『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国-』は、2025年に発売されたクライム系アクションゲーム。
1910年頃のシチリアを舞台に鉱山労働者だったエンツォが裏社会で頭角を現していく姿が描かれる。そんな今作のタイトルには”オリジン”とあるが、これは日本語版だけに付いている副題で英語版のタイトルは『Mafia The Old Country』になる。正直、何が”オリジン”なのかは分からない…。
ちょっとスロースターターすぎる?

オープンワールドを物語を語る背景として活用し、ゲームの目玉はあくまでもそこで描かれるストーリーにあるというのがこのシリーズの特徴。オープンワールドを大きなメニュー画面のように扱って、そこにある様々なコンテンツを遊ばせる「グランド・セフト・オート」とは、この点で大きく異なる。
今作の開発元である「ハンガー13」は、『マフィア3』で一度そのスタイルに挑戦したが、コンテンツを揃えることができず、オープンワールドゲームとしてはやや厳しい評価を受けることになった。
しかし、その後に手掛けた初代のリメイク版ではミッションを一つずつクリアしていく従来のスタイルに戻してシリーズを軌道修正した。
今作は、その初代のリメイク版の流れを汲んでおり、舞台のシチリアはストーリーに説得力をもたせるために存在するリッチな背景で、もっとも味がするのは、そこで描かれる映画的なゲーム体験の部分になる。

まず、面白くなるまで時間が掛かった。
いきなりカーチェイスがあったり、銃撃戦があったりした過去作と比べると、主人公らの現状を説明する時間が長く取られており、スロースタートと言える立ち上がり。さらに、そうした場面では先導するキャラクターのあとを歩いたり、演出のタイミングに合わせて行動したりなど、演者としてのプレイを求められることが多く、操作できるムービーとまでは言わないが、それに近いものがあった。
それが4つ目のミッションの前半まで続き、そこからようやくゲームとしてエンジンが掛かってくる感じで、ストーリーの方もエンツォの立ち位置が確立されて、裏稼業にガッツリ関わっていく流れになっていく。

そこからのミッションは、カーチェイスや敵陣への潜入など銃撃戦以外にも色々と用意されている。
どれもそれほど難しいものではなく、潜入ミッションでは、敵の近くにボックスがあれば”それは倒しても良い”という合図だったり、分かりやすく、敵の視線が通らないルートが用意されていたりと、ミスがほぼ起こらない作りになっているし、レースのミッションもト書き通りに走っていれば順位が上がっていく作りで途中にはチェックポイントまである。
撃ち合いにしても同様で、距離を詰めてくるショットガン持ちこそいるが、基本的には敵は正面に来るように配置されており、その場から動かずに対処可能。12時間ほどのプレイで敵に倒されたのは一度だけだった。
全体的に、プレイヤーを置いてけぼりにしない作りになっており、良く言えばストーリー進行を妨げるものを排除していて非常に遊びやすいゲームと言える。ただ、これは別の言い方をすればストーリーを進めることが優先で、工夫して攻略する面白さが二の次になっているとも言えて、今作は過去作よりもその傾向が強いと感じた。

シューティングは、時代背景的にバリバリ連射できる銃は登場せず、テンポの良い撃ち合いとは言わないが、西部劇のような泥臭い撃ち合いは良い感じ(※時代設定はレッドデッドリデンプションと同じ頃だし)。
そんなシューティングも含めたプレイ部分は、マフィア3や初代のリメイク版と同じ系統のもので、基本的なことは確実にできるものになっている。
他には、今作の目玉要素としてナイフでの決闘が用意されており、格上の敵との戦いはだいたいコレで決着を付ける。なのだが、ナイフでの決闘を重視したためか、ミッションでは潜入したあとに戦闘になり、武器を失ってナイフで決闘するという流れが繰り返し登場し、ちょっとギャグっぽいことになっている…。
オープンワールドで出来ること

一応、オープンワールド要素は含まれている。
「マフィア」シリーズではお馴染みだが、家を出て目的地に着くまでは自由時間というあれで、今作では銃や強化アイテムを買うために寄り道できる。
ただし、ミッションの始まりが自宅からではなく、そのままストーリーに入っていくことが多く、そうした寄り道要素はほとんど活用されていない。チュートリアルでは重要そうな扱いだったので、もしかすると開発途中で見直された要素の名残なのかなと思ったりする。
なお、オープンワールドを構成する要素は必要最低限。
基本的にはストーリーを進めている時以外は、美しいシチリアをこだわりの車でドライブできるところがウリになっていて、”車から降りられる”ドライブゲームくらいの感覚でいた方が過度に期待せずに済んで良いかなと思う。
まとめ
すでに過去作をクリアしていて、シリーズの前日譚に興味があればオススメできる。
予想以上にストーリーを進めることを優先するゲームだったとは思うが、本家のマフィアを題材にしたゲームは珍しいし、シチリアの文化的な背景も興味深いものだった。また、表現力がさらに向上して、表情から意図を読み取れることができるようになり、多くを語らない男たちの駆け引きを見事に描写している点は、映画的なゲームとして大きな進歩だと言えます
あとは様々な形で過去作ネタが含まれており、そこはシリーズファン的には嬉しいところだった。

