原題 | The Zero Theorem |
公開日 | 2013年9月2日 |
クリストフ・ヴァルツ主演のSF映画『ゼロの未来』のレビュー。
ゼロの未来の感想/評価
一方的な自己主張にウンザリ
ファン向けの映画。
「君たちなら分かってくれるよね?」という監督の意図が透けて見える作品になっており、テリー・ギリアム監督の作風や哲学を理解していることが前提になっている。
監督の熱心なファンであれば「難解だ」「理解できない私が悪いんだ」と肯定的に受け止めることができるかも知れないが、この映画が”初ギリアム作品”の私にとっては監督の一方的な自己主張にウンザリしてしまった。
(一応、2回続けて観ました)
- ノイズに塗れた現代社会
- 人生に目的を求めて生きること
- 働き蜂のように働いて消費するだけの毎日
などは痛烈なメッセージとして理解できましたが、終始”まとまりのない”話を延々と見せつけられているような退屈さが拭えませんでした。
ユニークな世界観
広告塗れで、禁止事項の多いこの映画の世界は、私たちにとっては非常に窮屈で制約の多い世界に思えるわけですが、そこに住む人々はそう思っていない。
要するに“生まれた時からその状態なので人々は違和感を覚えない”ということであり、私たちにとってはディストピアな世界であっても、彼らにとってはそれが当たり前になっている。
“ディストピアであることをすでに受け入れた”世界は非常にユニークであり、これは私たちの社会や生活に置き換えられる点でもあります。
まとめ
(二度目ですが)ファン向けの映画でした。
個人的に作家性の強い作品は好きですが、この手の作品は監督の趣向や哲学がぞんぶんに発揮されるだけに好き嫌いがはっきりと別れる。
なので、この映画を高く評価する人がいるのも十分に理解できます。
ただ、私は全く合わなかった。