【感想・評価】『悪の法則(ネタバレ)』レビュー

クライム映画のレビュー

マイケル・ファスベンダー主演のクライム映画『悪の法則』のレビュー。

紹介

悪の法則のストーリー

主人公・カウンセラーは軽い気持ちで麻薬ビジネスに手を染めるが、それは”後戻りできない”世界に足を踏み入れることを意味していた。

悪の法則の出演陣

役者 役名
マイケル・ファスベンダー カウンセラー
ペネロペ・クルス ローラ
キャメロン・ディアス マルキナ
ハビエル・バルデム ライナー
ブラッド・ピット ウェストリー など

感想

善と悪の境界線で…

マイケル・ファスベンダー演じる主人公・カウンセラー。もう手遅れだと察した瞬間。

恋人に婚約指輪を買うために軽い気持ちで麻薬ビジネスに手を染めた主人公・カウンセラーですが、手を引こうと思った時はもうドツボに嵌っていました。

すでに麻薬ビジネスにどっぷり浸かっていたライナーやウェストリーとは違い、カウンセラーの方は最初から”小遣い稼ぎの副業”くらいの感覚でいることがミエミエでした。

ライナーやウェストリーはカウンセラーの読みの甘さを危惧しており、「本当にやるのか?」と何度も聞きますが、当の本人はその忠告を受け流します。

特にウェストリーに関しては─

「メキシコ人が本気で殺したいヤツは?」
「アンタだよ、アンタみたいなやつ」

と直球でカウンセラーに警告しますが、それでも彼は深刻に受け止めませんでした。

結局、言葉の端々から諦めと覚悟が伝わって来るライナーやウェストリーとは対照的に、カウンセラーは最後の最後まで”何とかなるはず”という甘い考えが捨て切れませんでした。

キャメロン・ディアス演じる悪女・マルキナ。彼女はまさにハンターで、獲物を仕留めることに心血を注ぐ。

こうしたカウンセラーの甘い考えは、”ハンター”であるマルキナに見抜かれており、チーターが野ウサギを狩るように頭から喰われてしまうわけです。

カウンセラーはまるで”ライオンの檻に放たれた草食動物”のようであり、そこに足を踏み入れた時点で彼の運命は決まっていました。

この映画では、この世の不条理さと”中途半端な悪が辿る運命”を生々しく描いており、観客はカウンセラーを通してそれをまざまざと見せつけられます。

一周目で全てを把握するのは困難

ハビエル・バルデム演じる悪友・ライナー。裏ビジネスで成功した男で、主人公・カウンセラーに副業を勧める。

終始、掴みどころのない話が続くので”何か進行しているのは分かるが、その何かが分からない”という状態に陥りました。

私も含めて一周目で全容を把握できる人はそう多くないはずであり、私の場合は二周してようやく台詞の意味やシーンの繋がりが理解できました。

特にこの映画は台詞やシーンの繋がりが非常に大きな意味を持つので、二周観ることも厭わないという心構えが必要かと思います。

そういう意味では観る人を選ぶ映画です。

【+考察】悪の法則を解説

ブラッド・ピット演じる仲介人・ウェストリー。

主人公は助かったのか?

一応、弁護士経由で麻薬カルテルと話は付きました。

しかし、DVDの件で分かるように麻薬カルテルは主人公の居場所を把握しているし、いつでも消すことができるので自由になったわけではありません。

【泣く理由】最後のディスクの意味は?

劇中でウェストリーはスナッフフィルムに言及しています。

となれば、DVDにはローラの…。

で、マルキナはブツを手にしたのか?

おそらく、していないのでは?

ただ、マルキナにとって重要なのはブツではなく、それを売ることで得られる利益なので、ウェストリーの資産が手に入った以上、そこまで固執していないはず。

最後に登場した男は?

マルキナの資産管理をする人物。

マルキナが彼に”選択させない”ところを見れば、彼女にとって彼は重要な人物であることが分かります。

まとめ

良い演技、良い脚本のクライム映画でした。

この映画では不条理で、救いのない世界での生存競争を克明に描き、生きる覚悟と運命を受け入れる勇気のない者が辿る末路を悲壮感たっぷりに映し出します。