原題 | Taken |
公開日 | 2008年2月27日 |
ストーリー | CIAの元スパイ・ブライアンは、仕事をリタイアし、娘との時間を大切にするつもりでいた。
しかし、その愛娘がフランスで何者かに拉致され、怒り狂ったブライアンは単身で乗り込んで事件を捜査する。 そして、事件の背後にはフランス国内で暗躍する人身売買組織が隠れていることを掴む。 ブライアンは娘を助け出すべく、人身売買組織と死闘を繰り広げる。 |
リーアム・ニーソン主演のアクション映画『96時間』のレビュー。
96時間の感想/評価
愛娘には弱いが悪党には容赦なし
パパのハートはズタボロ。
主人公・ブライアンは”娘との時間を大切にする”ために仕事をリタイアしたわけですが、愛娘は前妻の再婚相手のもとで暮らしており、頻繁に会えません。
前妻の再婚相手はやり手の実業家であり、社会的地位や財力の面でブライアンに勝ち目はありませんでした。
その上に、パパの役割まで奪われつつありました。
ブライアンは娘の誕生日パーティーに招待されるわけですが、会場では他のゲストと同じ扱いを受け、せっかく用意したプレゼントも再婚相手が用意した馬に完敗します。
挙げ句、娘にランチに誘われて舞い上がるも、実際は親子団欒ではなく、海外旅行の同意書が目的だったと知り、心の中でガックリする..。
ある意味、自業自得ではあるのですが、ブライアンのハートが粉々に粉砕されていく様子は見ていて気の毒に感じるほど。
娘の無邪気さがパパにグサリと刺さる。
「で、ブライアンは何者?」
という疑問が湧いて来るわけですが、ベイルートやヒズボラというフレーズからなんとなく「政府関係者なのだろう」と推察できます。
そして、人気歌手のボディーガードをしている際に”怯むことなく”暴漢を瞬殺するシーンでブライアンの武闘派な一面が垣間見え、”捕まることを前提に娘の救出作戦を練る”シーンでは頭脳派な一面も垣間見えます。
結局、ブライアンは武闘派でもあり、頭脳派でもある凄腕のスパイであり、かつ愛娘に危害を加える野郎どもは絶対に許せないという男でした。
人身売買組織からすれば完全に相手が悪かったわけですが、ブライアンはこれまでの経験をフル活用し、頭を使って犯人を絞り込み、連中に目いっぱいの暴力を浴びせていく。
ブライアンが人身売買組織を徹底的に叩いていく流れは実に痛快であり、前半に溜まったヘイトが連中に降り掛かって来るのでスカッとします。
無事、娘の救出に成功。
娘はパパの本当の職業を知ってしまったわけですが、それによって救われたので仕事内容は肯定的に捉えており、ブライアン的にも良いところを見せられてご満悦。
全てが終わった後、娘はブライアンに「大好きよ」と口にするのですが、同じ言葉でも冒頭の時とは意味合いや重さが全く異なり、親子の絆が深まったことが分かります。
総じて、アクションもストーリーも優れたアクション映画になっており、使い古されたテーマではありますが、最後まで楽しめました。
“人選役”の件はもったいない
ブライアンが人選役を尋問するシーンは─
- なぜ、ひと目に付くところでやるのか
- いきなり、そんな目立って大丈夫なのか
- 結果的に人選役は事故死し、情報が得られなくなった
という点であまり賢くなく、寸前までのブライアンのクレバーさと比べると「別人か?」というほど行動に一貫性がありませんでした。
細かな点ですが、他がよく出来ているだけに気になりました。
まとめ
良質なアクション映画でした。
約90分という上映時間も相まって非常にテンポよく進むアクション映画になっており、一貫したストーリーとスタイリッシュなアクションの両面で楽しませてくれる一作でした。
フランスを舞台にしながらも”汚い部分”ばかり強調して描いている点も新鮮でした。
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