アル・パチーノ主演のクライム映画『ハングマン』のレビュー。
紹介
ハングマンのストーリー
“ハングマン”と呼ばれるゲームになぞらえた連続殺人事件が発生。
被害者の多くは吊るされ、胸元には印象的な刻印が残されていた。
元刑事・レイはこの難事件を解決すべく捜査に参加するのだが、犯人の巧妙な計画に翻弄される。
果たしてレイはこの難事件を解決することができるのだろうか。
ハングマンの出演陣
役者 | 役名 |
アル・パチーノ | レイ |
カール・アーバン | ウィル |
ブリタニー・スノウ | クリスティ |
ジョー・アンダーソン | ハングマン |
サラ・シャヒ | ウェストン |
感想
全体的にストーリーが雑い
全体的に捜査が甘くてスリルがない。
容疑者を簡単に逃してしまうし、缶ごと飲み物を渡してひと騒動起こすし、そもそもアリバイもきちんと確認していませんし。
牧師の件にしても、現場に彼の血痕が残っていたのに追及が甘々です。
そもそも、犯人が残したヒントもマトモに調べません。
(個人的には”事件現場から見知らぬ警官が出て来たのに、それを怪しむことなく、通してしまう”シーンがお気に入りです)
さらに推理も雑すぎるなと。
「遺体が濡れてる」=>「川を探せということだ」はあまりにも推理が雑で、「被害者の時計が23時で止まってる」=>「毎日23時に決まって事件を起こすということだな」も同様です。
犯行が1年間止まっていた件も、様々な可能性があるのに「別件で捕まっていたせいだ」と決めつけてしまって、これも推理が雑いです。
また、豚の件も「ここが犯行現場だ!」と決めて掛かる根拠が乏しく、観ている側としては主人公らの行動に納得が行きません。
結局、最後もご都合主義で押し切ります。
同行記者に話を聞いてみるか=>拉致されてる!=>拉致現場でペンダント発見!=>前に当て逃げした男のものだ!=>データベースで調べろ!=>犯人特定!=>昔担当した事件の関係者だ!=>父親が亡くなってる!=>父親が埋葬された公営墓地にいるぞ!
というように、推理を放棄したような展開になっています。
ただ、私は「お話をまとめ切れないので一気に片付けるぜ!」という勢い自体は好きですが(笑)
犯人のインパクトに欠ける
切れ者なのか、間抜けなのか分かりません。
主人公らを現場に誘導するのですが、それのせいで犯人自身が時間に追われてしまったり、アクシデント的に現場で姿を見られたりします。
しかし、一応は計画通りに進んでいるので間抜けとも言い切れません。
あと、犯行の動機が釈然としません。
動機は父の死を間近で見たことのようですが、「警察と全面対決するほどの理由か?」と言われるとそうは思えません。
「なぜ、ハングマンに拘ったのか」という点も、犯人は明確に答えることができないので、この部分でも納得が行きません。
なんちゃってセブンと割り切れば楽しめる
細部は甘々ですが、映画『セブン』っぽいスリラー映画としては”見れる”作品でした。
アル・パチーノを始めとして出演陣は実力派が揃っているので重厚感があり、見せ方も観客の緊張感をちゃんと煽ってくれるので締まっています。
続編?に続く
真犯人、もしくは共犯者の存在を匂わす終わり方をするのでスッキリしません。
製作が決定していない段階で、”続編に続く”終わり方をするのは禁止にして欲しい。
まとめ
終わってみれば雑な推理を基にしたスリラー映画でした。
一応、スリラー映画として形はなっていますが、それは雑な推理と浅い人物描写の上に成り立っており、全体としてはイマイチな作品でした。