デニス・クエイド主演のサスペンス映画『バンテージ・ポイント』のレビュー。
紹介
バンテージ・ポイントのストーリー
国際サミットに出席した米大統領が壇上で何者かに狙撃される。
主人公・バーンズはシークレットサービスの一員として、狙撃犯の行方を追うが同時多発的に爆発事件も発生。
大混乱の中、バーンズは全てを引き起こしたテロリストを捜索する。
バンテージ・ポイントの出演陣
役者 | 役名 |
デニス・クエイド | バーンズ |
マシュー・フォックス | テイラー |
フォレスト・ウィテカー | ハワード |
ブルース・マッギル | マカルー |
エドガー・ラミレス | ハビエル など |
感想
“ありきたり”だと感じさせない
正直、あらすじ自体は何も珍しくなく、”大統領の暗殺事件”という使い古されたネタに、シークレットサービスを絡めたものになっています。
しかし、オムニバス形式を採ったことで”複数の視点から大統領の暗殺事件を描ける”ようになっており、それによってありきたり感が打ち消されています。
この映画では主に─
- 主人公
- 観光客
- テロリスト
という切り口から事件を描きます。
当然、見る位置(=Vantage Point)を変えれば同じ事件でも違った見え方をするもので、それぞれの視点から見た”大統領の暗殺事件”を描く点は非常にユニークでした。
また、オムニバス形式ならではの「なるほど、こう繋がるのか」というストーリー的なトリックもあり、この形式の魅力をきちんと活かしています。
ちなみに、映画自体はクリント・イーストウッドの『ザ・シークレット・サービス』と、キーファー・サザーランドの『24 -Twenty Four-』をミックスさせたものでした。
欲を言えばもっと交差して欲しかった
正直、別撮りした映像を同時進行風に見せている感がありました。
主要人物たちがすれ違っていたり、実は接触していたりするなどの同時進行感を匂わせるシーンがもっと欲しかったですね。
マシュー・フォックス主演の『LOST』のように。
ご都合主義的な展開
「巻き戻し」が多用されているので気づきにくいですが、事件発生から解決まではそれなりにご都合主義的な展開が目立ちます。
- 事件発生
- 観光客が一部始終をビデオカメラで録画していた
- TVの中継車のカメラにてピンポイントでテイラーを発見
- テイラーを追跡し、最終的に大統領を確保
というように都合よく偶然が重なっており、サスペンスとして捻りがありません。
さらに、ツッコミどころも多く─
- 一人の男がシークレットサービスを全員倒して大統領を拉致できるか?
- テイラーがわざわざ警官に変装する意味は?
=シークレットサービスのフリを続ける方が理に適っている - 救急車内で仲間の一人を処刑する理由は?
などの点が個人的には納得が行きませんでした。
全体的に描きたいシーンを優先するあまり、ストーリーがおざなりになっているような印象を受けました。
まとめ
それなりに面白いサスペンス映画でした。
ツッコミどころはあるものの、オムニバス形式で描かれる”大統領の暗殺事件”はスリリングに描かれていますし、アクションシーンも見応えがありました。
(エンドロール無しで)90分未満というコンパクトさも含めて良い映画でした。
ちなみに、「巻き戻し」されるのでそう感じませんが、事件自体は発生から2時間足らずで解決するというスピード解決を見せます。