【感想・評価】『96時間/レクイエム(ネタバレ)』レビュー

「96時間」シリーズ
原題 Taken 3
公開日 2015年1月9日
ストーリー 主人公・ブライアンの前妻・レノーアが何者かに殺され、ブライアンは容疑者に仕立て上げられる。

捜査当局に追われるブライアンは、逃亡者になりながらも単独で捜査を進め、事件の核心に迫っていく。

そして、ブライアンはレノーアの事件に隠された陰謀の存在に気づき、彼女の敵を討つべく大暴れする。

リーアム・ニーソン主演のアクション映画『96時間/レクイエム』のレビュー。

96時間/レクイエムの感想/評価

過去作には及ばない

今作は『96時間』『96時間/リベンジ』に続くシリーズ三作目になり、(今となっては)三部作を締めくくる一作になっている。

今回も、リーアム・ニーソン演じる主人公・ブライアンが悪党を懲らしめる流れは踏襲されており、お馴染みの面子も登場する。

しかし、今作は過去作に及ばない。

原題はTakenで「連れ去られる」という意味があるように、このシリーズは”主人公の親しい人が誘拐され、それを主人公が取り返す”というのが一つのフォーマットになっています。

その点、今作は”前妻を殺された主人公が犯人に追い詰めていく”お話になっており、TakenというよりはRevenge(リベンジ)の方が内容的に正しい。

(最後の最後で娘が誘拐されるので、あの瞬間だけはTakenでしたが)

また、警察に妻殺しの濡れ衣を着せられる辺りはハリソン・フォード主演の『逃亡者』を想起させる点でもあり、リュック・ベッソンが書いた『逃亡者』とも言えます。

  • 前妻を殺した犯人を追い詰める
  • (前)妻殺しの濡れ衣を着せられる

確かに、サスペンス・アクション映画としてはそれなりに楽しめる一作になっており、迫力満点のアクションと捻りの利いたストーリーは悪くありません。

しかし、「96時間」というフォーマットをぞんざいに扱っているのは事実であり、『96時間』に魅せられたいちファンとしては受け入れることができませんでした。

ストーリーの蛇足感

とにかく、後味が悪い。

96時間』では父娘の絆が固くなる、『96時間/リベンジ』では家族関係が修復されるというように、各作のエンディングでは一連の出来事を経て変化した関係性をポジティブに描いていました。

しかし、今作はいくら映画が前向きなエンディングに仕立てても、主人公・ブライアンは最愛の人を失い、娘・キムは母を亡くしたという点は変わらないので、どんより暗い。

個人的には「これまでの主人公の苦労も、結果がこれでは報われないな」という思いが先に来るので、後味の悪さが残りました。

スチュアートの豹変

スチュアート役がザンダー・バークレーからダグレイ・スコットに変更されていますが、明らかに悪人顔なのでネタバレ気味。

また、一作目『96時間』のスチュアートは気前の良い金持ちだったので、いきなり”裏ビジネスをガンガンやってます”という人物に改変されて違和感もありました。

さらに、無理に対立構造を持ち込んでいるので種明かしまではスチュワートが一方的に責められているように感じられ、ブライアンやキムにあまり共感できませんでした。

まとめ

「96時間」シリーズの一つとしては期待外れでした。

本文にも書いている通り、サスペンス・アクション映画としては楽しめる一作ですし、フォレスト・ウィテカーの新加入も大きいですが、「96時間」としてはイマイチでした。

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