実を冷淡に描くストーリーも身にしみる。
前日譚(特に観る必要はない)>>>【感想・評価】『カリートの道 暗黒街の抗争(ネタバレ)』レビュー